本しゃぶり

骨しゃぶりの本と何かを繋げるブログ

当ブログではアフィリエイト広告を利用しています

お兄ちゃんはおしまいとならない性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律

ある日、男が目覚めたら美少女になっていた。
しかし戸籍は男のまま。

戸籍変更の要件はアリかナシか。

性別を越境する者

これまで男性として生きていた人が、ひょんなことから美少女になる。まあ、よくある話だ。今期アニメ『お兄ちゃんはおしまい!』の主人公、緒山 まひろもその一人である。成人男性であった彼は、ある朝に目を覚ますと女の子になっていた。

『お兄ちゃんはおしまい!』OP

まひろが女の子になったのは、彼の妹であるみはりの仕業である。飛び級で大学院に通うほどの頭脳を持つ彼女は、自身が開発した「薬」 をまひろに無断で投与したのだ。

普通なら成人男性がいきなり女の子になってしまっては、これからどうやって生活していくか悩む。今日から仕事はどうするのか、と。しかし、まひろの場合その心配は無かった。彼はもう2年も外に出ていない、エロゲが趣味な引きこもりのクズニートだったからである。

むしろ女の子になったことは、まひろにとってプラスに働いた。それはプレッシャーからの解放だ。妹は頭が良いだけでなく、陸上大会で記録を残すほどスポーツもできる。そんな優秀な妹の兄という立場周囲の視線重圧感。そういったことが負担になり、彼は引きこもりとなったのである。

しかし今は違う。妹よりも幼い姿となったことで、妹よりも上でなければならないという立場から名実ともに降りることになった。できなくて当たり前だからこそ、挑戦することもできるし、妹に頼ることもできる。まひろは女の子になったからこそ、社会復帰に向けて歩み始めることができたのだ。

もちろん成人男性として生きていた人が女の子になったことで生じる問題もある。まひろも当初は女性的な格好をすることに抵抗を感じ、生理を経験してショックを受けた。だが、時間が経つにつれて彼は慣れていく。精神が身体に引っ張られるのか、それとも薬の効果なのか、次第にまひろは自身が女の子であることが当たり前になる。ついには妹が裏から手を回したことによって、ガチ女子中学生としての生活が始まった。

『お兄ちゃんはおしまい!』第6話

こうなると視聴者は思う。「こいつ、もう一生女性として生きた方が幸せなのでは」と。実際、それができるほどの力が「薬」にはある。一晩で身体を生理が生じるほどの完全な女性*1に作り変え、数ヶ月も効果が持続する*2。さらには身体だけでなく、精神的にも女性になりつつあるのだから、何を悩むことがあるだろう。「薬」を服用し続け、このまま妹の妹として生きていくのが幸せではないか。

とはいえ、そんな完璧で強力な「薬」でも変えられないものがある。それは戸籍だ。

自認と身体と戸籍

俺もそうだが、多くの人は「実感している性別」「割り当てられた性別」が一致しているシスジェンダーである。そのため自分の性別が何かを実感する機会は数あれど、「書類上の性別」がどうなっているかを気にする機会はそうそう無いのではないか。いつも意識している性別が記載されていて当然だし、そもそも性別が記載されていることに気がついていないかもしれない。

協会けんぽの健康保険証(被保険者証)のイメージ / 健康保険証(被保険者証)の交付 | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

例えば保険証パスポートマイナンバーカードにはがっつりと性別が記載されている。まひろが病院や出入国など、相手と対面する場でこれらの本人確認書類を提出すると、実情と合っていないことで問題となるわけだ*3。実際、ホルモン治療などで外見の性別が書類上の性別と異なるトランスジェンダーは、入院を拒否されることがあるという。

これは保険証を見せる以前の話だが、FTM系トランスジェンダーの田中玲は、2003年にクモ膜下出血と脳梗塞で倒れた際、トランスジェンダーであることを理由に入院を拒否されたと語っている。

そしたら何十件も断られて、なぜかというと、トランスジェンダーの入院というのは、「前例がないから受けられません」「会議にかけないと」「院長に聞かないと」と言われ断られました。
田中玲「トランスジェンダー及び性同一性障害医療の現状」

病院以外で困る場面としては、やはり「仕事」「結婚」で問題になることが多いらしい。就職先へ、どのように外見と書類で性別が異なることを説明するか、そしてそれが受け入れられるか。戸籍変更していないトランスジェンダーは、ただ働くスタートラインに立つだけでもハードルが高い。まひろにこれができるだろうか。

そして結婚に至っては、現時点では不可能である。正確に言えば、戸籍変更をしていないトランス女性が男性と、もしくはトランス男性が女性と結婚するのは不可能だ。なぜなら日本は同性婚を認めていない*4ためである。みはりは兄が将来お嫁さんになる姿を想像していたが、今の戸籍のままでは実現しない。

『お兄ちゃんはおしまい!』第4話

この先まひろが女性として生きていくためにはどうしたらいいか。まさか中学校に入ったように、毎回裏から手を回し、書類を偽造するわけにもいくまい。

幸いにも日本には戸籍上の性別を変更するための法律がある。これを使えばまひろは合法的に女性になれる。しかし、何かを得るためには何かを差し出さなければいけない。まひろが差し出すものは「子宮」「卵巣」だ。これは等価交換と言えるだろうか。

特例法の要求

日本における性別を変更するための法律は性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下、特例法) である。特例法による戸籍変更は、大きく3つのステップに分けられる。

  1. 医師2名以上による性同一性障害*5の診断
  2. 家庭裁判所において性別の取扱いの変更の審判
  3. 性別の変更

第1ステップの医師による診断は、ようするに「本当に性自認が割り当てられた性別と異なるのか」を確認するためのものである。これは割り切ってしまえばどうにでもなる。どうせ精神科医といえども、こちらが実際にはどう思っているかなんて見抜けない。断固たる決意のもと、「昔からスカートに憧れて〜」なんてジェンダーバイアスがバリバリな受け答えをしよう*6。今のまひろならば簡単なはずだ。

問題は第2ステップだ。家庭裁判所へ審判を申請するための要件として、以下の5要件を全て満たす必要がある。

  1. 十八歳以上であること。
  2. 現に婚姻をしていないこと。
  3. 現に未成年の子がいないこと。
  4. 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
  5. その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。

まひろの場合、1〜3は余裕で問題ない*7。彼はもともと未婚の成人男性だ。一つ飛ばして5も大丈夫。みはりの「薬」により股間の「戦友」は見事に消え去り、ツルツルな状態だ。例え女子中学生に間近で見られたとしてもバレることは無い*8

問題は4「生殖腺がないこと」である。要するに子供を作れない身体でなければいけない*9。まひろの場合、前述のとおり生理が生じているので女性として生殖能力があると思われる。ゆえに彼が戸籍を女性に変更するためには、子宮卵巣摘出手術を受けなければいけない*10。バグだろこれ。

『お兄ちゃんはおしまい!』OP


2023/02/18 追記
実際に性別適合手術を受けた増田によれば、手術前に外生殖器検査と染色体検査があるので「性別の訂正」で済むのではとの意見をもらった。


そして手術を受けることになると、ここでまた新たな問題が生じてくる。それは「金」の話だ。

手術費用と混合診療

まひろが受ける子宮卵巣摘出手術はどれくらい費用がかかるのか。性別適合手術アテンド業者の最大手であるG-pitの料金を見てみよう。

国内で行う場合、術式によって15万円ほどの差が生じるが、検査も含めて100万円ちょっと (税込み)かかる*11。必要な日数は手術当日は1泊2日の入院で済む。ただし事前に血液検査が必要で、術後も抜糸通院や検査通院がある。

日本よりも性別適合手術が盛んで高度な技術を持つタイで受ける場合、プランによって変わってくる。最も安い「ベーシックプラン」ならば10日で約60万〜80万円 (航空チケット代込)*12。ただし追加で精密検査や延長となると、追加費用を負担することになる。追加検査料金を負担しなくて済む「安心おまかせプラン」ならば、同じく10日で約70万〜90万円だ。日数はかかるが、日本よりもタイでやったほうが安い。

ここで疑問に思う人もいるかもしれない。「性別適合手術は保険適用されるのでは?」と。たしかに日本においては2018年に平成30年度診療報酬改定*13によって、健康保険の適用がされるようになった。自己負担額は3割となり、高額療養費制度を使えば20万円未満に抑えられる*14。ただどこの医療機関でもいいというわけではなく、認定施設に限ることになるが。

問題は、まひろが「薬」によって性別を変えたことだ。この「薬」はおそらく薬事承認が取得されていない。すると性同一性障害に対して自由診療が行われたことになる。その結果、まひろへの治療は薬品投与 (自由診療) + 性別適合手術 (保険診療) であるため「混合診療」とみなされ、一連の治療全てが保険対象外となるのだ。

まひろの性別変更は自由診療が含まれているので保険対象外

実際に性別移行を行うトランスジェンダーも、同じ理由で苦しんでいる。それはホルモン療法を受けるためだ。日本における性同一性障害の治療は、日本精神神経学会が作成したガイドラインに沿って、大きく3段階に分けられる。

  1. 精神科診療 (精神科医のカウンセリングと診断):保険対象
  2. ホルモン療法 (ホルモン剤の投与で身体の特徴を変化させる):保険対象外
  3. 性別適合手術 (不妊化、外性器形成、その他):保険対象

外見を変更するという点では、性別適合手術よりもホルモン療法の方が重要である*15。しかし、ホルモン剤は保険適用されるほどのデータが無いため*16ホルモン療法は自由診療。従って性別適合手術までもが保険対象外となってしまうわけだ。2022年9月に性同一性障害学会が発表した調査によると、2018年以降に国内の大学病院などで実施された性別適合手術198件のうち、保険適用例はわずか7件 (約3.5%) しかなかったという*17

このように、まひろが日本で女性になろうとすると、高額な費用を自己負担して子宮卵巣摘出手術を受けなければいけないわけだ。では他の国だったらどうなのだろうか。

世界の条件

諸外国の性別変更に関する法律については、2020年に国立国会図書館から発行された法的性別変更に関する日本及び諸外国の法制度が詳しい。これから世界の状況を見てみよう。

まず国際社会全体の流れとして、生殖不能要件は人権侵害とみなされている。例えば2014年にはWHO等の国連機関が「強制・強要された,または不本意な断種の廃絶を求める共同声明」*18を発表した。さらに2017年には欧州人権裁判所判決で、「トランスジェンダーの性別承認にあたって不妊化を求めるのは人権侵害である」と判断されている*19

そのためかつては性別変更に生殖不能要件を置いていた国でも、ここ10年くらいで見直しが入っている。2011年にドイツでは、連邦憲法裁判所決定によって生殖不能要件を定める規定が違憲であるとされた。2013年にはスウェーデンとオランダで法律改正があり、生殖不能要件が廃止されている。

日本と同時期である2004年に性別変更を制度化したイギリスに至っては、生殖不能要件どころか手術要件すらない。制度化した最初の時点で主な要件は以下の3つだ。

  • 性別違和と診断されていること
  • 2年間その社会的性役割で暮らしていること
  • 独身であること

こうなると当然の流れとして、日本のトランスジェンダーたちは「特例法は人権侵害」であると改正を訴える。しかし2019年に最高裁判所は「生殖不能要件は違憲ではない」と判断している*20。ただし4人のうち2人の裁判官が「本件規定は,現時点では,憲法13条に違反するとまではいえないものの,その疑いが生じていることは否定できない」という補足意見を述べた。

さらに2022年12月、この生殖不能要件について最高裁判所は、15人の裁判官全員による大法廷で審理することを決めた*21。まひろが2度目の18歳を迎える頃には、日本でも摘出手術を抜きに女性となることができるかもしれない*22

『お兄ちゃんはおしまい!』OP

終わりに

『お兄ちゃんはおしまい!』を見てつい思った。「ただでさえトランスジェンダーは大変そうのに、後天的な性別不合はもっと大変そうだ」と。しかし俺はトランスジェンダーについて、たまにネット記事で読む程度の知識しかない。俺の考えは正しいのだろうか。そこでトランスジェンダーについて学ぶことにしたのである。

様々な本を読み、やはり実際のトランスジェンダーと『おにまい』の状況は大きく異ることを知る。中でも性別適合手術は想像していた以上に大変で、もし「薬」があればトランス女性がどれほど救われるだろうと考えた。

だが何度も特例法を目にするうちに気がつく。今の特例法では完全な女性の身体*23を手に入れても、戸籍上は女性になれないのだ、と*24

俺はシス男性であるので、身体と性自認が異なるという感覚がいまだによく分からない。しかし、特例法がおかしいことは分かる。そこで今回の記事を書いたというわけだ。大法廷での審理結果がどうなるか、非常に気になる。

参考書籍

本記事を書く上で参考にした本。今回から書籍代をバリューブックスが負担してくれることになった。詳細については下記noteを参照。

『LGBTを読みとく ──クィア・スタディーズ入門』

トランスジェンダーだけでなく、LGBTについてその歴史から学べる本。今でこそトランスジェンダーはレズビアンやゲイとは異なるレイヤーの概念であるが、かつては性自認や性的指向がごちゃまぜであり、明確な区分は無かった。トランスジェンダーについて学ぶならまずおすすめ。

『性別違和・性別不合へ』

性同一性障害と言われていたのに、最近は性別違和とか性別不合なんて呼ばれるが、何が違うのか。本書はその疑問に答えてくれる。定義する組織の話に始まり、脱病理化によって何が変わりどのような影響が生じると考えられるのか。そういったことが分かりやすく解説してある。

『トランス男性による トランスジェンダー男性学』

トランス男性である著者による、トランス男性の置かれた境遇を説明した本。特にタイトルからも分かる通り「男性学」を絡めて書かれている。俺の感覚だと日本ではトランス女性に比べてトランス男性による発信が少ないため、トランス男性の状況を知る上で役に立った。

『トランスジェンダー・フェミニズム』

本文で紹介した、トランスジェンダーであることを理由に入院を拒否された田中玲の本。この人はどちらかといえばトランス男性であるが、「男性になりたい」ではなく「女性ではない」と言った方が正しい。ついトランスジェンダーというと、性自認が男あるいは女というようにはっきりしていると思いがちだが、そうでない人もいる。そんな人が特例法を含め社会がどのように見えているかが分かる。

『性転師 「性転換ビジネス」に従事する日本人たち』

性別適合手術の費用で参考にしたG-pitのような、性別適合手術アテンド業者の歴史や実態を書いた本。著者はトランスジェンダーではないがジャーナリストであるため、かなり幅広く調査がされていて普通にノンフィクションとして読み応えがある。

マイノリティと法律の記事

*1:本記事では投薬後のまひろの身体を「完全な女性」と呼ぶが、これは現在の性別適合手術と対比させたゆえの表現である。現在の技術では見た目を男性から女性に近づけることはできても、妊娠できる身体に作り変えることはできない。だからまひろの身体を「完全な女性」と表現した。だが、生まれつき女性の身体である人でも、様々な理由によって妊娠できない人はいる。俺はそのような人のことを「不完全な女性」と呼びたいのではないし、呼んではならない。

*2:アニメでは温泉回が飛ばされたことでさらに効果が伸びた。

*3:原作では頭を打ったまひろが病院へ行っている。おそらく保険証を偽造したのだろう。

*4:2022年11月30日に東京地裁は民法などで同性婚を認めていないことについて、合憲ではあるが、同性パートナーと家族になる制度が無いことは違憲であるとしている。東京地裁、同性婚めぐる現行法は憲法に違反せず 家族になる制度ないのは「違憲状態」と - BBCニュース

*5:WHOが作成しているICD-11では「性別不合」とし、脱病理化されている。しかし日本の法律においてはまだ性同一性障害であるので、ここでは法律に表現を合わせる。

*6:これは性別変更のためなら手段は選ばないタイプの人にはいいが、「ありのままの自分」でありたい人にとっては困ることもある。というのも、性自認が女性であるからといって、あらゆる趣味嗜好が女性的であるとは限らないからだ。それこそ『おにまい』のもみじのように、男っぽい服装が好きな女の子は普通にいる。

性別不合の人も同様で、性自認と一致しない趣味嗜好もあるわけだ。しかし、それだと精神科医の診断が下りないかもしれない。「性自認が女性と言うけれど、その趣味で本当にそうなの?」と。ゆえに性別変更を求めるトランスジェンダーは、なるべくジェンダーバイアス通りの受け答えをする。本来の自分になるために、自分を偽る必要があるわけだ。

*7:まひろには関係ない話だが、2と3も厄介だ。2の「婚姻をしていない」は、日本は同性婚を認めていないためである。もしこれがOKだと、婚姻してから性別変更することにより、同性婚が可能となる。しかしドイツの場合、日本と同じく同性婚が禁じられている時に非婚要件は違憲と判断され、撤廃している。これは性別の変更を「人格権」であると位置づけ、これは同性婚の回避よりも優先されると判断したためだ。これによりドイツでは同性婚が容認される前に10年間も実質的に同性婚が存在することになったが、特に問題は無かったらしい。

3の「未成年の子がいない」は「親子関係への負の影響の排除」と「未成年の子の福祉」が理由であるらしい。特例法の成立当初は年齢条件がなく、「子がいないこと」であった。それが「未成年の」と少し軽くなったが、それでもやはり厄介だ。この要件のおかしい点は、性別適合手術を受けるには「未成年の子の有無は関係ない」ことである。つまり既に実態は完全に性別が変わっていたとしても、未成年の子がいるだけで戸籍は変更できないのだ。本文で書いたとおり、実態と書類で性別が異なると仕事など様々な場面で不都合が生じる。本当に「未成年の子の福祉」を考えるならば、この要件は無い方がいいのではないか。

特例法の問題点や新法の必要性についてもっと知りたい人は日本学術会議の提言を読むと良い。

*8:原作第18話で経験済み。

*9:生殖能力が無ければOKなので、閉経後の女性は摘出手術不要となる。性同一性障害のための性別(戸籍)変更の方法と手順

*10:あるいは男性時に睾丸摘出術を受けるか。

*11:国内料金プラン - G-pit | トランスジェンダー専門サポート

*12:【タイ】FTM男性化 SRS料金プラン - G-pit | トランスジェンダー専門サポート

*13:平成30年度診療報酬改定について - 厚生労働省

*14:性別適合手術の健康保険適用について | gid.jp

*15:さらに一度やったら戻せない性別適合手術と違って、ホルモン療法はある程度は途中でストップすることができる。そのため手術より先にホルモン療法が行われるのだ。

*16:ホルモン剤は昔から使われているのだが、複数のホルモン剤を様々な方法で投与するのが一般的である。そのため個別のホルモン剤については、効果と安全性を保証する十分なデータが無い。しかもこういったホルモン剤は既に量産されて手頃な値段となっているため、今更お金をかけて研究しても、研究費用を回収できない。だから研究するインセンティブが製薬会社に無く、いまだに保険対象外なのだ。

*17:性別適合手術の保険適用は3% ホルモン治療前提で広がらず - 産経ニュース

*18:Eliminating forced, coercive and otherwise involuntary sterilization (PDF)

*19:Information Note on the Court's case-law 206 (April 2017) (PDF)

*20:裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

*21:“性別変更に手術必要” 大法廷で審理へ 新たな判断の可能性も | NHK | 憲法

*22:アニメでの舞台が2022年ないし2023年と考えた場合。原作は2017年からなので手遅れ。

*23:繰り返しになるが、これは現在の性別適合手術による肉体と対比しての表現である。妊娠できない女性を揶揄したいのではない。

*24:追記で述べたとおり、他のルートを使えば可能だが。