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【書評】GALAXは帝国だけど滅びそう / “企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔”

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きっかけ

アニメの世界ですら企業が支配し、首相が無能になっているのを見て。

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首相に説教する若い経営者 / ガッチャマンクラウズ 10話より

ガッチャマンクラウズ10話見た。演出は熱くて俺好みでよかった。特に丈さん復活~ガッチャマン・アッセンブルなところが。でもストーリーはなー。そんなんでいいいのかよみたいな。

で、10話であらためて思ったけどあの世界のGALAXやばいよね。市長も市民への注意喚起のために真っ先にGALAXを使おうとするし。たかが一企業のサービスにすぎないのに完全にライフラインになってる。

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パイパイにとってもライフライン / ガッチャマンクラウズ 2話より

この一企業が完全に生活の基盤を支えているという構図がフィクションの世界だけかというとそうではない。俺がこうやってブログ書いたり調べたりするのも特定の企業に依存しまくった上でのことだ。こんな状態に持って行った企業の実態について書かれたのがこの本だ。


内容とか

世界は支配されている

著者は元々Appleのシニアマネージャーで働いていた。だからAppleの内情については詳しいし、自らの体験をもとに書いているのでAppleについては実感のこもった内容となっている。そんな著者がAppleを辞めてから気がついたことがある。一部の企業=私設帝国によって世界は支配されている!な、なんだってー。そして大多数の人間はこの私設帝国によって作られた「仕組み」の中で使われ、消費を強いられる籠の中の鳥にすぎないのだ。

私設帝国となった企業

私設帝国とは著者の作った造語である。それは次の3つの条件を満たした企業に与えられる称号だ。

  1. ビジネスの在り方を変えてしまう
  2. 顧客を「餌付け」する強力な仕組みを持つ
  3. 業界の食物連鎖の頂点に君臨し、巨大な影響力を持つ

この本で書かれていた具体例はこんな感じ。

  • アップル
  • グーグル
  • マイクロソフト
  • インテル
  • IKEA
  • ウォールマート
  • エクソンモービル
  • モンサント

どれもこれも聞けば「私設帝国」という呼び方に納得するメンツ。仮に知らなくてもウィキペディアあたりで調べてみれば「オ、オゥ…」としか言えない規模だ。

そしてこの私設帝国は5つの機能的特徴がある。

  1. 得意分野への集中
  2. 小さな本社機能
  3. 世界中から「仕組みが創れる」人材を獲得
  4. 本社で「仕組み」を創り、それを世界中に展開
  5. 最適な土地で最適な業務を遂行

この特徴を備えた結果、私設帝国が世界を支配しちゃっているわけだ。

こうやって条件や特徴を挙げてみるとGALAXは十分に私設帝国と呼んでいいな。アニメでは立川での描写しか無いから世界にどの程度のユーザーがいるかわからないけど、2話の時点でXはこう言っている。

「インストールユーザーが2億人を突破しました。」
「現在のアクティブユーザー率は87.5%」

これがどのくらいの規模かというと、去年のTwitterの公式ツイートが参考になる。

ついでにLINEも。ASCII.jp:ユーザー数が2億超のLINE、国内常用者数はSNSトップ
GALAXのアクティブユーザー数はざっと175,000,000人以上か。もう私設帝国かその予備軍と言っていいだろう。しかも条件だっていい線いってる。
1. SNSの運営に特化
2. 本社は一人(にAIと宇宙人が追加)
3. 世界どころか宇宙からも
4. 本社というかほとんど累の独断
5. 立川はたぶんいいところ

これは完全に帝国だ。CROWDSとかいう近衛兵までいるし。

籠からは出られない

「私設帝国」なんて大層な呼び方をしているけれど、何が問題なのか。その帝国とやらのおかげで高性能なガジェットが安く手に入るし、無料で便利なサービスを使える。私設帝国バンザイ、オール・ハイル・グーグル!パッと思いついた例が全部Googleとか完全に飼いならされているな俺。

私設帝国の主な問題は3つ。選択の余地が無いこと、搾取されること、勝てないこと。この問題3つはそのまま私設帝国が支配をするための戦略そのものだ。

まず選択の余地が無いことだが、条件の2つ目にもあったように顧客は「餌付け」される。一度帝国の商品を味わったらもう他には行けない。帝国内で生きている間は非常に快適だが、外に出ようとした途端もう離れられないことに気がつく。docomoからiPhone出るけど、今まで購入してきたAndroidアプリはどうするの?しかも帝国製品は周囲を駆逐する。もはや変わりは存在しなくなっていることもザラだ。GoogleReaderよ、何故死んだ。

次に搾取されちゃうという話。これはユーザーというより帝国の元で働いている人達がっていうこと。AppleなんかだとFoxconnの自殺しちゃうまでの労働環境とかが有名。あと最近だとアップルの植民地と成り果てた日本なんてのが話題になってた。この本では他の会社だと畜産農家の話とか出てくる。帝国からしてみれば替わりなんていくらでもいるからな。

そして勝てない。少なくとも個人では。なぜなら帝国はロビー活動をバンバン行っている。金ならそこら辺の国よりよっぽど持っている。というか米アップルの現金残高 米政府を上回るなんてこともあったぐらいだし。だから法律までも自分達の都合のいい用に変えていく。著作権延長法にいたってはネズミの名を冠する位だし。三権分立とか言うけどみんな帝国に骨抜きにされてる。勝てるわけないんだ…。

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快適なら無理して出なくてもいいかな / ガッチャマンクラウズ OPより

イメージが悪いと死ぬ

そんな無敵に思える帝国も悪いイメージを持たれるとダメージを食らうし、最悪死ぬようだ。だからAppleのような一般人を相手にするようなところは不満が生じたらすぐに対処する。いくら餌付けしているとはいえ、不味いものを出したら食わないほうがマシだと思われる。また、エクソンモービルやモンサントなんかだとできるだけ目立たぬよう裏方に徹して活動する。まさに影の支配者。

しかし、一度その悪事(とは言っても法律には違反していない)が表に引きずり出され、個人ではなく群衆に責められると弱い。この本にもあったピンクスライム肉の一件はいい例だ。

従って帝国に立ち向かうためには決して一人でやってはいけない。あらゆる手を使って周囲を巻き込み、集団で行く必要がある。

そうなるとやっぱりGALAXはもうだめかもしれんね。

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GALAXオワター / ガッチャマンクラウズ 9話より

ここまで日常に浸透したGALAXもこれだけの悪いイメージを覆すのキツイだろ。GALAXは自ら生み出したCROWDSによって滅ぼされるのか。

個人が持つべきは創造性

そんな帝国が支配している世界でどうやって生きていくべきか。それに対する著者の解答が創造性・アートを養うことだ。無個性で何者でもない人間は帝国にとって顧客かスペアでしかない。都合が悪ければ別のと交換するだけだ。しかし、他人とは違う交換不可欠な存在となることで、帝国の内側へと入る、もしくは自立する事ができる。帝国が採りたいのは仕組みが創れる人間だ。すなわち新しい価値を創造できる必要がある。そうすれば自然と自分の価値は上がる。だから創造性なのだ。

そうなるとはじめちゃんがガッチャマンクラウズの主人公なのも納得がいく。NOTEも『デザイナーのNOTE』だし。やはりこれからの時代は新しいものを生み出さないとな。

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NOTE見れば分かる / ガッチャマンクラウズ 2話より

まとめ

何だかんだ言っても帝国製品は便利だから鳥籠の中で創造性を高めていればいいんじゃないかな。あとAppleのことdisりまくった感じになったけど俺好きだよ。むしろ好きだからこそ例がポンポン出てくるわけだし。


こんな人におすすめ

  • Apple製品使っている人
  • 私設帝国を立ちあげたい人
  • 何者にもなれていない人

カッツェのNOTE欲しい

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