本しゃぶり

骨しゃぶりの本と何かを繋げるブログ

当ブログではアフィリエイト広告を利用しています

家の電源タップ全部抜いてバラす「最高の電源タップも犠牲に」

「最高の電源タップ」と呼ばれるものがある。
しかし中身も含めて最高であるかは分からない。

なのでバラすことにした。

電源タップの選び方

一週間ほど前、「最高の電源タップ」がバズっていた。

確かにこのサンワサプライのTAP-SP2110シリーズは便利だ。実際、俺も2018年から使っている。何せ良さげな要素がこれでもかと盛り込まれている。

  • 間隔が広く2面に配置された10個口
  • スイングプラグ
  • 雷ガード
  • ブレーカー
  • 一括集中スイッチ
  • マグネット
  • フック穴
  • PSE認証品

これだけあれば文句ないだろう。

しかし、以前別記事で書いた通り、俺はこれを他人に勧めるのを止めている。なぜなら俺はこの製品の内部がどうなっているのか知らないからだ。 ブコメなどで紹介されているmitokの分解記事を俺も読んでいる。

この記事では電源タップを分解し、導電性安全性の観点から電源タップを評価している。主な評価点は以下の5つだ。

  • ケース:剛性があり、絶縁がしっかりしているか
  • 導線:太くて低抵抗であるか (高いと発熱や電圧低下のリスク)
  • ハンダ:電気抵抗が高く融点が低いので、使われていない方が良い
  • 放熱性:内部は広く余裕があるか
  • 電気抵抗:導線と同じく低抵抗であるか

そして困ったことに、上記記事におけるサンワサプライの電源タップは酷い作りとなっている。差込口間の導線が銅の単線で接続されており、ハンダ付け箇所も多い。ケースが頑丈なのが唯一の取り柄だ。そんなことだから同じサンワサプライの製品なので「最高の電源タップ」もクソではないかと思われがちだ。

しかしよく考えてみたら俺は「最高の電源タップ」の内部を知らない。同じサンワサプライ製であるとはいえ、内部も同じとは限らない。それなら分解して確認しよう。既に購入から4年以上が経過しているし*1。どうせなら家にあるやつ全部やるか。

家の電源タップ全部抜く

ということで全部の電源タップを抜いてきた。

家の電源タップ

上から順に紹介する。

  • 星光商事 型番不明 (2011年製)
  • ヤザワ Y02YBKS662WH (2011年製)
  • エレコム T-K6A-2625BK (2018年4月購入)
  • サンワサプライ TAP-SP2110-1 (2018年9月購入)

最高の電源タップがどうこうより、まさか10年以上も昔の電源タップを使い続けているとは思わなかった。明らかに交換タイミングを大幅に超過している。これに気がつけただけでも、今回この記事を書いた価値があるというもの。よく火事にならなかったな。

全部バラす

さっそく電源タップの分解を始める。古いのは見るのが怖いので、新しいやつからやっていく。なお、俺はmitokの分解記事の人と違って4線式抵抗計を持っていないので、抵抗値の測定はできない。製品の状態ハンダ付けの有無くらいの説明となる。

サンワサプライ TAP-SP2110-1 (2018年9月購入)

トップバッターは「最高の電源タップ」ことTAP-SP2110-1である。

TAP-SP2110-1を分解

さすがにこの製品は全体が銅の単線接続とはなっておらず、ハンダ付けの量も少ない。ハンダ付けがあるのはブレーカーやバリスタ周辺くらいだ。

ハンダ付け箇所

とはいえやはりハンダ付けが内部導体の接続に使われているし、部分的には銅の単線接続となっている。ここに関しては良いとは言えないのではないか。

ハンダ付けと銅の単線

また、これは俺が4年以上使ったものなので新品の時点ではどうなっていたか不明だが、部分的にフラックスが炭化して黒くなっている。

フラックスが炭化

全体としてはmitokで分解されていた「TAP-B40BK」よりはマシだが、愛三電機やパナソニックに比べるとやはり劣っていると言えるだろう。この電源タップを使うなら、あまり消費電力が大きくない機器を接続するのに使うのがいいのではないか。

エレコム T-K6A-2625BK (2018年4月購入)

エレコムの雷ガード、個別スイッチ、ホコリ防止シャッターが付いた電源タップである。

T-K6A-2625BKを分解

まず内部導体のコード接続にハンダ付けが無いのはプラスである。簡単には外れなかったので現時点ではスイッチ内部は未確認だが、mitokのスイッチ付き電源タップ分解記事を見た感じ*2、たぶん無いのではないか。

コード接続にハンダ付け無し

しかし、バリスタ (雷ガード) の接着にはハンダ付けがされている。そしてこれは製品ではなく俺の使い方の問題だと思うのだが、バリスタが炭化しており、周辺も焦げていた。

バリスタがお亡くなりに……

バリスタは自らを犠牲にして接続している機器を守る素子である。一度守ったら役目を終えている。ちゃんと交換しないといけないが、俺は気がついていなかった。本当にこの記事を書いて正解だ。

ヤザワ Y02YBKS662WH (2011年製)

ヤザワの個別スイッチ、雷ガード、ホコリ防止シャッターがついた年代物のタップ。いつから使っているのかは分からないが、コードには「2011」と記してあったので10年以上使っているのは間違いない。そんな電源タップの中身がこれだ。

Y02YBKS662WHを分解

中身について語る前に、まず外装の時点でマズいことに気がついた。ヤザワではなく俺に問題があるのだが。

割れている

差込み口の外装が割れている。これは分解以前の話だろ。いつから割れているのかは知らないが、こんなのを使うのは危ない。

そして内部の方だが、サンワサプライのと同様にブレーカー周辺では内部導体のコード接続にハンダ付けがある。銅の単線接続ではないだけマシか。

ヤザワのハンダ付け

一つ気になったのはこれの反対側である。コードのカバーが削れらた状態となっている。かなり毛羽立っており、これは適切な状態とは言えないのではないか。

コードが毛羽立っている

全体としてそれほど良い代物とは思えないが、それ以上に「さっさと交換しておけ」と自分に言いたい。

星光商事 型番不明 (2011年製)

星光商事の何か

ついに型番が分からないやつが出てきた。こいつも2011年製であるのだが、もちろん記事を書くまで現役で使っていた。そんな電源タップの中身がこれだ。

星光商事の電源タップを分解

まず目についたのが、ケース内部が破損していることである。やはり10年以上も使っていると、何かの拍子で壊れるものらしい。さっさと交換するべき。

ケース内部の破損

肝心の内部構造はというと、内部導体のあちこちにハンダ付けがされている。今回分解した中で最もハンダ付けが多い。

星光商事はハンダ付けが多い

さらに目を引くのは反対側で、折返しがハンダ付けされたコードによって行われている。これはよろしくないのでは。

コードを使って折返し

内部構造的にも寿命的にも、さっさと交換するべき電源タップであった。

代わりに買ったもの

色んな意味で酷い電源タップを使っていたわけだが、これからは違う。mitokの記事に従って、マストバイな電源タップを購入した。

マストバイな電源タップ

パナソニックの「ザ・タップX」と愛三電機の「AOAM83B-MG」である。

6個口のザ・タップXが1,264円で買えた*3のに対し、愛三電機のは8個口とはいえ税込3,960円。さらに「3ピン→2ピン変換アダプタ」を購入し、送料が750円かかって合計5,071円。電源タップ一つにかかりすぎだろ。物が届くまでそう思っていた。

デカくて重い

電源タップにもフラグシップモデルが存在する。AOAM83B-MGを手にとってそう思った。圧倒的な大きさ重量感。確かにこれは4千円してもおかしくない、そう思わせるだけの風格を感じさせた。

こいつがどれくらい大きいかは上の写真を見れば検討がつくと思うが、6個口ザ・タップXの倍以上も長さがある。口の間隔は約40mmあるため、それなりの大きさがあるACアダプタを挿しても干渉しない。金があるなら選ぶ価値はある。

サイズ比較

ただ、AOAM83B-MGもザ・タップXも一つだけ欠点がある。それは雷ガードが付いていないことだ。雷ガードがあるとハンダ付けが使われることになるだろうが、それでも雷ガードはあった方が安心だ。実際、俺が知らない内にエレコムの電源タップでは雷ガードが機能していたようだし。

そこで外付けの雷ガードも合わせて購入した。オーム電機の「HS-TM1MK3PBT-W」である。

こいつは最大サージ電圧が60,000Vと高いのが良い。電源タップに付属のものだと、一般的には10,000Vや12,500V程度だ。それにバリスタが壊れた時に電源タップごと交換する必要が無いのも楽だ。これで俺の考えた最高の電源タップが用意できた。まあ、5年後には交換するべきなのだろうが。

なお、このオーム電機の雷ガードの中身は未確認である。ただ、他のメーカーの分解を見た感じ*4、内部導体への接続にはハンダ付けは使われていなさそうだ。バリスタおよびLEDの接続には使っていそうだが。

終わりに

今回、初めて電源タップを分解してみたが、なかなか学びがあった。やはり定期的な交換の必要性を身を持って知ったの大きい。黒焦げになったバリスタを見てしまっては、さすがの俺もヤバいと感じる。さっそく5年後に電源タップ交換をカレンダー登録した。

また、内部構造を知れたのも学びである。だが、やはり電源タップの中身は購入前に知っておきたい。だいたい中身を知らずに選ぶというのがおかしい。電源タップで抵抗値が分からないというのは、PCで言えばどんなCPUが積んであるのか知らないようなものではないか。パナソニックや愛三電機のように中身に自信があるメーカーは、積極的に公開したほうがいいのでは。

ともあれ、この記事を読んだ人も電源タップの使用年数を確認するべきである。もし5年以上使っているのであれば、さっさと交換だ。

実家へのメモ

たぶん読んでいるであろうと思うので書いておく。

テレビの下にある電源タップとか結構使っていない? あれホコリ溜まっているし差込み口が上向きなので、年数が経過しているならば買い替えたほうが無難。新たに買うなら信頼性とコストの関係からザ・タップXが良い。

ただ、テレビやレコーダーに接続していることを考えると、やはり雷ガードがあった方が安心。俺のように外付けにするか、あるいはザ・タップで雷ガード付きのを買うのが良いだろう。ザ・タップシリーズで雷ガードがあるのはマルチシリーズの6個口で2mのもの。注意が必要なのは2mでも雷ガードがあるものと無いものが存在することだ。型番の数字の最後が 7 のやつが雷ガードあり。

ただこれらにはホコリ防止シャッターが無い。口が余るならカバーを付けておくべき。

記事を書くのに使った工具

電源タップを交換ついでに分解してみたい人に向けて。

38in1特殊ドライバーセット

記事執筆時点で700円しないほど安いのに、サクラチェッカーで合格な特殊ドライバーセット。仕事で使うならともかく、試しに分解する用なら問題ない。今回は4種類の電源タップを分解したが、▲2.0と2.3の2種類で対応できた。

アックスナイン

はてなブロガーとして戦う時用の手斧。

電源タップに言及した記事

中身が分からなかったらブランドで選ぶしかない。