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【パワーレンジャー】俺は変身できない

『パワーレンジャー』を見てきた。
あれでは俺が変身できない。

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「Power Rangers (2017 Movie) Official Trailer – It’s Morphin Time!」より

めんどくさいオタク

初日に見てきた。

http://www.power-rangers.jp/

スーパー戦隊をハリウッド化したらこうなるのかというのが率直な感想だ。設定がジュウレンジャーと異なることについては特に気にならなかった。これはあくまでもパワーレンジャーである。変身するのが高校生だったり、守護獣が完全に乗り物化しているのも『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』と同じだ。マンモスがマストドンに変更されているのもそう*1。昔の戦いが1億7000万年前ではなく6500万年前になっているのは、むしろこっちの方がいいとすら思える*2

戦闘シーンも良かった。いつもの採石場から戦いが始まり、ロボ戦もちゃんと明るい昼間に行われている。搭乗中ずっと素顔が見えていたのは気になったが、まあここは目をつぶってやろう。一週間考えたがやっぱ許せない。これもダメだ。

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「Power Rangers (2017 Movie) Official Trailer – It’s Morphin Time!」より

そして特にこれだけは許せないという点がある。それは変身シーンだ。なぜメダルとベルトを使わない。

この記事はパワーレンジャーの感想記事だが、変身シーンの問題点だけを語る。当然ネタバレは配慮しない。

失われたベルト

本作の商品にこれがある。

2017年版のダイノバックラーだ。メダル*3を入れると効果音が鳴り響く。しかし、映画を観た人はこう思うだろう。こんなベルトあったっけ、と。俺の記憶が確かなら登場したのはメダルだけで、ベルトは一切登場していない。

本作では仲間と気持ちが通じ合うことで変身できる。5人揃っての初変身は、基地にあるステージ上で行われた*4。こうなった理由について、プロデューサーは次のように語っている。

映画ではパワー・コインを取り込んで、スーツに変身するのですが、明確にどう変身しているかは描いていません。ジェイソン・スコット(レッド・レンジャー)は”イッツ・モーフィン・タイム!”というお決まりのコールを叫びますが、変身ポーズは取りませんね。これは、よりシリアスなドラマにするためのアプローチなんです。監督の意図としては、彼らは変身にたどり着くまで努力を重ねてようやく力を開放する術を見つけ、チームとしてひとつになるのだから、シリアスで威厳あるシーンにしたかったのです。
日米レンジャーの違いとは?映画『パワーレンジャー』プロデューサー、Web独占インタビュー! | ORIVERcinema

意図は分かった。しかしこの方法には大きな問題がある。俺が変身できない

俺、パワーレンジャーになれない

変身アイテムはスーパー戦隊に欠かせないものである*5。スーパー戦隊の玩具は1作品内だけでも多く出ているが、中でも変身アイテムは特別な存在だ。それは変身前の状態で使うことが基本という点にある。

ロボは劇中と同じサイズではない。武器は基本的に変身後に使用するものである。しかし変身アイテムは違う。生身の人間が持つことに意味がある。特別な格好をする必要もなく、ただそれがあるだけで可能性を感じさせる。それが変身アイテムというものだ。あの乾巧も言っているではないか。変身ベルトは自分に力を与えてくれる、と*6

だが今回のパワーレンジャーではベルトを商品化しておきながら、劇中では使わなかった。あれだけメダルをキーアイテムとして描写し続けていたのに。そして唯一のまともな変身は、基地で仲間と気持ちが通じ合って、である。これでは俺がパワーレンジャーに変身する姿を想像できない。

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「証」としてしか使われないメダル「Power Rangers (2017 Movie) Official Trailer – It’s Morphin Time!」より

ベルトを使わなかった理由として、プロデューサーはシリアスなドラマにするためと言っているが、変身アイテムがあってもそれは可能だ。例えば『アマゾンズ』は終始シリアスな作品でありながら変身ベルトを使っている。大げさなポーズを取ることも無しにだ。


「仲間を思う」という精神的な要素を重視するとしても、それが変身アイテムを無くす理由にはならない。『エグゼイド』に登場するタドルレガシー変身するのに「覚悟」が必要であり、最初はスイッチを押しても変身することができなかった。


さらに言えば基地という特別な場所ではなく、敵の目の前で変身して欲しかった。敵の目の前だと変身時に攻撃されるだろという指摘は、この作品だと意味をなさない。なぜならその前に生身で敵と戦っているからである*7。それに敵の攻撃を避けながら変身するのは、スーパー戦隊でもよくあることである。それどころかキョウリュウジャーでは敵の攻撃を利用して変身することさえあった。あるいは戦闘がいつもの採石所から始まるのだから例によって崖上で変身すれば、変身中に攻撃されなくても不自然にはならないだろう。

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「Power Rangers (2017 Movie) Official Trailer – It’s Morphin Time!」より

俺は別に名乗りを上げるところまでやれと言っているのではない。ただアイテムを使った変身シーンを描写して欲しいだけなのだ。しかし実際はそうならなかった。あれでは『アベンジャーズ』におけるアイアンマン Mark 7のコラントッテの方がよっぽどマシだったと言うしか無い。


バンブルビーを蹴飛ばす暇があるならば、ベルトを使った変身シーンを用意しろ。

終わりに

現在はMCUを始め、ヒーロー映画が数多く作られている。そんな中、日本に起源を持つパワーレンジャーが再びハリウッド映画となった*8のはニチアサを観続けている者として喜ばしい。しかし、だからこそ「分かっていないな」と思ってしまうのは仕方のないことだろう。次回作があるならば、バンダイ・アメリカにはもっと頑張ってもらいたい。

似たような記事

*1:マストドンの脚が8本になっているのは謎だが。

*2:恐竜を滅ぼしたとされる隕石の衝突が6,568万年前であるため。

*3:パワーレンジャー的には「コイン」だが、この記事では吹替版およびジュウレンジャーに合わせて「メダル」と表記する。

*4:ゴレンジャーは変身にアイテムを使わず、ジャッカー電撃隊は基地にある強化カプセルで変身するため、ある意味では原点回帰と言えるかもしれない。

*5:明確な変身アイテムはデンジマンのデンジリングから、商品化はゴーグルファイブのゴーグルブレスからなので全ての作品でという訳ではないが、以降は途切れること無く続いているのでこう書いて問題ないだろう。

*6:仮面ライダーファイズ/乾 巧役 半田 健人さんが語るCSM FAIZGEAR|ボーイズトイパークショップ|プレミアムバンダイ|こどもから大人まで楽しめるバンダイ公式ショッピングサイト

*7:シミュレーションだけど。

*8:『パワーレンジャー』『パワーレンジャー・ターボ・映画版・誕生!ターボパワー』に続いて今回で3作目。