ポンペイの遺跡に行け。
「そこの『犬のゆか絵』のところに鍵(キー)がおいてある」
それを見つけろ。
始まりのツイート
俺はジョルノの住んでいたネアポリス中・高等学校の中等部寮を訪れていた。
一通り写真を撮ってTwitterに投稿した時、一つのツイートが目に入った。
紀元前からあるポンペイ
— にゃん (@nyan_tas) December 24, 2019
状態保存の為にアクリルで触れないようにしてるのにジョジョツアーだからって鍵を空気穴からブチ込むって信じられない
それを見てほぼ全員が「感激!最高!」って言ってる価値観もおかしい
しかもツアー側もゴミ捨てたまま
近畿ツアーは絶対利用せん#黄金のイタリアツー pic.twitter.com/iPQwcVpDvV
どうやら近畿日本ツーリスト開催の公式ツアーこと「黄金のイタリアツアー」で設置された鍵が、まだ『犬のゆか絵』の上に置いてあるらしい。
2019/12/27追記
後で述べるように、この鍵はガイドが勝手に突っ込んだものではない。許可をとった上で設置したものだ。放置されているのは、単に回収を忘れただけである。
このことを知って俺は思った。
今ならリアルに鍵を回収できるのでは?
しかし先のツイートをした人は鍵が置きっぱなしなことに怒っていたので、もう取り除くように言ったのかもしれない。そこで訊いてみた。
依頼は出来ていません
— にゃん (@nyan_tas) December 24, 2019
気付いたのもその場を去って暫くしてからできて
もし可能であれば本来骨しゃぶりさんに依頼するべきことでは無いかもしれませんがお願いしたいです
速攻で切符を買った。
『悲劇詩人の家』を目指す
目的地が『犬のゆか絵』なら、ヴェスーヴィオ周遊鉄道のソレント線を使い、『Pompei Scavi - Villa Dei Misteri駅』で降りるのが良い。運のいいことに、ホームに向かったらちょうどポンペイ行きの電車が来ていたので飛び乗る。
ポンペイか。1年前に巡礼で来たきりだな……
なぜか今日(12/24)は入場無料だった。運命が俺に味方している。
迷わず進み、『犬のゆか絵』との再会を果たす。
鍵(キー)を回収
マジに「鍵」が置いてある。
後はこのことをポンペイ関係者に伝えるだけである。しかし俺の英語力は便器に吐き出されたタンカス程度しかないので、こんなことを説明できる気がしない。なので予め伝えたいことをGoogle翻訳に入力しておき、それを見せることにした。
ポンペイ遺跡に行ったことのある人なら分かると思うが、意外に遺跡の中にはポンペイ関係者がいない。それでもウロウロ探し回ると、公認ガイド的な人がいたので話しかける。
ガイドは最初、俺が『犬のゆか絵』を見に行きたいと誤解したようで、地図を見せろと言ってきた。「違う、そうじゃあない(日本語)」と言って、よく読めとGoogle翻訳を見せつける。しかし、「それはフェイクだ」みたいなことを言って、取り除くための行動をとる感じではない。俺はこの人に期待することを諦めた。
だが「鍵」を回収することを諦めたわけではない。なぜなら回収するところを見たいからである。
もう少し探してみると、「悲劇詩人の家」の近くの建物内で新たな公認ガイドを発見した。そこで今度はGoogle翻訳と写真を見せるだけでなく、こっちに来いと言って実物を見せた。ガイドは「任せろ」と言って無線で連絡を取り始めた。
しばらくすると、鍵束を持った警備員のおじさんが現れた。そして……
任務完了。
勝利のBGM(il vento d'oro)を聞きながら俺はクールに去った。
なお、鍵はもらえなかったので、亀にセットすることはできない。
ツアー会社の回答
2019/12/27 追記
犬の床絵の鍵の件について近畿日本ツーリスト様よりご回答いただきました。
— 琴月@冬コミ1日目 (@DIO_cos) December 27, 2019
良かった良かった☺#近畿日本ツーリスト#黄金のイタリアツアー pic.twitter.com/fQ9azp7F93
- 鍵含めて小物は許可をとった上で設置している
- 回収は添乗員と現地観光ガイドが回収する予定だった
- 確認不足で「鍵」が放置される
- 現地在住のJOJOファンによって回収は完了
こういうことらしい。まあそうだろうなとは思っていた。これで変な憶測が広まらなければいいが。
ただ一つ言っておくと、俺はナポリ在住ではない。偶然居合わせた旅行者である。
終わりに
まさかリアルに鍵(キー)回収任務ができるとは思わなかった。こんな体験をするのは俺が最初で最後だと思う。「黄金のイタリアツアー」を一番活用したのは、関係者を除くと俺が一番なのではないだろうか。
参加していないけどな。