本しゃぶり

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体重増加を食い止めるべく未来を攻略する

気がついたら体重・体脂肪率が増加している。
これは食事を見直した方が良さそうだ。

あの女を召喚する時が来たか。

「減量」をします

今月、俺のBMIは平均19.3であり、22が最も病気になりにくい状態であるという*1。また、体脂肪率は14.7%であり、これは一般的に成人男性で健康的と言われるレベルである*2。ゆえに「点」で考えるならば、俺の状態はちょうどいいと言える。

しかし「線」で見るならば話は変わる。

月平均の体重と体脂肪率の推移

少しずつではあるが、確実に「増加」している。

体重と体脂肪率の変化が完全に連動していることから、体重の増加はほぼ体脂肪の増加によるものだ*3。そして体脂肪の増加は止まる気配が無い。トレンドがこのまま続いたら肥満に到達するのは目に見えている。これはまずい。

なので増加にストップをかけるべく、ダイエットをすることにした。「予防」「対処」に勝る。肥満になってから一気に体重を落とすより、現在の適正体重を維持する方が簡単であるためだ。

減らすか増やすか

体重および体脂肪の増加にストップをかけるのはいいが、どのような手段で行うべきか。一般的に、体重を減らすには主に二つの手段がある。摂取カロリーを減らす消費カロリーを増やすかだ。難易度の観点から、俺は食事への介入で対処することにした。

俺はダイエットを一時的なものにするつもりはない。新しい生活様式を一生続けるつもりで始める。今より運動量を増やすのは期間限定ならともかく、続けていくのは相当に厳しい。既に平日は20~30分/日の筋トレを行い、なるべく階段を使うようにしている*4。休日はこれに加えて30分/日のBeatSaberもやっている。この1年、1日の平均歩数は10,186歩で、アクティブエネルギーは616kcalだ。

直近1年の1日の平均アクティブエネルギー

しかも運動で体重増加を止めるのは難しい。

『USランナーズ・ワールド』の読者12,000人を追跡した調査によると、週に64km以上走るランナーでさえ、年齢を重ねるにつれて統計的に有意な体重の増加が見られたという*5

座りがちな生活をしていた中年男性被験者に半年間にわたって集中的な運動をさせた研究では、減量こそできたものの、体重の減り方は理論値の4割程度にしかならなかった*6。この研究では、運動した被験者はエネルギー摂取量が約100kcal/日増加したことが原因ではないかとしている*7

そしてあるメタアナリシスでは、運動と食事制限の組み合わせには減量効果があったが、運動のみの有効性は確認できなかった*8。運動することは大事だが、痩せようと思ったら食事に介入するのは必須と考えて良さそうだ。

「カロリーは制限する」「運動も行う」

しかし俺の場合、摂取カロリーを減らそうと思ったら頭を使う必要がある。頻繁に間食をしている人ならば、まずそれをやめれば良い。ところが俺は間食をほとんどしないので、介入すべきは朝昼晩の食事となる。

この場合、闇雲に食事を減らすのは愚かだ。一説には、約6週間の集中的なダイエットで10%以上の減量をすると、身体は代謝量を低下させるらしい。そんな状態で食事の量を戻したらどうなるか。リバウンドでダイエット以前よりも体重が増えるだろう。

また、栄養が不足しては健康に害をなすことになる。これでは本末転倒だ。従って俺は栄養バランスを保ちつつ、摂取カロリーを適度に減らすように食事の内容を見直す必要がある。自分一人ではできる気がしないので、人に頼ることにした。

あすけんの女を雇う

ということで「あすけん」である。

今さら俺が説明するまでもないが、「あすけん」はレコーディングダイエットをサポートするwebサービス&アプリである。毎日の食べたものを入力していけば、摂取カロリーや栄養バランスの状況をグラフで視覚化してくれる。これにより何が過剰で何が不足しているのか、一目瞭然だ。

2022/09/17の結果

また、この手のレコーディングダイエットで面倒なのはデータの入力である。容器包装に入れられた一般用加工食品ならば栄養成分表示が義務化されているので*9、見れば分かる。しかし外食・中食、あるいは自炊となると料理の種類から推測するしかないが、一つ一つ入力・検索するのはダルい。

そこでアプリのプレミアム会員機能の一つである、画像解析が役に立つ。

食事写真を登録すれば画像解析をしてメニュー候補を表示します。
最先端の技術でレコーディングダイエットをサポートします。
あすけん - ダイエットアプリ

Giuseppe Arcimboldo, Public domain, via Wikimedia Commons, Link

これでおおよそではあるが、手軽に食事の内容を記録・管理ができるというわけだ。

そこで早速プレミアムに入り、せっせと食事を記録している。まだ開始して1週間も経っていないが、それでも学びは多い。例えば俺が毎日食べているのものにプンパーニッケルがある。

『果糖中毒』でプンパーニッケルは「好きなだけ食べてOK」と書いてあったので、毎朝3枚 (167g) 食べ、休日の昼にも3枚食べることがある。そんなプンパーニッケルの栄養価をあすけんで視覚化するとこうなる。

プンパーニッケル3枚の栄養価 (1食に対して)

食物繊維が多いと聞いていたが、まさかこれほどとは。基準を1食分にするとグラフが突き抜けている。俺の場合、1日に必要な食物繊維は21g以上であるので、朝食にプンパーニッケルを食べるだけでその87%を達成できることになる。他にも鉄分各種ビタミンも豊富なので、多少高くても毎日食べる価値のある食品であると再認識できた。

しかしそんなプンパーニッケルにも欠点がある。それは塩分が多いということだ。プンパーニッケル3枚に含まれている塩分は2.4g。これだけで1食分の上限ギリギリであり、他に何かを食べるとすぐにオーバーする。さらに昼にも食べてしまったら、1日分の上限 (7.5g未満) の半分を超える。これはかなり厳しい。「好きなだけ食べてOK」とは何だったのか。

また、俺はプンパーニッケルにスライスチーズを2枚挟んで食べていたのだが、これも不適切だと判明した。あすけんは栄養価とは別に「食事バランスチェック」と題して、1日の食事を各料理グループに分類し、サービング*10をカウントしてくれる*11。この観点から俺の普段の食事を見てみよう。

2022/09/15の食事バランスチェック

主菜乳製品が過剰である。主菜が多いのは分かるが、乳製品が過剰という意識は全く無かった。俺はスライスチーズを2枚食べる他は、プロテインと一緒に低脂肪乳を200ml飲んでいるだけである。それで必要量の倍というのか。

「何を」「どれだけ」材料と料理区分:農林水産省

だった。俺は毎日、乳製品を必要量の倍も摂取していたわけだ。明らかに余計であり、カロリーを削減したいならやめるべき。

あすけんはこうした栄養バランス*12や食事バランス、それに摂取・消費カロリーから総合的に判断し、1日単位で「あすけん健康度」を算出する*13

2022/09/17の点数

そんなわけでここ数日は、あすけんの女こと未来(みき)を攻略するために色々試している。やっていることは実質デッキ構築。スーパーでは現在の栄養価を見ながら、どの食品をピックするかで悩んでいる。

あすけんの限界

このようにあすけんは便利であるのだが、一方であすけんの限界も見えてきた。

例えば食べ方については一切考慮されていない。同じ食品でも使う食器が異なるだけで影響も違ってくることがある。白米の食べ方による血糖値の変化を比較した研究では、スプーンで食べた時はGI値が81であったのに対し、箸で食べた時は68しかなかったという*14。これは一口あたりの咀嚼回数や、一口の量の違いによるものだと考えられている。

同じ食品でも食べ方によってGI値は異なる

また、成分の組み合わせも当然ながら無視だ。以前に別の記事でも取り上げたが*15、天然のブロッコリースプラウトと、同量の成分を含むとしているサプリメントを比較した研究では、血液や尿に含まれているポリフェノールが天然はサプリメントの4倍になったという研究もある*16。天然の食材を一つ取り出してもこうなのだから、複数の食材が組み合わさった時の影響はどれほどのものだろうか。

あすけん健康度における食品の多様性は、1日単位での「食事バランスチェック」ぐらいでしか考慮されていない。これでは体重に大きな影響を与える腸内細菌のことなんて*17、ほぼ無視されていると言っていいだろう。

そのため、あすけんの点数が高い食事を続けたからといって、健康になるとは限らない。少なくとも点を稼ぐことそのものを目的とするのはやめた方がいいだろう。目指すべきは健康になることであって、あすけんの女に褒められることではない。

違う、そっちじゃあない!

とはいえ、あすけんの点数が無意味であるとは思わない。これはTOEICみたいなものだ。TOEICの点数が高いからといって英語ができるとは限らないが、TOEICの点数が低い者は英語ができないと考えて良い。あすけんも同様で、点数の高さは健康を保証しないが、点数の低さは食事内容が不適切であることを意味する*18

終わりに

俺のあすけん初日の結果は以下である。

2022/09/14の結果

2022/09/14の点数

食事を選ぶ時、これまでも俺は健康を意識して選んでいた。しかしそれは「個別」であって「全体」の視点が不足していた。そのため栄養が偏り摂取カロリーが過剰で、体脂肪が増加し続けたのだろう。

これからは違う。あすけんの女の見解*19を参考に、バランスの取れた最適な食事を目指す。そして最適化された食習慣によって身体の健康を維持し続けるのだ。

健康的な食事をとる上で参考にしている本

俺が健康的な食事をする上で参考にしている本。ただし俺は食事・栄養の専門家ではないので、「たぶん正しいだろう」としか言えない。健康関係は怪しげな本が多すぎて困る*20

『ダイエットの科学』

疫学と遺伝学を専門とする研究者が、様々なダイエットにまつわる知識を調査・分析した本。本記事では様々な研究を紹介しているが、全て本書で取り上げられていたものだ。

本書は今年の上半期に読んだ中でも特に良かった一冊である。以下の記事で取り上げているので、もう少し詳しい紹介を読みたければそっちを読んでほしい。

『科学者たちが語る食欲』

本記事では使わなかったが、本書も上の記事で紹介したうちの一冊だ。本書はタンパク質を中心に、生物の食欲について語る本である。タンパク質こそが食欲のカギであり、生物はタンパク質への欲求が満たされるまで食事を行おうとする。

こう書くと、「痩せたければ高タンパク質・低炭水化物・低脂肪の食事をすればいいのだな」と早合点する人がいるだろうが、これには注意が必要だ。高タンパク質・低炭水化物の餌を与えられたバッタやマウスは、繁殖力が高まり、寿命が縮まった。本書を読むと生物は単純であり複雑な存在であることがよく分かる。

『果糖中毒』

プンパーニッケルをお勧めする本。内容が知りたければ以下を参照。

使っている体重計

冒頭に体重と体脂肪率を載せたが、測定にはWithings Body +を使っている。Wi-Fi接続なので、一度設定したら勝手にデータをアップロードしてくれるのが良い。Bluetooth接続だと、スマホが必須なのが面倒らしい。

太った時の記事

太った時は記事にするけど、痩せた時は記事にしないタイプ。

*1:BMI | e-ヘルスネット(厚生労働省)

*2:体脂肪率や内臓脂肪レベルを知っていますか?|肥満|生活習慣病ガイド|健康サポート情報|オムロン ヘルスケア

*3:計算したら体重増加の約70%が体脂肪の増加によるもの。

*4:上った階段数は休日も含めて平均18階/日である。

*5:The effects of changing exercise levels on weight and age-related weight gain - PMC

*6:Nonprescribed physical activity energy expenditure is maintained with structured exercise and implicates a compensatory increase in energy intake | The American Journal of Clinical Nutrition | Oxford Academic

*7: ただし、被験の運動による消費カロリーの増加は300±106~373 ± 50 kcal/kg(体重)の間らしいので、エネルギー摂取量の増加以外の要因もありそうだ。

*8:Long term maintenance of weight loss with non-surgical interventions in obese adults: systematic review and meta-analyses of randomised controlled trials | The BMJ

*9:栄養成分表示について | 消費者庁

*10:食事バランスの観点から料理をカウントするための単位。「SV」とも表記する。料理グループごとにSVの目安となる量が決まっており、さらに1日にとる目安の量も定められている。これを使うとざっくりどれくらい食べるのが適正か分かる。「何を」「どれだけ」材料と料理区分:農林水産省

*11:あすけん - 栄養価の算出および過不足判定の基準

*12:健康度の説明には「PFCバランス」とあるので、点数に影響するのは脂肪・タンパク質・炭水化物だけかもしれない。ビタミンや塩分はどうでもいい?

*13:あすけん:健康度とは

*14:The impact of eating methods on eating rate and glycemic response in healthy adults - PubMed

*15:2022年上半期に読んで面白かった本5選 - 本しゃぶり

*16:Bioavailability and inter-conversion of sulforaphane and erucin in human subjects consuming broccoli sprouts or broccoli supplement in a cross-over study design - PMC

*17:これもまた、別の記事で取り上げたネタを書いておこう。双子であるにも関わらず、片方が肥満でもう片方が肥満ではない組み合わせを調査した研究がある。痩せている方の腸には健康な細菌が豊富で、ビフィズス菌やラクトバチルス菌が多かった。対して太っている方の腸内細菌の多様性は低く、炎症性の細菌が多かった。しかも太っている人の腸内細菌を無菌マウスに移植したところ、短期間のうちに16%も太ったという。Gut microbiota from twins discordant for obesity modulate metabolism in mice - PubMed

*18:もちろんどれくらい不適切かは個人差があるし、適切な目標設定をしていることが前提となるが。

*19:「の」が連続すると「ウェカピポの妹の夫」を連想するな。

*20:例えばこれで貼ったうち、どれくらいが正しい知識を提供していると思う? 長生きしたければ30冊 - 本しゃぶり