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本しゃぶり

骨しゃぶりの本と何かを繋げるブログ

掃除ロボットを女性型にするのは合理的になりうる

読んだ。メイドロボ実現はよ。

人工知能学会の表紙は女性蔑視? - Togetterまとめ人工知能学会の表紙は女性蔑視? - Togetterまとめ

掃除ロボットをガイノイドにするのは合理的だろ。必要以上に差別を回避しようとすると合理性が失われるから困る。

iRobot Roomba 自動掃除機 ルンバ 780

何か人工知能学会誌の表紙が話題になっている。どうやら「掃除ロボットを女性型にすることは女性蔑視につながる」とかいう主張が出てきたからだ。その発想はなかった。で、ツイッターやはてブのコメントを見ていると、こんなことが書いてある。

この人だけではなく、他にも似たような意見がちらほら見受けられる。「人外の形状にしたほうが合理的である」と。確かに今の技術で語るならそうだろう。だが人工知能やロボットの研究が進み、このイラストに描かれるような人間レベルの動きが可能となるロボットが完成したら話は違う。人型であるべきだ。

人間の人間による人間のための設計

大半のモノは人間に合わせて作られている。なら人間と同じ場所で活動するロボットは人型が楽だ。

立体機動

いきなりだが俺の部屋をルンバは掃除できない。なぜならモノが散乱していて、切れ目なく床が見えている面積は最大でも50cm×50cm程度しかない。冒頭に貼ったiRobot Roomba 自動掃除機 ルンバ 780のサイズは最大幅353mmなので、その場からほとんど動けないだろう。俺の部屋を自由に動くにはモノをまたぐという立体的な機動が求められる。ルンバで部屋がキレイになるのはルンバのためにモノを片付けるようになるからだ。

一般的な家屋内を移動するにはタイヤではなく脚で移動することを求められる。部屋の中に段差はなくても、部屋と部屋の境には大抵ある。さらに2階があるなら階段を登る必要が出てくる。これが許されているのは健常者なら特に問題なく移動できるからだ。だがルンバのような形状には非常に厳しい。だから家屋で活動させるならば脚で移動する設計が合理的だ。そして理想的なサイズは人間大。段差を越えやすく、ドアもくぐれる。

全部やれ

掃除が単に「床をキレイにする」だけならルンバみたいな形状でも可能だろう。しかしモノを片付け、ホコリを払い、油汚れをキュキュっと落とすといったことまで単一の存在にやらせるならどうすればいいか。やはり人型が一番だ。なぜならほぼ全ての掃除用具は人間が使うことを前提に作られている。人型ならその掃除用具をそのまま流用できるわけだ。わざわざ専用のアタッチメントを開発する必要はない。みんな嫌いな「独自規格による囲い込み」から開放されるのだ。

結局のところ環境も道具も人間に合わせて作られているので、それに対応した形を求めるならば人型が最適解になる。

汎用人型なんちゃら

人型である利点はその汎用性の高さだ。そしてそれは低価格につながる。

人型は人と置き換えられる

人間と同等の動きができるなら、肉体労働をロボットに任せることが出来る。今回の掃除ロボはあくまでも掃除をさせているから掃除ロボなのであって、荷物運びをさせたら運搬ロボットだ。共通のハードウェアで様々な仕事のロボットを用意することができる。これは人型であるがゆえの汎用性だ。

そして汎用性が高いというのはそのままコストを抑えることにも役立つ。確かに掃除をするだけならばここまでの外見は必要ないが、接客のような人と接する仕事をさせるなら意味がある。そうすると全て人間そっくりのガワで作ったほうが管理がしやすく、使いまわすことが可能なので、結果として安くなる。人型は技術さえ確立し、量産ができるようになればコスト面からも優秀なのだ。

女性型のほうが使いまわせる

この汎用性の高さに女性型である意味が生じる。ロボットならば性能に男女差は無いので、完全に外見だけの差になる。すると女性型にするほうが合理的だ。一般的に男性より女性のほうが威圧感を与えにくく、受付などに向いている。コミュニケーション用にロボットをデザインするとして、今回の掃除ロボットとエリジウムのコイツ、どちらがいいだろうか。

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落書きしたくなる顔 / エリジウムより

従って共通のハードウェアを使いまわすと考えた時、人型ロボットは女性型のほうが多くなる。そしてそれはそのまま男性型と女性型の生産量差に繋がり、価格差に反映される。よって掃除のような男女どちらでもいい場合は安く、転用しやすい女性型を使うのが合理的になるだろう。*1*2*3*4*5

これはフィクションではない

人型がいかに優れているかということを長々と書いてきたが、これはマンガやアニメの中だけの話ではない。現実的な話だ。それも趣味や研究室の中だけではなく、企業が営利目的で開発しているのだ。今年の国際ロボット展には産業用のロボットとして人型が多数出展された。

ヒトと協調する産業用ロボットはやはりヒト型? ―― 2013国際ロボット展|Tech Village (テックビレッジ) / CQ出版株式会社ヒトと協調する産業用ロボットはやはりヒト型? ―― 2013国際ロボット展|Tech Village (テックビレッジ) / CQ出版株式会社

もちろんひと目で人間ではないと分かるレベルだが、明らかに人間を真似ている。結局のところ、特定の作業のみだけを考えたロボットならば人型にする必要はないが、汎用性をもたせようとすれば人型に行き着くということなのだ。下の動画では、ロボットが人間の道具を使用して作業を行っている様子を見ることが出来る。ロボットに人間の道具を使わせるのは決して夢物語ではない。


見て、感じて、考えて、働く 「自律型双腕ロボット」(開発品) - YouTube

今回の掃除ロボットも工場で生産工程に使っても役に立つだろう。未来の工場では人型ロボットが大量に働いているのかもしれない。そしてその人型ロボットを組み立てるのも人型ロボットになるのだ。

合理性が失われる時

ここまで読んだ人は、人型がいかに優れたデザインか理解したと思う。しかし、人型には技術とは別に大きな問題がある。それは人間の感情・精神だ。

心の壁

よく日本とアメリカで人型ロボットに対する意識が違うのは「宗教が違うからだ」と言われている。曰く「キリスト教では人間が人間(を模したモノ)を作るのは神に対する冒涜」というのだ。これがどこまで本当のことか俺は知らないが、新しい技術にはこういった宗教的・精神的な問題がつきまとう。そしてこういった精神的な問題は合理性さえも捨て去ることがある。特定の宗教を批判したいとは考えていないので具体例は避けるが、宗教的な理由で食事や医療を制限されることはある。これは精神的な理由で合理性が捨て去られる例と言えるだろう。

そして今回の騒動もそれに近いことが感じられる。別に掃除ロボットが女性型であっても掃除で(男性型・無性別型と比較して)特に困ることは無いのだが、女性型であるというだけで批判する人達が出てくる。しかも描いた側にその気がなくても「差別的だ」という理由によって。だが今回のは『差別的』というより『感情的』な話だ。それは下記の反論がわかりやすい。
人工知能学会誌の表紙を通して、批判と攻撃との差をみる
そういうわけでロボットを人型にするとき、最大の壁はこのような人間の心だろう。

合理性を求めて

俺は便利な方が好きだ。そして便利・合理性を追求するためには余計な縛りは無い方がいい。ところが精神的な縛りは一度作られるとなかなか外すことができない。以前マナーについてこんな記事を書いたが、これは今回のような問題にも言えることだろう。

【雑記】マナーから呪いが出る前に - 本しゃぶり【雑記】マナーから呪いが出る前に - 本しゃぶり

前回からマナーについて考えていた。そして結論に達した。もうこれ以上マナーを作るのはやめよう。呪いを増やすことになる。前回書いたこの記事。【雑記】思いやりを持つな...

もちろん差別を助長するような事柄は避けるべきなのはもちろんだが、だからといって必要以上に問題にするのは間違っている。物事は可能な限り自由であるべきなのだ。技術は自由な場所で発展する。

日本が自由な場所でないといつまでたってもメイドロボはできない。掃除ロボットと踊る日はいつになるのか。

空想ルンバ

空想ルンバ

*1:今回の騒動では女性型=セクサロイドという認識の人が多かったが、この掃除ロボットならそのままセクサロイドにも転用できそうだ。

*2:しかしそうなると電源ケーブルで繋がれているのが問題になる。これでは仰向けになれない。

*3:これがバッテリー式でイラストでは充電中ということも考えられる。しかしその場合、行為の最中にウルトラマンよろしくバッテリー切れのおそれが出てくる。いきなり事切れても萎えるだろう。

*4:これを回避するなら無接点充電が望ましいのではないだろうか。つまりベッドの上に寝ることで充電が行われるのだ。Nexus6は有機体なので違ったが、Nexus7はすでにこれを採用している。

*5:ベッドで充電中している時、彼女は電気羊の夢を見るのだろうか。