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本しゃぶり

骨しゃぶりの本と何かを繋げるブログ

河森正治 ビジョンクリエイターの視点

本の紹介

河森正治 ビジョンクリエイターの視点

河森正治 ビジョンクリエイターの視点

きっかけ

例によってマクロスが好きなので。

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超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか より

マクロスシリーズの変形大好き。
特にバルキリーはレゴで再現しちゃうくらい好き。
そもそもバルキリーもアクエリオンも河森監督が自らレゴでメカデザインしている。
そんな人についての本が出ちゃってるわけだ。
だいたい24歳で映画の監督しちゃうあたり普通じゃない。
普段どんなことを考えていたらあんな作品が作れるのかすごく気になる。
宇宙戦艦を変形させたりあなたと合体したり車にバスケさせたり……
というわけで購入した。


内容とか

この本は河森監督(以下、河森)が作品の背景についてのインタビューがメインである。
個別の作品について語ることもあれば、複数の作品にまたがっていることもある。
それは、ある作品で出来ないことを別の作品で達成することがあるからだ。
特に様々な作品に関わってくるのが「旅」と「人間の感覚」について。
これがどうやら河森作品の根本を成しているようだ。

グラビアや対談も含めると288ページとそこそこの量がある。
なので特に気になったところを紹介する。

レゴについて

読むきっかけとなったレゴだが、この本では写真も含めて解説している。
写真があるのは以下。

レゴで作っているが、河森はレゴであることにこだわってない。
あくまでも試作に都合がいいからレゴを使っているだけで、他の素材も一緒に使う。
例えばSV-51の翼は厚紙で作っているし、グランパスは外装に紙粘土を使っている。
レゴで飛行機を作った人ならわかると思うけど、翼は分厚くなりやすい。
なので見た目も悪いし重くなってしまう。
従って厚紙で作るというのはとても合理的であるといえる。
ただ、レゴで遊ぶ人間からするとちょっとズルいと言いたくなる。

また、それぞれのレゴは細部まで力を入れて作っているわけではない。
例えばVF-25の場合、手首から先は作っていないし、顔もほとんどただの四角。
ブロックの凹凸もほとんどそのままになっている。
ただし、プロポーションはかなりいい。
まるでバルキリーの外装を取った内部フレームのように見える。
作品ではなくラフとしてのモデルであることを考えるとよく出来てる。
ちゃんと三段変形するし、自立もしている。
これからCGモデルを作っているのも信じられる。

今は手に入りやすいという理由でレゴを使っているが、子供のころは違ったようだ。
フィッシャーテクニックで遊んでいたそうだ。
レゴテクニックに似ているが、他のブロック玩具と違うところがある。
それは装着させたままスライドさせられることだ。
特に回転軸もスライドさせられるということが重要らしい。
これに慣れることで、物事を固定して考えることから脱却していけると述べている。
俺の経験に照らしあわせても、確かにスライドはレゴでほとんど使わない。
レゴテクニックならシャフトを利用することで可能だが、隙間ができやすいのが難点。
所詮シャフトはシャフトにすぎず、リフトアームやビームとは別物だからである。
それに対してフィッシャーテクニックはフレーム自体に溝がついている。
河森も言っているが、機構を再現する目的ならかなり向いていると思う。
しかし、レゴについての話はどうしても長くなるから困る。
もはや何のレビューかわからない。

旅について

この本を読むまで知らなかったが、取材と称してあちこちに出かけている。
河森曰く、「取材をしたいから、作品を作る」とのこと。
その行き先も多彩で、アニメ監督ってこんなにアクティブな人種なのかと思わされる。
河森本人が撮影した写真がカラーで18ページに渡り掲載されている。
その内訳は、中国、モンゴル、インド、ネパール、タイ、ラオス、スイス、イタリア、ボルネオ、アメリカ、日本の11カ国である。
ここに掲載されていないところにも行っているようだ。
特に少数民族の文化が好きなようで、異文化と接することに価値を置いている。
現実でヤック・デカルチャーしちゃっているのはさすがと言わざるを得ない。
正直な話、取材旅行ってツアーに毛が生えたようなものだと思っていた。
まさかネパールで2週間トレッキングや、中国から夜行列車でモンゴルへ行くとは。

ちなみに、コレを読んで一番行きたくなる国はネパール。
インドで会ったバックパッカーがこぞってネパールは良かったと言っている。
理由はインドと違って心が休まるから。
河森自身もネパールの多民族性にハマり、再びトレッキングで行っている。
山がある事以外に知識は無いけどぜひ一度行ってみたいものである。

感覚について

河森は人間の感覚についてすごく気にしている。
それを突き詰めて作品にした結果がアクエリオンとなる。
どうやらその発端は食事療法にあるようだ。
初代マクロスの頃はジャンクフードばかりで体はボロボロ、満身創痍だったとのこと。
そこから食事療法で立て直していき、2年ほどはベジタリアンで通していたらしい。
ベジタリアンの頃は感覚が鋭敏で、どの程度食べればいいか味で判断できたそうだ。
この食べ物が体を作っている感覚はアルジュナに使われていく。
コレについて書いていると、今日の昼食をカップ麺で済ませたのを後悔するから困る。
もうちょっと気にしようと思う。
ベジタリアンになる気はさらさら無いが。

河森は人間が本来持つ感覚というものにすごく興味を持っている。
武術の達人が相手の動きを察知できるようなアレのことだ。
河森の考えでは、人間はトレーニングを積むことで超感覚を獲得できる。
それができたのが長老やシャーマンなどの指導者であると。
しかし、テクノロジーに囲まれた生活をしているので感覚は鈍くなっている。
テクノロジー自体は好きだが、手放しで喜べないようだ。
あれだけロボットをデザインしているからこれは意外だった。
まあ、アクエリオンマクロス・ゼロでは確かにテクノロジーバンザイでは無かったが。
河森はそういった感覚が失われていくことをどこか危惧しているように思える。
俺は失われるということは必要がないからということで、問題じゃないと思うが。

その他もろもろ

上で書いた以外にも興味深い話はいろいろあった。
各作品のウラ話なんかは読むと見返したくなるし、各シーンの意味がわかる。
それからバルキリーやデュアリスのラフ画なんかも見ていて楽しい。
印象に残ったのは人型ロボットの足について語るとこ。
河森自身はロボットの足を出来るだけ小さくしたいそうだ。
それは先端が重いと慣性モーメントが大きくなって動きにくいからだという。
しかし、オモチャは安定して自立するために足が大きいほうが好まれる。
なのでオモチャ化のためにリアリティが損なわれると嘆いているのが面白い。


こんな人におすすめ

  • マクロスが好きな人
  • 旅に出るか迷っている人
  • レゴで変形やりたい人

河森少年が遊んだのと同じキット

BA-10 フィッシャーテクニック クラシックキット

BA-10 フィッシャーテクニック クラシックキット

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