きっかけ
XYまで一週間を切ったので。
どっちにするか
20代にとって懐古補正が限界まで適用されるポケモン、それがミュウツーだ。そんなミュウツーがフォルムチェンジするというのだから動揺するに決まっている。Yの画像がリークされた時の認めたがらない人たちは見ものだった。半年前の反応がこちら。
【画像】ミュウツーの新フォルムが気持ち悪すぎるwwww/ポケセン
今見ても笑っちゃうくらいの拒否反応。単体としてのデザインはYも悪くないのだが、こういうものは最初に登場したのがオリジナルであり、オリジナルこそ絶対なのだ。
二番目三番目が嫌われるといえばこの季節柄、アニメでも言える。新アニメが次々と始まったが、感想で目につく「これは◯◯のパクリ」という言葉。確かに言いたくなる気持ちも分かる。話の進め方は知らないが、どこかで見たような舞台設定の作品が目につく。それもここ1年以内に。最近の勇者の取り巻く環境は全くもって世知辛いし、異世界への扉は開きっぱなしだ。謎の部活については今さら言うまでもないだろう。しかし、舞台設定が似ていると言うのはそんなに悪いことなのだろうか。
オリジナル至上主義はあちこちで見受けられる。みんなオリジナルがいいと思うし、斬新なアイデアを思いついてそれを実行できれば勝者になれると信じている。だが本当にオリジナルというのはそんなにも素晴らしく、絶対的なものなのだろうか。優れた方法なら法律に違反しない範囲で真似したほうが良い物が創れるのではないだろうか。そんなところにこの本である。「模倣者」と「イノベーション」この2つが両立していいのだろうか。
内容とか
この本は模倣に対する意識を変えてくれる本だ。曰く「模倣は手抜き」とか、曰く「イノベーターこそが勝者」などである。しかし実態は違う。模倣は行うためにそれなりの能力が求められるが、非常に有効的な手段であると。そしてこれを読んでいて思った。この本の主張を理解するにはミュウツーをイメージすればわかりやすい。ミュウツーこそ模倣の行き着く先であり、象徴だと。
後出しは強い
ジャンケンに限らず後出しは強い。相手の出方を見てから行動できるので強みも弱みもわかった上で対処できる。しかも基礎を自分で考える必要はない。相手をベースに形作り、勝てるように工夫を加えればいい。先行者が無双できるのは敵がまだいない時とルールで守られている時だけだ。
ここで下記の表を見てみよう。ミュウとミュウツーの種族値の比較だ。
H | A | B | C | D | S | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ミュウ | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 600 |
ミュウツー | 106 | 110 | 90 | 154 | 90 | 130 | 680 |
均等に割り振られているミュウに対してミュウツーの割り振り方には作為的なものを感じる。これは設定をうまく反映した結果だ。ポケモンWikiによるとミュウツーの設定は以下のようになっている。
フジ博士が、南アメリカのギアナ高地で発見した幻のポケモン・ミュウのジュニアとして産まれた子供に、遺伝子改造を施す事で誕生させた最強クラスのポケモン。 戦闘能力の強化を重視して改造された結果、外見は親のミュウに僅かながら似ているだけで、大型で性格も攻撃的と、オリジナルのミュウとは全く異なる物となってしまっている。また、改造の影響か、ミュウに比べると、覚えられる技の数も、大幅に減ってしまっている。
戦闘という一つの目的を達成するためにバランスが調整されているのだ。その結果ベースとなったミュウと戦えばミュウツーのほうが基本的には有利だ。先行者が進むべき道を教えてくれているので、模倣者は迷わず進める。従って最終的に同じコストを掛けた場合、模倣者の方が高みへ行けるというわけだ。
先行者が優れているとは限らない
フジ老人はイモベーター
「イモベーション」という単語を聞いたことがある人は少ないだろう。Google日本語入力でも「芋ベーション」と変換されてしまう。それもそのはずこの著者の造語だからだ。このイモベーションの意味は以下である。
イノベーション(革新) + イミテーション(模倣)
要するに真似から新しいものを生み出すということだ。そしてイモベーションを行う者のことをイモベーターとこの本では呼んでいる。つまり上で書いたような単に真似するだけではなく、勝つために工夫を加えてくる先行者にとっては厄介な存在だ。なにせただ真似してくるだけなら悪くても互角、大抵は知名度の分だけ勝てるはずだ。しかし、イモベーターの場合だとヘタすれば完敗する可能性があるからだ。
だからこそ俺はミュウツーを作った(設定)フジ老人はイモベーターであり、えらいと称える。ミュウのコピーでも十分強いというのにそれで満足せず、さらなる改良を加える。これをイモベーターと呼ばずしてなんと言うのか。
イモベーター フジ / ポケットモンスター The ORIGIN #02より
バカには真似できない
模倣はイノベーションよりコストは低い。しかし簡単かと言えばそうではないと断言できる。この本では模倣とはただ表面をなぞっただけではなく、模倣能力とも言うべき高度な能力を身につけていなければならないとしている。模倣能力はまとめると、模倣を高く評価する心構えを持ち、模倣対象を慎重に定め、深く分析し、自分に適用できる能力である。つまりそれなりの知識や能力がなければ高度な模倣、ましてやイモベーションを行うことは難しいのだ。
ポケモンずかん(青、ファイアレッド)でのミュウツーの説明は以下のとおりだ。
ひとりの かがくしゃが なんねんも おそろしい いでんし けんきゅうを つづけた けっか たんじょうした。
フジ老人ですらミュウツーを創りだすのに何年も研究を続けたのだ。もし単純にミュウをコピーしていたらミュウツーは図鑑に載らず、けつばん扱いだっただろう。
フジ老人もこんなふうになっていただろう
まとめ
やはりミュウツーは最強だ。
こんな人におすすめ
- オリジナルにこだわる人
- 俺のほうがもっとうまくできると思う人
- トキワジムの人
やっぱYのデザインがいいな