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本しゃぶり

骨しゃぶりの本と何かを繋げるブログ

【書評】これは格闘ゲームの本ではない、メタゲームの本だ / “勝負論 ウメハラの流儀”

勝負論 ウメハラの流儀 (小学館新書)

勝負論 ウメハラの流儀 (小学館新書)

なんかテレビに出ていたので。

【動画あり】 ウメハラ、めざましテレビに出演wwwwwwwwwwwwwwww


【ウメハラ】プロゲーマー梅原大吾がめざましどようびに登場!2014/2/1【Daigo Umehara ...

読んで分かった。ウメハラがやっているのは格闘ゲームではなくメタゲームだ。

せっかくゲーマーが書いた本なのだからゲームをネタにこの本を語りたい。だが、生憎ながら俺は格闘ゲームをロクにやっていない。それどころか電子ゲームの類をほとんどやらないし、知識も無い。だから一番のめり込んだゲーム、 Magic: The Gatheringをネタに語る。というかこの本に書いてあることは一般的に通じる話だから何にでも応用できる。


一時の勝利より成長を目指す

マジック:ザ・ギャザリング 【英語】 【ミラディン】 戦闘の成長/Battlegrowth

この本は勝ち続けるためにはどのようにすればいいか、どのような心構えをするべきかについて書いている。まず、ウメハラは「勝ち続ける」を次のように書いている。

勝ち続けるとは、成長を続けることだ

「勝ち続ける」と言っても、全ての勝負で勝とうとはしていない。むしろ新しいゲームをやるときのウメハラはセオリーに飛びつかず、自分が納得するまで試行錯誤を繰り返す。当然その段階では敗北を重ねることになる。単純に勝利を欲するならばこの方法は愚かとしか言わざるを得ない。だが視点を遠くに持ち、成長することを最優先事項にするならば話は変わる。なぜそれが必要なのか自分の中で納得し、あらゆる可能性を試している。その結果、高レベルの勝負になった時に差が出るということだ。

逆にウメハラが否定しているのは「勝つために手段を選ばない」というやつだ。カードゲームにおけるこういうやつ。見たことがあるのは俺だけじゃあ無いはずだ。

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防御円は死ね / スターライトマナバーンより

理由としては、対戦ができなければ意味が無いということだ。格闘ゲームだろうがカードゲームだろうが、自分の他に対戦相手がいて初めてゲームが成り立つ。それなのに相手を軽んじるようなことをやっていては対戦相手がいなくなってしまう。それでは自分が成長する機会も失い、結果として弱くなる。だから手段は選ぶべきだし、常にフェアであれということだ。

そう考えるとウメハラの思想というのは、MTGでいうところの緑白となるだろう。いわゆるセレズニアカラーだ。成長を目指しながらも規律を大切にしていく。ちょうど否定しているのが利己主義=黒と、敵対色となっているのが面白い。MTGのカラーパイは良くできている。

メタゲーム

マジック:ザ・ギャザリング 【英語】 【アンヒンジド】 Richard Garfield, Ph.D.

この本を最初に読んだ時、俺がまず思ったのが「この人はメタゲームを制するために行動している」ということだ。この「メタゲーム」という言葉は一般的に以下のように使われる。

大会では何人もの対戦相手と戦うことになる。この場合、「どんなデッキ相手でもそこそこに戦えるよう構築したデッキ」も悪くはないが、それ以上に「大会で多く使用されているデッキ相手に有利となるよう構築したデッキ」の方が勝率を上げやすい。そういったことを考え、勝率が高くなるようにデッキ(サイドボードを含む)を構築することが「メタゲーム」である。略して「メタ」とも言われる。
メタゲーム - MTG Wiki

この言葉は俺の人生と財布に最も影響を与えた数学者、TCGの生みの親であるリチャード・ガーフィールド博士が生み出したものだ。だが、ガーフィールド博士の考える「メタゲーム」はもっと広い意味を持っている。それは次の言葉に集約されている。

それぞれが単独で完結することなく、より大きな1つのゲームの一部となるような複数の勝負を行っているとき、君はメタゲームに参戦していると言える。
【翻訳】リチャード・ガーフィールド博士によるメタゲーム考察/the metagame【Daily MTG】

それぞれのゲームは独立したものではなく、影響を及ぼし合っているという発想だ。さらにゲーム=試合だけではなく、他のプレイヤーとの情報交換や自分の評判、さらには健康状態までもがメタゲームを構成する要素となっている。そしてここで目指すは最終的な勝者だ。これがトーナメントなら決勝で勝つことが最終的な勝利だが、終わりのない場合はいかに勝ち続けるかということになる。そのためには特定の勝負に注目するのではなく、視点を遠くにもつ必要が出てくる。

ウメハラがこの「メタゲーム」という言葉を知っているかはともかく、この概念を意識して行動していると言える。上で貼った動画でウメハラは筋トレをしていたが、これは特定の勝負に勝つためには不必要な行為だ。だが、自分が勝ち続けるためには周囲の応援が必要であり、そのためにゲーマーのイメージを良くする必要があると考えて彼は行っている。さらにゲーム機を家に置かず、肉体と精神のコンディションを整えることも重要視している。これは正にメタゲームを制するための行動だ。ウメハラがトッププレイヤーなのは当然だろう。彼は他より高い次元でプレーしているのだから。

スーサイドの使い道

マジック:ザ・ギャザリング 【英語】 【フィフス・ドーン】夜の囁き/Night's Whisper

勝ち続け、メタゲームを制するためには成長を目指さなくてはいけない。ウメハラ自身も言っているが、これは格闘ゲームだけではなく、広く一般的に使える概念だと思う。ならばその逆も言えるだろう。他の分野でも勝ち続けるなら「手段を選ばない」ことを否定しなくてはならない。つまりMTGの黒がやるようなことは避けたほうがいいということだ。

この黒がやるようなことは何かと考えた時に俺が思うのは『妨害』と『犠牲』だ。このうち『妨害』のほうは言うまでもないと思うが、『犠牲』については避けるべきなのに、多くの人がそれをむやみに使おうとしているように思えてならない。MTGにおける『犠牲』というのは「全てのもののリソース化」だ。『全て』というのは自分の命も含まれる。自分の命すらもリソースにして大きなことをやろうとするのだ。MTG界隈ではこのような戦術を「スーサイド」と呼ばれる。

ここで「実際に自分や他人の命までもをリソースにしようとしてくる人がそうそういるか?」と思うかも知れない。俺から見れば割といる。MTGのスーサイドもそうだが、別に命を丸々使うというわけではない。そんなことをしたらその場で負け。死なない程度に使うのが基本だ。つまり現実に当てはめるならば健康を損なうようなこと、睡眠や食事を犠牲にするということになる。ここまで言えばわかるだろう。最近はスーサイドを戦術に据える企業がメタゲームに上がってきている。黒単のブラック企業ってやつだ。だがこれはメタゲームを制するのに向かないのは言うまでもないだろう。

とは言ったものの、あらゆる状況でスーサイドが悪手という訳ではない。スーサイドが有効な状況も存在する。それはMTGのデュエルと同じ状況、つまり短期で到達できる重要かつ明確なゴールがある状況だ。ここ1ヶ月強の俺がその状況に置かれていた。おかげで色々なものを犠牲にすることに。ブログの更新とか。


マジック:ザ・ギャザリング 神々の軍勢 エントリーセット 日本語版 BOX

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