名画でも140ピクセル程度の低解像度では、その価値が分からない。
しかし、名画ならば低解像度でも元が「何か」は分かるはずだ。
10の問題に挑戦して、教養の高さを知らしめよう。
名画なら解像度が低くても分かる
前回の記事*1で、複雑な話を140字で語ることの難しさを示すために、「名画の価値が140ピクセルの解像度で伝わるか?」と述べ、14✕10ピクセルに縮小した『ガブリエル・デストレとその妹』を貼った。
「解像度が低い」という言い回しをした上で、実際に解像度の低い画像*2を用意するというのは、我ながら賢いと思った。これならば俺の言いたいことがひと目で分かるだろう、と。その一方で、縮小画像を作った時にこうも思った。「元画像が分かる人いそうだな」と。
解像度が下がったことでディテールは分からない。しかし配色は分かる。そして『ガブリエル・デストレとその妹』の配色は特徴的なので、知っている人ならばそれだけで元絵が分かりそうだ。
しかも『ガブリエル・デストレとその妹』の作者は不明であるけれども、マニエリスムを代表する作品として名高く、ルーブル美術館で展示されるほどの名画である。また、『乳房論』*3や『おっぱいの科学』*4の表紙にも使われているので、本ブログの読者ならば見覚えがあるだろう*5。それだけに元画像を想起できる人はそれなりにいると思ったのだ。
そこで他にも低解像度化した名画をTwitterにポストしてみたところ、普通に元絵を当てられる人がいた*6。この結果から低解像度名画はクイズとして成り立つと判断し、せっかくなので記事化することにした次第である。
低解像度名画クイズ
ということで、低解像度の画像を見て元の名画を当ててみよう。全部で10枚用意した。スクショと一緒に作品名をツイートすれば、自分の教養の高さをアピールできる。教養の無い人も安心してほしい。脚注に元絵の情報とリンクを載せておくのでカンニングはやり放題だ。もっとも、ズルをしたということは、自分の中で敗北を認めたということだが。
1問目
2問目
3問目
4問目
5問目
6問目
7問目
8問目
9問目
10問目
終わりに
10問中、何問分かっただろうか。俺でもパッと思いつけるほど有名で特徴的な絵画を選出したので、満点を取れた人も多いと思う。140ピクセル程度の超低解像度でも意外に元の絵画が何か分かるものなのだ。
小さくなっても分かると言えば、荒木飛呂彦が著書『荒木飛呂彦の漫画術』にて「売れている漫画の絵は5メートル、10メートル先から見ても、誰の作品か分かる」と述べていたことを思い出す。これは絵画においても同じだろう。やはり時代を超えて鑑賞されてきた絵画は、デザインや雰囲気に唯一無二を感じる*17。だからこれほどの解像度の低さでも分かるのだろう*18。
現在「神絵師」を目指している人は、一度自分のイラストを縮小してみるのもいいかもしれない。ある程度小さくしても自分の絵だと分かるか確認するのだ。作品に個性が無ければ、ネットでは簡単に忘れ去られてしまう。その個性を測る指標として、解像度を利用するのである。
低解像度名画の作り方
同じフォーマットで低解像度名画を作りたい人向けに、本記事での形式を示しておく。
PNG形式の画像を用意し、短辺を10ピクセルに縮小、長辺は縦横比を維持して縮小という形にした。短辺を10ピクセルにしたのは、Twitterの文字制限に合わせて140ピクセルにしたかったからである。もちろん画像によっては縦横比が異なるので、130ピクセルになるものもあれば、150ピクセルになるものもある。
画像形式をPNGにしたのは、JPGだと色が混ざり難易度が増すためである。前回の記事やTwitterに上げたのはJPGを縮小したものだが、絵画によっては特徴的な色が消えてしまっていた。そこで今回はPNGにしたわけである。画像形式の違いによる差が分かりやすいように、妹をJPG、姉をPNGにしたものを以下に示す。
名画で遊ぶ記事
*1:オッパイは尻の代替品という解像度の低い説 - 本しゃぶり
*2:本来「解像度」とは「1インチあたりに含まれる画素数」を示す言葉なので、正確には「画素数の少ない画像」と言うべきだが。ただし、Webにおいては「画面解像度」ということで、縦横のピクセル数を示す事が多い。なので本記事ではこのまま解像度を使い続ける。
*3:マリリン・ヤーロム『乳房論―乳房をめぐる欲望の社会史』Amazon
*4:フローレンス・ウィリアムズ『おっぱいの科学』Amazon
*5:記事で貼ったこともあるし。女神の乳に導かれる民衆 - 本しゃぶり
*6:https://twitter.com/honeshabri/status/1364557762437423106
*7:Leonardo da Vinci, Public domain, via Wikimedia Commons, Link
*8:Johannes Vermeer, Public domain, via Wikimedia Commons, Link
*9:Eugène Delacroix, Public domain, via Wikimedia Commons, Link
*10:Vincent van Gogh, Public domain, via Wikimedia Commons, Link
*11:Sandro Botticelli, Public domain, via Wikimedia Commons, Link
*12:Viktor Mikhailovich Vasnetsov, Public domain, via Wikimedia Commons, Link
*13:Michelangelo, Public domain, via Wikimedia Commons, Link
*14:After Katsushika Hokusai, Public domain, via Wikimedia Commons, Link
*15:Gustave Courbet, Public domain, via Wikimedia Commons, Link
*16:irodori, KFPA, via Kemono Friends, Link
*17:そう感じる絵を選択しただけと言われたら反論できない。ただ、有名な画像は低解像度でも分かるほどにキャッチーな傾向はあると思う。
*18:配色や構図の影響が大きいので、全ての名画が当てはまるわけではないが。