本しゃぶり

骨しゃぶりの本と何かを繋げるブログ

今が夏だからこそ読みたい3冊を紹介する

今週のお題「読書の夏」ということで夏に読むべき本を3冊紹介する。俺は本を読む季節というものは無いと思っているけれども、この本はこの時期に読んだほうが面白い、というのはあると思っている。なのでこれから紹介する本はいつ読んでも面白いが、今読むのが一番だということで選んだ。

EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅

EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅

EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅

この本をなぜ夏に読むべきかというと、暑い時に読んでこそより深くのめり込むことができるからだ。もちろんやろうと思えば技術と金の力で1年中いつでも暑い状態というのは体験できる。しかしわざわざ「最高の贅沢」みたいなことをしなくても、夏にやればタダで楽しめる。それに外出するときに暑くても、あれよりはマシだなと思える。だから夏に読むべきなのだ。

この本は以前ちょこっと紹介したことがある。

honeshabri.hatenablog.com

この本はウルトラマラソンの中でトップに位置するランナー、スコット・ジュレクの自伝である。彼はこの本の中で多くのレースに参加するが、特に過酷なのがバッドウォーター・ウルトラマラソンだ。このレースはデスヴァレーに沿って135マイル(217km)を走る。しかも気温が50℃を超え、直射日光によってアスファルトは比喩でなくフライパンと化している。このような話を読むときに快適な環境にいるのは間違っている。読者も汗をかくべきだ。

この本は368ページあるので、まあそこそこの長さと言っていいだろう。でもこれを読むときは1日の予定を空にしておき、手元には水とカロリーメイトを置いて、朝から一気に読み進めるべきだ。ウルトラマラソンの中には制限時間が1日以上のものもあるが、途中で時計の針を止めるということは基本的にしない。途中で休んでもいいけれど、ライバルたちは走り続けている。ならば読者もそれに倣って一気に読み進めるというものだろう。

トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか

トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか (ヤマケイ文庫)

トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか (ヤマケイ文庫)

『EAT&RUN』と真逆な理由で薦めるのがこの本だ。この本を夏に読む価値は唯一つ。このクソ暑い中でも、登山においては防寒対策の必要がある、ということをわからせてくれるからだ。これがもう少し涼しくなってきてからだと、平地でも涼しいのだから山はもっと涼しいということを想像しやすい。しかし、今のうだるような暑い時に防寒対策するというのは、頭で理解はしていても、心情的にはやりにくい。登る際に余計な荷物は持ちたくないし、むしろ山の上ならちょうどいい温度になるのではないか、と。

トムラウシ山遭難事故はそんな甘い考えで登山を行った結果、ツアーの18名中9名が低体温症で死亡したというものだ。これはいくつかの要因が重なって起きた事故であるが、直接的な要因は風と雨による悪天候だ。日中の気温そのものは8~10℃とそこまで低くないが、風速は20~25mと非常に強く、雨も降っていた。まず風であるが、体感温度というものは風速1mにつき1℃下がると言われる*1。この時点で体感温度は-10℃以下。そして雨によって濡れることで、その効果は倍増する。水の熱伝導率は空気の25倍ほどで、水難事故ならば水温20℃以下で低体温症は起こりうるのだ。

温度低下をきっかけとする体力の消耗、それに伴う判断力の低下などで、登山者達は次々と動けなくなっていく。山の事故というと、滑落や野生動物との遭遇など、イベント発生的なものが想像されがちだが、実際にはこのようなジワジワと気がついた時には手遅れというようなパターンもありうる。夏はアウトドアということで自然の中へと出かける人も多いと思うが、備えはちゃんとしておこう。そして出かけずに読書をする人はこれを読んで、やっぱり家の中が一番だな、と思っていただきたい。

アウグストゥス: ローマ帝国のはじまり

アウグストゥス: ローマ帝国のはじまり

アウグストゥス: ローマ帝国のはじまり

数ある本の中でも、これほど8月にふさわしいタイトルの本はそうそうない。なにせ彼がいたからこそ8月を“August”と呼ぶようになったのだから。知っての通りアウグストゥスはローマ帝国の初代皇帝である。とてつもなく歴史に影響を与え、知名度も抜群であるが、その割に人物像は知られていないのではないかと思う。どうしても彼の叔父であるカエサルの方が華があるし、5代目のネロのようなわかりやすい暴君でもないからだ。そしてアウグストゥスを知っている人もその多くは『ローマ人の物語』由来だろう。

ハンニバルやカエサルもいいけれど、古代の人物の中ではアウグストゥスがキャラとして一番好きだ。というのも、いい感じにダメな点があるからだ。古代の著名な指導者というのは強いというのが定番である。単純に本人の武芸が優れているというのもそうだが、軍を指揮させても強い。というか指揮が出来るというのは上に立つ人物として必須のスキルである。しかしこのアウグストゥスは違う。政治力だけならパラメータが振り切っている感があるが、指揮はまるで駄目。作戦が失敗すると言うレベルではなく、重大な戦いの時に限って寝込んでしまうレベルなのだ。

しかしアウグストゥスは自分ができないからこそ、人に任せることが出来る。戦闘の得意なアグリッパ、芸術を好むマエケナスと共に、権力の座を勝ち取りに行ったのがアウグストゥスの半生である。18歳の病弱なイケメンが、偉大な叔父から後継者として指名されて最終的に皇帝となるというのは、設定だけ見ればほとんどラノベである。しかしこれはれっきとした歴史的事実なのだ。単純に物語として面白いので、厚い本を読む時間をまとめて取りやすい休暇に一気読みしたい。


というわけで以上の3冊が「読書の夏」にふさわしい3冊だ。単純に薦める本は他にもいろいろあるけれども、あえて夏にということならばこうなる。夏に関係なく薦めるのであれば、最近読んだ本の中から選ぶとこれだろうか。

奴隷のしつけ方

奴隷のしつけ方

奴隷を社畜に置き換えてもわりと通じる。

*1:俺はジョルノのセリフでこれを知った。