親指シフトを始めてから半年が経過したのでメモしておく。
今週のお題「2016上半期」ということで振り返ってみると、親指シフトを使い始めた、というのが俺にとって一番の出来事だろう。始めたときは続けられるか若干不安であったが、仕事・プライベートのどちらも親指シフトにしたことで、否が応でも使えるようになった。
そんなわけで、半年間親指シフトを使い続けた感想を、メリット・デメリット別に書いていく。
メリット
まずはメリットについて書く。先に言っておくと、あらゆる物事にはメリット・デメリットがあるように、親指シフトへの転向も両方あった。しかし、今もなお続けていることから分かるように、メリットの方が上回っていると俺は判断している。
1. タッチタイピングができるようになった
いきなり万人向けの話ではないが、俺にとってはまずこれである。
ローマ字入力をしていた時、俺はタッチタイピングができていなかった。何となくはキー配列を知っていても、アルファベットすら怪しく、大抵はキーを見ながら打っていた。そして、そうしているからこそ、タッチタイピングを習得することは出来なかった。
しかし、親指シフトを始めるとそうも言っていられない。何しろキーに書いてある文字と入力される文字が違うのだから。なのでキーボードを見ても混乱するだけであり、画面を見なければ正しく入力出来ているかはわからない。おかげでタッチタイピングが出来るようになった、というわけである。
2. DelとEnterを押すのが楽
キー配列を0から覚え直すのだから、せっかくなのでDel(=BackSpace)の位置も親指シフト仕様にした。つまりEnterの左隣りにしたのである。

この位置にDelがある、というのは実に便利である。なにしろホームポジションを全く崩すこと無しに押すことが出来るのだから。最初はタッチタイピングに慣れていないこともあって押し間違えの不安があったが、実際に使ってみると杞憂でしかなかった。ミスってもすぐにリカバリできるというのは実にいい。なぜQWERTY配列ではそうなっていないのか疑問に思えるほどだ。
さらに俺は右手のホームポジションを一つ右にずらしたOrzレイアウトを使っているため、Enterの位置も近くなっている。日本語の文章ではEnterの出番が多いため、この近さは非常に楽と言わざるをえない。
そしてOrzレイアウトを使っていると、小指のリーチは大きく動かしやすいことに気がつく。小指は二つ離れた位置を押すことがわけなくできる。一方で人差し指は難しい。Orzレイアウトでは「6,Y,H,N」のキーが左右どちらからでも二つ離れた位置にある*1 。これが結構押しにくいのだ。試しにやってみればわかると思うが、他の指を動かさずに打つのは無理である。それを考えると、左小指はその力を存分に発揮できていないわけで、実は左手も一つ右にずらしたほうが便利なのでは、としばしば思う。
3. オリジナルのキー配列
BackSpaceの同様に、記号についても見直すことにした。以前の俺だったら多少不便に感じていても、キー配列を変えようと思わなかっただろう。刻印が意味を成さなくなるし、他人のPCを使うことができなくなる。しかし、親指シフトにするのなら別だ。一番重要な文字の配列が全く異なるのだから。
なのでよく使う記号を、俺にとって打ちやすいところに配置しなおした。参考にしたわけではないが、ここの配置にかなり近い。
現状の配置で概ね満足しているが、そのうち変更することもあるのではないかと思う。一度キー配列を最初から覚え直す経験をすると、記号なら多少変えてもすぐに使えるようになると言えるからだ。この、新しいことを試そう、という気になれるのがある意味で一番良かった点かもしれない。
デメリット
もちろん親指シフトにしたことで発生するデメリットもある。
1. 片手で打てない
ローマ字入力ならば、一度に一つのキーしか基本的には打たないので、キーボードを見ながらならば片手で打つこともできた。しかし、親指シフトは両手で打つことが前提の配列である。およそ1/3は両手でなくては打つことが出来ないのだ。
これが困るのが、電話中のメモである。ローマ字入力をしていた時はメモをPCで行っていた。しかし、親指シフトではそうもいかない。まず打てない文字がある。さらに手でキー配列を覚えているため、キーボードを見ながら片手で打とうとしても、どこにどのキーがあるのかわからないのだ。
今ではすぐに紙とペンを用意するようになったが、最初の頃は癖でPCで行おうとし、こんな顔になっていた。

2. キーボードによっては打ちにくい
俺が使っているキーボードは親指シフト専用ではなく、通常の配列のものである。具体的にはこの2つだ。
この2つはOrzレイアウトで打ちやすい。ついでに言えばMacBook Proのキーボードも配列が一緒なので、出かけた時でも特に不都合は感じない。
しかし問題なのが、仕事で使っているノートPCだった。狭い幅に多くのキーを押し込めた結果、右親指シフトとして機能させている「変換」が左にずれてしまっているのだ。そのため、ノートのキーボードを使わざるを得ない時のストレスがひどい。 もう少し、PCの機種を自由に選べたらいいのだが。
3. 他人にキーボードを触らせられない
言わずもがな。もちろん、逆の場合も同様。今でもローマ字入力はできるので、俺が他人のキーボードを使うことは可能ではあるのだが、手足に重りを付けられたがごとき焦れったさを感じる。俺が触るのは俺のだけにしたいし、俺のに触るのも俺だけにしたい。
終わりに
というわけで、俺にとっての2016年上半期は、親指シフトを始めたことが大きなイベントであった。最初に貼った親指シフトの記事も「今週のお題」で書き、公式ブログで取り上げられた。
「今年こそは」ということで俺は親指シフトを始め、今でもちゃんと続けている。他の人はどうなのだろうか。大切なのは持続する意志である。
*1:実際には別の文字が入力されるようになっている。