見るものなくて「そにアニ」見てたら気になった。飯の種を無料にしたのは間違いだ。これは大きな隙となる。
トンボ玉体験 / 「そにアニ 第7話」より
「そにアニ」の第7話であったガラス工房の一件が気になったのは俺だけじゃないはずだ。見ていない人のために概要を簡単に説明するとこんな感じ。
- そに子が雨宿りでガラス工房の中に入れてもらう
- 工房の人にせっかくだからとトンボ玉体験をやらせてもらう
- 晴れたのでトンボ玉を貰って出て行く
この流れで金を払う描写は全く無かった。これはよろしくない。ストーリーがというより工房の選択としてだ。下手をするとクレーマーが来ることになる。うかつに例外を作るべきではないのだ。
ガラス工房のミスとリスク
あの描写を見る限り、本来トンボ玉体験は商売としてやっているはずだ。おそらく1500円前後*1だろう。軽く調べた感じではあの工房は非実在工房だが、似たようなことをやっている工房は実在する。この作品でもそういう設定だろう。そういった所が今回みたいに無料で体験させた場合、どういったリスクが考えられるだろうか。それはクレーマーが来ることだ。
ああいう頭の緩そうな大学生がTwitterでこんな感じにツイートすることは十分考えられる。
雨宿りしたら無料でトンボ玉体験できた!岡本工房さんすごくいい人。
後はありがちなパターンだ。クレーマーお得意の論理によって体験料を無料にするよう攻められる。
「あの子が無料でいいなら私も無料でいいでしょ」
これを撃退するのは骨が折れる。なぜ彼女が無料でよかったのかを明確に説明することはできない。そもそもクレーマーは話を聞く気がないのだからなおさらだ。断固拒否したら評判に傷がつくかもしれない。だからといってこのクレーマーも無料にするのはもっとマズい。一人目が無料で、さらにもう一人も無料になった。あとは数学的帰納法に従うことになる。ガラスは本来強度が極めて高い物質だが、表面の微小な傷が元で容易く割れる。このガラス工房もたった一度のサービスが元で終わってしまうかもしれないのだ。
鉄壁のお役所仕事
このようなミスをしない方法として参考になるのが市役所などを始めとする「お役所」だ。ああいうところは規則を絶対視して例外を認めない。あの態度は気に食わないが参考になる。
最近身近にあった例を挙げる。先週の大雪は俺の住んでいるところにも降り注ぎ、道は雪に埋まった。そこで知り合いが市役所に行き、道路の除雪を求めた。それに対する市役所の返答がこれだった。
「市道は行いますが、国道や県道は管理外なので行いません」
マジかよと思って調べてみたが本当だった。除雪や道路の整備というものはそれぞれの管理者が行うもの*2らしい。それを知って最初は「重要な道路ぐらいはついでにやってくれよ」と思ったが、よく考えてみたら市役所が正しい気がしてきた。管理外もやるとした場合、それでは「どこまでやればいいか」という問題が生じる。結局どこかで線を引く必要が生まれ、ちょうど境界線の外になったところが文句を言うだろう。「なぜこっちはやらないのだ」と。
どこかで線を引くならば、一番理由が明確なところで引くべきだ。そしてそこから一歩も出ないようにする。そうすれば一貫性が保たれ、クレームに耐えることができる。線から出ないようにするのはコストが掛かるかもしれないが、新たに線を引きそれを守るコストに比べれば安いものだ。仮に例外を認めるにしても、例外を認められる条件をあらかじめ明確化しておくべきだ。例えば「すぐに対処しなければ命に関わる」とか。つまり例外の場合も例外の線を引いておくということだ。
一口も許さない
実を言うと俺もこの『お役所メソッド』をしばらく前から採用している。特に飲酒に関しては徹底して行っている。例外を一切作らずにだ。
俺は下戸だ。ビールで吐く。なので酒は飲みたくない。当然自分から飲もうとなんてしない。だが付き合いで食事する時に酒を勧められることは何度もあった。それを俺は全て断ってきている。結局あらゆるシチュエーションで一口も飲まないことが一番波風を立たせずに済むからだ。
もちろん酒がダメな俺だって1mlでダウンするわけではない。酒の量による体への影響は明確な変曲点があるわけではないのでどこかで線を引くのが難しい。そのため一口飲んだ時と二口飲んだ時で明らかな差はなく、もう一口でも同じだろとなりやすい。この古代ギリシャから続く論理*3は酒の席で大いに使われる。さらに「あの時は飲んだだろ」という過去を持ちだされても面倒なことになる。だから俺は常に禁酒を徹底している。
ちなみにこの『一口の罠』にかかるとどうなるかはそに子が体を張って教えてくれている。
マカロンお一つどう?と言われ
一つ食べたら
じゃあ全部あげると言われ
全部食べる / 「そにアニ 第7話」より
だからこいつはデブなのだ。