本しゃぶり

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本を2014年に114冊読んだので、おすすめ10選を記録しておく

今年はKindleを手に入れたおかげで114冊読めた。前年比で3倍であるこの量は、俺にとって読書革命と言っても過言ではない。

そんなわけで今年読んだ中で良かった10冊(シリーズ)を紹介する。


ローマ人の物語

「敗者でさえも自分たちに同化させるこのやり方くらい、ローマの強大化に寄与したことはない」

今年最も影響を受けた本と言えば間違いなくこれであり、その結果がこの記事だ。

きっかけは古代ギリシャの本を呼んでいたら、どうもローマ人が書いた本の割合が多い。そのためギリシャを理解するためにはローマを知る必要があると思ったところで、ちょうどローマっぽい本がKindle化したと大々的にAmazonで宣伝されていたことを思い出したので読んでみた。

その結果、Kindle化される度に予約購入をし、もはやKindleが「月刊ローマ人」に見えてくる。購入する本もローマ、カルタゴ、ガリアの文字が連なっていき、俺の本棚を見るとローマの歴史がそのまま再現されていくようだ。シリーズとして紹介しなければ、これ10冊紹介して終わってしまう、それぐらいハマった。

個人的にまず読んで感動したのがその読みやすさ。それまで古代地中海世界の本はいくつか読んできたが、どうしても固有名詞のとっつきにくさなどで、最初からスムーズに読むのが難しい。それに対してこの『ローマ人の物語』は非常に読みやすく、純粋に内容へと焦点を合わせることができた。それだけで他の本とは違う、そう思わされたのだ。

一つ難点を挙げるとしたら、これはあくまでも“歴史小説”ということである。その後ローマ関係の本を次々読んでいったが、『ローマ人の物語』と異なる内容が書いてあることが度々ある。その時はこう考える。「ローマ人の物語はフィクションである」


フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠

われわれは、体と脳の栄養が欠乏して実際に補給を要する、という状態にはめったに陥らない。われわれを食べることに駆り立てるのは他の動因であることを彼は発見した。動因には、感情的なニーズもあれば、加工食品の重要要素を反映したものもある。

俺の精神面に影響を与えたのが『ローマ人の物語』であるならば、身体に影響を与えたのはおそらくこの本だろう。今までは食事をする際にそこまで栄養やカロリーを気にすることはなく、俺が注目していたのは金額と満足感だけであった。しかしこの本を読んでからはシュークリームが250kcalの負債に見える。

この本は原書と和訳でタイトルが大きく異る。原書は『Salt, Sugar, Fat: How the Food Giants Hooked Us』だ。塩、砂糖、脂肪、このストレートなタイトルをなぜこのまま使わなかったのかと問い詰めたい、そう言いたくなるほどにこの3種類の物質が加工食品に使われており、そのため我々は必要以上に摂取してしまう。だが、消費者以上にこれらから離れられないのが企業側であり、この状況は法的な規制以外にはどうしようもないのではないかと思わされる。

日頃から手軽さを求めて加工食品に手を出している人は読むべきだ。この状況から身を守るためには自衛しか無く、そのためには知識が必要だ。


アニメの教科書

「何々をやった俺だから次もなにかやらなきゃいけない」という呪いは強力なんです。

俺が視るテレビ番組で実写はスーパー戦隊と仮面ライダーだけなのだが、今年は例外的にもう一つあった。原作が島本和彦のマンガである、ドラマ『アオイホノオ』である。そしてアオイホノオを視たら読むべき本がこの『アニメの教科書』だ。これを読めば「ガイナックス組」の情況が手に取るように分かる。この本はすでに記事化しているので以下参照。


BORN TO RUN 走るために生まれた ―ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族”

裸足になったそのときから、きみの走り方は変わるはずだ。

俺を最も物理的に動かしたのはこの本で間違いない。ランニングを始めようとしたら、まず良いシューズを買うところから、という常識を粉々に打ち壊してくる。これを読んでやることはサンダルを自作するところから始めるようになる。この本も記事にしているので、詳しくはそっちで。


ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい

大好きなことに打ち込んでいると、それ以外のスキルもおのずとアップする

俺は基本的に自分の知識になるような本が好きだし、そのような本ばかりを読んでは紹介する。逆に俺にとって読む気を無くさせるキーワードは「感動する」だ。しかしあえて言わせてもらえば、この本は感動する本である。それと同時に思ったのが「もったいない」ということだ。

この本は言ってしまえば自閉症の息子を信じて育て上げた母親の奮闘記であるのだが、その息子が結果として突き抜けた天才であるため、終盤に得られるカタルシスが半端なものじゃなくなっている。なにせ2歳の頃は医者から「自分で靴紐を結べるようになればラッキーだ」と言われていたのが、12歳の時にはオープンプロブレムを2時間程度で解いてしまうほどなのだから。

だが、だからこそこのような例が本として取り上げられるほど特別であることがもったいなく感じてならない。もちろん全ての自閉症の人がこのような天才であると言うつもりはない、しかし適切な教育を受ければその才能を開花させることが出来たのかもしれないのに、と思ってしまう。この話では母親が必死になって頑張ったから結果が出せたわけだが、本来であるならばこれはシステムで対応できているべきでないだろうか。


ナウシカの飛行具、作ってみた 発想・制作・離陸――メーヴェが飛ぶまでの10年間

そして僕は、いつか現れるナウシカのために、調停のための飛行機を作って世界が変わるのを待とうと思いました。

いつもマンガやアニメといったフィクションを現実に当てはめてネタにしている俺でも、メーヴェを実際に作って飛ばす、それも人が乗ってという話には思わずマジかよと言いたくなる。どうみてもアレはまともに飛びそうにないだろ。それを実際に作って飛ばしたというプロジェクトの記録がこの本だ。

時間も労力もそうとうに掛けているとはいえ、実際にやろうと思えば大抵のことはできるのだ、ということをはっきりと見せつけてくれる。俺としてはこの手の本は、じゃあ俺も何かやってみようかという気にさせてくれるからいい。自己啓発本と違って方法を押し付けてくるのではなく、自分の行きたい方向へ進んだ結果を見せてくれるのがいい。

さらにあさりよしとおが挿絵を描いているのもポイントが高い。いつも解説のマンガを描いているだけあって、実にわかりやすいものとなっている。しかも巻末にはおまけ漫画として『無尾翼機のひみつ』まであるのだ。


イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

これらの企業は、顧客の意見に耳を傾け、顧客が求める製品を増産し、改良するために新技術に積極的に投資したからこそ、市場の動向を注意深く調査し、システマティックに最も収益率の高そうなイノベーションに投資配分したからこそ、リーダーの地位を失ったのだ。

有名な本だけあって名前は前から知っていたが、読んだのは今年でKindleのセールやったから。それでも読んだ価値はあったと言えるし、すぐに続編の2冊も購入して今も読んでいる最中だ。もっとも、まだ読み途中なので今回の10選から外したが、俺としては2作目のイノベーションへの解 利益ある成長に向けてのほうが面白い。

この本、企業の栄華と没落の解説を書いた本を読むと、ついつい知っている企業はどうだろうと目を向けてしまうのは俺だけじゃないはずだ。俺の場合Appleの解説本を幾つか読んだことがあるが、このイノベーションのジレンマを読んだあとだと、片手落ちに見えて仕方ない。褒められている手法も今は正しいが、将来的にはどうなのかなと言いたくなる。というか企業について語るなら読んでるよ……な。

それに加えて今この本を読んで楽しいのは、ここに予言されている内容の結果をすぐに確かめる事ができるということだ。この本が書かれたのは2001年、今から10年以上も前だ。それに当時無かった分野でも同じように事が進んでいる例を見つけるのも楽しい。頷きながら読めるはずだ。


ジェフ・ベゾス 果てなき野望-アマゾンを創った無敵の奇才経営者

「勝利者をはっきりさせるためなら、ためらわずに辺り一帯を焼き払う人々なのです。」

日頃からそれこそ何でもAmazonで購入し、初タブレットも電子書籍もKindleを選択、そんな人間がこの本を読まないわけにはいかないだろう。とりあえず読んで思ったのはこいつの下では働きたくないな、ということだった。そしてこいつだからこそこんなに便利なサービスを作れたのだと確信した。後はブログ記事の方で。ひとつ言わせてもらえばKindleからDRM外せ。


「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》

組み立て時間の短縮が部品加工の時間の増大を上回るならば、全体の製造に要する時間は短縮されることになる。

人に対しては「個性が」と叫ばれる時代であるが、ものづくりにおいては規格化しろに尽きる。今の工場における「ものづくり」が実はつい最近生まれたものであり、それ以前はバラバラの寸法である部品を、職人がすり合わせていくことで組み立てられていた。規格化するということは部品を作る際に今まで以上のコストを掛けることになるが、全体としてのコストは大幅に下るのだ。これも後は記事の方で。


シュメル―人類最古の文明

一週間が七日からなる起源もシュメルにさかのぼるともいわれている。一カ月は新月から始まり、新月、上弦の月、満月、下弦の月と七日目ごとに祭がおこなわれていた。これが週の起源になるともいう。

元ネタを知るのが好きな人に読んでもらいたいのが、このシュメル文明についての本だ。俺は古代と呼ばれる時代が好きだし、最初に挙げたローマも今から紀元前後数百年、つまりは今から2000年ほど前の話になるわけだが、シュメルはそこからさらに2000年以上も遡ることができる。全てはここから始まった*1

なぜ1時間は60分であるのか、シュメルで60進法が使われていたから。なぜ宴会ではビールを飲むのか、シュメルでビールが飲まれていたから。なぜロムルスとレムスは川に捨てられたのか、アッカド王朝の初代、サルゴン王が川に流されたところから話が始まるから。読んでいてあれもこれもがシュメル、メソポタミア起源であることに驚かされる。なにせあのギルガメッシュ叙事詩が書かれた場所だ。当然とも言えよう。

本来“歴史”とは文字で記録されたものを指す。であるならば最古の文字が記録されているシュメルから人類の歴史を学んでいくのがスジというものではないだろうか。そして読んでいくとその後に他の地域、時代で起きる出来事が既にメソポタミアの地で起きているということがわかってくる。そしてあの地は8000年前から今に至るまで戦いが途絶えずにいることも。


おわり

今年は冒頭に書いたように電子書籍を使い始めたことで、今まで以上に充実した読書生活を送ることができた。来年はセールで買うだけ買ってそのままである本を消化していくことに集中したいと思う。

俺が読んだ本のまとめはこれ。
honeshabriの本棚 (骨しゃぶり) - ブクログ

*1:あくまでも文明の話ということで。