本しゃぶり

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2020年上半期に読んで面白かった本5選

いつの間にか2020年も半分が過ぎている。
上半期に読んだ中からおすすめの5冊を紹介する。

【目次】

2020年上半期に読んだ本

今週のお題「2020年上半期」ということなので、タイトル通り2020年上半期に読み終えた中から良かった本を5冊紹介する。去年は後で書こうと思っていたら、結局今年の3月まで書かずにいた。散髪と同じで半年に1回くらいがちょうどいいのかもしれない。

2020年上半期に読み終えた本は41冊。去年は年間で101冊なので遅いペースだ。

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2020年上半期の読了数推移

言い訳をするならば、1月上旬は体調不良、5月・6月は引っ越しで忙しかったせいだ。多く読めばいいというものではないとはいえ、ある程度の量はあった方が良い*1。下半期は意識して量を増やしたいと思う。

前置きはこの辺にして本の紹介に移ろう。

『140字の戦争』

ソーシャルメディアの登場が、戦争にどのような影響を与えたのかを紹介する本。本書では様々な形でソーシャルメディアが戦争に関与した物語が紹介される。ソーシャルメディアの影響というと、「個人の持つ力」という文脈で紹介されることが多い。本書で紹介される中にはもちろんそのタイプもあるが、一方でイスラエル軍やISといった「組織」の事例も紹介される。軍事的成果よりも政治的成果が求められる現代において、ソーシャルメディアは無視できない存在なのだと実感する。

とはいえ目を引くのは、やはり個人の物語だ。中でもエリオット・ヒギンズの話がオタクの妄想みたいで面白い。これは一人のネットゲーマーがソーシャルメディアを駆使して大国の陰謀を暴き、アメリカの情報機関が彼のブログを公式にチェックするようになる話だ。おおよその流れを知りたければこの記事を読むといい。

gendai.ismedia.jp

本書を読むと、ソーシャルメディアが実に強力な道具に思えてくる。今までなら一般市民が国家の主張と戦うことはできない。だが、ソーシャルメディアを使えば権力者と戦うこともできるし、勝つこともできる。正邪問わずに。

一方で自分は「ソーシャルメディアを使いこなしている」というより「ソーシャルメディアに使われている」と感じている人もいるだろう。そういう人は次の本がおすすめだ。

『僕らはそれに抵抗できない』

僕らはそれに抵抗できない

僕らはそれに抵抗できない

本書はソーシャルメディアなどのテクノロジー関連を中心とした、行動嗜癖について解説した本だ。薬物以外でも人は「やりたくないのに止められない」状態に陥る。なぜ人はハマってしまい、どうしたら抜けられるのか。

俺が本書で特に楽しく読めたのは「なぜハマるか」について解説しているところ。要するに様々なサービスが人を操るために使っているテクニックである。その一部は以前にこの記事で紹介した。

こういったテクニックは自分でも使えるものもあるので参考になる。例えば「クリフハンガー」はブログなどの文章でも使うことができる。これは「未解決状態で物語を終わらせる」という手法だ。こうすることで観客は続きが気になって仕方なくなり、そこで止められなくなる。俺は「クリフハンガー」という単語は知らなかったけれども、この手法は記事を書くときに良く使う。具体例は出さないが。

本書はハマる理由の解説だけで終わらず、ちゃんと解決策についても書いている。例えば「環境を変える」のは有効だ。習慣のトリガーは環境と強く結びついているので、新しい環境に移るだけでスパッと止められることがある。

当たり前の話だが、こういった対応は知らなくてはできない。だから読んで知るところから始めるべきだ。未来という眼の前にポッカリ開いた「落とし穴」を見つけ、それに落ちる事がなければ、人生は決して『沈む』事がない『絶頂』のままでいられる。逆に一度落ちて欠乏状態になると、這い上がるのは難しい。

『欠乏の行動経済学』

なぜ人は欠乏状態に陥るのかを説明した本。タイトルは後半が本質で、「時間がない」は欠乏の一例に過ぎない。本書は欠乏の本質本*2 だと言える。

本書では欠乏が生じるメカニズムと、欠乏状態から抜け出すことの困難さを書いている。簡単に一連の流れを説明すると以下のようになる。

  1. 人はリソースが潤沢にある時は無駄に使う
  2. 突発的な出来事でリソースが不足する = 欠乏状態になる
  3. 欠乏状態になると人はそのことに集中し、視野が狭くなる = トンネリング効果
  4. トンネリング効果で他のことに対する脳の処理能力が低下する
  5. トンネリングの対象にリソースを集中させるため、他に使うリソースが不足する
  6. その結果、新たな欠乏が生じる
  7. 3〜6を繰り返す

要するに一度欠乏状態になるとそれが新たな欠乏状態を引き起こすため、悪循環にハマるのだ。しかも脳は目の前のことに集中してしまうため、長期的な視点で物事を考えるのが難しくなる。だから脱出できない。抜け出すためにはトンネリングに陥っていない他者の協力が必要だ。

本書を読むと欠乏のメカニズムと恐ろしさが良く分かる。一度欠乏状態になると抜け出すのは困難であるため、欠乏状態にならないのが肝心だ。それには突発的な出来事に対処するための余裕を持っている必要がある。長期的な視点を持っているうちに問題への準備をしておこう。

『21 Lessons』

『サピエンス全史』で有名なユヴァル・ノア・ハラリが現代の人類が持つ問題について書いた本。1作目で過去について語り、2作目で未来について語り、3作目である本書では現代について語るので、実質『火の鳥』。

本書は一つの章で一つの題材について語り、それをまとめたものとなっている。とはいえ完全な短編集というわけではなく、各章はゆるやかに繋がっている。章の最後で疑問を提示し、その答えを次の章で考える、というクリフハンガーな構成も多い。

内容について言及すると、本書は問題に対してスパッと答えを提示するタイプの本ではない。むしろ人類の抱える問題の規模に対して、既存のシステムは小さすぎると主張する。さらに解決へと導く「物語」も無いと語る。科学の発展によって宗教が否定された今、何が「意味」を与えてくれるのか。「自由意志」すら本当にあるのか怪しいというのに。

こうやって多くの物語や宗教、イデオロギーを批判することに多くのページを割いているのが本書である。なので読めば読むほど、意味を求める人ほど悶々とすることになる。そうやって引っ張った最後に「瞑想」を解として提示するのが、オチとして素晴らしい。大きなスケールの問題に立ち向かうため、自分の内面と向き合うのだ。

この解は万人にとって最適なものであるかは分からないと、著者は言っている。あくまでも自分にとってベストな解であると。しかし提示されたのならば瞑想を試すのは悪くない選択だ。少なくとも他の解を俺は持ち合わせていない。だから瞑想を始めることにした。

『サーチ・インサイド・ユアセルフ』

Googleでやっている瞑想セミナーの本。瞑想のやり方とやる意味について書かれている。Googleのエンジニアが書いているだけあって、瞑想の効果を科学的な知見から述べているのが良い。

本書および瞑想の実践については既に記事を書いたので、そちらを読んでもらいたい。

今年のGWから瞑想を始めて、まだ続いている。朝は忙しいので、寝る前にやるのが習慣となった。定量的な効果を示すことはできないが、一日の感情をリセットして寝れる感じはする。相変わらずじっとしていると余計なことを考え始め、思考がフラフラと漂うのは変わらない。続けていればそのうち集中を保てるだろうと、気長に構えている。

終わりに

冒頭に述べたように、上半期はあまり冊数を読むことはできなかった。それでも、この記事を書こうと思える程度には「当たり」が多かったのが救いである。

下半期は読書量を増やし、年間100冊まで行きたい。とはいえ数を読むことが目的ではないので、無駄にネットを眺めている時間を減らし、読書時間を増やすことを目指そうと思う。

2019年に読んでおすすめの本

去年のおすすめ本はこれ。

*1:なぜ読書量を3倍にする必要があるのか - 本しゃぶり https://honeshabri.hatenablog.com/entry/already_answered

*2:「本質本」については次の記事を参照:「本質本」と呼べそうな本3冊 - 本しゃぶり