本しゃぶり

骨しゃぶりの本と何かを繋げるブログ

ヘッドセットでリマインダー音声入力という言霊2.0

唱えたことが現実になる。
これはオカルトではなくテクノロジーの話だ。

常時装着したヘッドセットが人生を変える。

常時装着の有効活用

左耳の前を触ってみよう。きっとそこには「ボタン」がある。
そこにはブームマイクしかないが、という人は右側を触ろう。
本記事はこのボタンを有効活用する記事である。

何も無いとのたまう旧人類は早くヘッドセット常時装着(アップデート)してほしい。

前回の記事への反応で、「読んでAfterShockzを買った」というコメントをわりと見た。記事を書いた者として、せっかく買って常時装着するのなら有効活用してほしい。そこで前回の記事では触れていなかった活用方法、リマインダーへの音声入力の話をする。これは音声アシスタントへの入力端末を常時装着することの、真の価値を感じられる手法である。

これを前回紹介しなかったのは、俺はApple Watchで音声入力をすることが多いからである。しかし、Apple Watchを着けていない人はAfterShockzが初の常時装着端末になるかもしれないし、外で歩きながらする場合はヘッドセットの方が便利だ。だからこの流れで書く価値はあるだろう。

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Siriへの指示方法

なお、俺がiPhoneユーザーであるため、本記事の「リマインダー」とはiOSのリマインダーを指す。このブログを読むスマートフォンOSの比率はiOSとAndroidが約2:1であるため、これで多くの人をカバーできる。Androidの人はうまいこと応用して欲しい。

Siriに誓って

以前記事に書いたが、俺はスマートスピーカーと「かんばん方式」にヒントを得て、日用品の買い物リストにリマインダー音声入力を使っている。

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Apple Watchで一人かんばん方式

これの使い勝手が良かったので、他のプライベートなタスクに関しても積極的にリマインダーを活用するようになった。

例えば外出中にマシュマロ*1が飛んできて、帰宅してから回答しようと思ったらこうつぶやく。

「リマインダーのやることリストに、今日の夜9時から、マシュマロに回答を追加」

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Apple Watchだと視覚フィードバックがあるのが良い

スマホを通じて手で入力するよりも圧倒的に早い。Siriを使うようになってから、リマインダーの活用頻度が増えた。これまではスマホもしくはPCで手入力だったため、一つのタスクを登録するのにも以下のような手順が必要であった。

  1. スマホを取り出す
  2. ロックを解除
  3. リマインダーを起動
  4. リストを選択
  5. タスク名を入力
  6. 日時指定
  7. スマホをしまう

対して音声入力ならば2ステップで済む。

  1. Siriを起動
  2. 要件を唱える

リマインドするコストが減少したことで、気軽に行えるようになったわけだ。

音声入力することによるポイントはもう一つある。それは、自分の意志を声に出すということだ。やるべきことが頭に響くことで気分が高揚し、前に一歩進んだ実感を与えてくれる。この達成感を前借りできる効果は、バカにできない*2

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値は乱数によって生成*3

こうして気軽にリマインドすれば、やるべきことを忘れずに実行できる。つまり声に出した言葉が、現実の事象に対して影響を与えるのだ。現代の言霊はスピリチュアルではなく、テクノロジーによって駆動する。

とはいえ単発のリマインドでは、人生を変えるには至らない。人生を変えるなら「繰り返し」を活用すべきだ。

習慣の作り方

人生は習慣によって形成される。いい人生を送りたければ、いい習慣を持たなくてはいけない。ではどうやったら新たにいい習慣を作れるだろうか。

習慣は3つのパーツから構成されるループである。始めは「きっかけ」で、脳を無意識モードに切り替える引き金である。次が「ルーチン」で、これは自動的に行う行動や思考である。そして最後が「報酬」であり、脳はこれがあることによって一連の行動や思考を記憶に残す。

例えば「午後3時におやつを食べる」習慣を持つ人の場合、以下のようなループができている。

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おやつの習慣ループ

こうしたループが繰り返されると脳内で「きっかけ」と「報酬」がつながり、ルーチンをこなそうとする強力な欲求が生まれる。そしてついには「きっかけ」によって無意識的に「ルーチン」をこなすようになる。これが習慣の仕組みだ。

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おやつ習慣の完成

したがって新たに習慣を作る際は、既存の習慣を「きっかけ」として使うと上手くいきやすい。この手法を『独学大全』では技法10「習慣レバレッジ」と呼んでいた。

① 足がかりとなる習慣を選ぶ
② 足がかりの習慣の直前 (直後) に新しい習慣を行う
③ ②を繰り返し、少しずつ重い習慣に変えていく
独学大全 (Amazon)

この手法は有効なのだが、一つ問題がある。それは、新たなルーチンの実行を忘れがちということだ。例として俺が新たに習慣を作ろうとした話をしよう。

健康のため、毎日ストレッチをする習慣を作ろうと考えた。タイミングは風呂上がりである。俺は毎日風呂に入るタイプのオタクなので、きっかけとして最適である。それに風呂上がりは温熱効果で柔軟性が上がっているし、睡眠の質を高めることにもつながる。完璧な作戦だ。

しかし現実は厳しい。風呂上がりには決意を忘れ、ストレッチをせずPCの前に座っていたからである。習慣になっていないから習慣にならないのだ。

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ストレッチが習慣にならない

この問題を解決するのにリマインダーの「繰り返し」が役に立った。

俺が入浴するタイミングは毎日だいたい同じである。そこで入浴中の時刻に通知するよう設定し、繰り返しを「毎日」で設定したのだ。これで風呂上がりにPCへ向かうと、ストレッチしろと通知が出ている。これでやるべきことを思い出し、実行に移せるのだ。

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流れが変わった

毎日これを繰り返したことで、今では風呂上がりにストレッチを行ってからPCに向かうようになった。そして「実行済み」を選択する。新たな習慣の形成に成功した。

リマインダーの時間指定と繰り返しを活用することで、確実にルーチンを実行することができる。また、実行してリマインダーにチェックを入れると達成感を得られ、これは報酬として機能する。つまりリマインダーは習慣形成に「きっかけ」と「報酬」の両方から役立つのだ。これで人生はより良くなる。

ということで早速やってみよう。

今すぐ後でやる

本記事を読んで「これはいい」と思っても、やらなければ意味はない。今この場で指示に従ってリマインダーを設定しよう。オススメは練習を兼ねて音声入力だが、無理ならテキスト入力でも構わない。

リマインドをリマインドする

今じっくりと時間をとれないなら、1つだけリマインダーを設定しよう。内容は「リマインダーを設定する」だ。通知時刻は確実に時間がとれるタイミング。オススメは帰宅後だ。これで忘れず続きができる。

もし今がその時なら、このまま次に進もう。

リストを作成する

リマインダーは複数のリストを作成できる。1つでも使えなくはないが、目的や用途に応じて分けたほうが管理しやすい。俺は主に3つのリストを使っている。

  • やること:1回限りのタスクを入れる
  • 買い物:スーパーなどで買うものを入れる
  • 習慣:毎日・毎週、繰り返し行うタスクを入れる

リストの数や名称は好きにすればいいが、音声入力することを考えると自分にとって分かりやすく言いやすいものが良い。むやみに増やすと管理しきれなくなるので、多くても5個までにした方がいいだろう。

新しい習慣を登録する

いい機会なので、新しく習慣にしたいと思っていることを登録しよう。できれば練習を兼ねて音声入力で登録したい。Siriによるリマインドの仕方はそれなりに自由度があるが、確実な唱え方を覚えておくと便利だ。俺がストレッチを追加した時はこんな感じだ。

「リマインダーの習慣リストに、毎日午後9時半から、ストレッチを追加」

分解すると以下のようになる。

  1. 「リマインダーの」:アプリ指定
  2. 「習慣リストに」:リスト指定
  3. 「毎日」:繰り返し指定
  4. 「午後9時半から」:時刻指定
  5. 「ストレッチを追加」:タスクの登録

長くて覚えられないという人は、番組の宣伝をするつもりで唱えるといい。俺はそうやって唱えている。

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チャンネル、繰り返し、時刻 / 「トロピカル~ジュ!プリキュア」毎週日曜あさ8時30分~放送中!

ではさっそくAfterShockzのボタンを2秒間長押ししてから唱えてみよう。

「リマインダーの習慣リストに、毎週月曜12時半から、本しゃぶりを読むを追加」

終わりに

カリフォルニア大学サンディエゴ校の認知科学者ドナルド・アーサー・ノーマンは、その著書『誰のためのデザイン?』で「毎日の約束や予定を思い出させてくれるようなポケットサイズの道具」が欲しいと述べた。そこに書かれた要求仕様を並べてみよう。

  • ポケットサイズ
  • フルサイズのキーボード
  • 大きな画面と強力なグラフィックス機能
  • 充分なメモリー
  • 電話やコンピュータへの接続機能

本書が出版された1988年には夢の機器だったこれは、もう10年以上前から我々のポケットにある。

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Matthew Yohe at en.wikipedia, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons, Link

しかも今ではリマインドするのにキーボードすら不要となった。ただ唱えるだけで目的は達成できる。使わない理由が無い。今この時から活用しよう。

参考書籍

習慣のメカニズムの話は本書『習慣の力』から。習慣形成のメカニズムと効果について書いた本。個人の習慣だけでなく、企業や社会といった集団内での習慣にも焦点を当てる。どうしたら悪い習慣を止め、新しい良い習慣を身につけることができるのかが分かる。

新しいことを始める人向けの記事

合わせて読んで新しい習慣を身につけよう。

*1:骨しゃぶりにマシュマロを投げる

*2:いくつかの研究によれば、この達成感によって目標の達成率が低下するという (Derek Sivers: デレク・シヴァーズ 「目標は人に言わずにおこう」 | TED Talk)。今ではこういうことを聞くと「それって本当に再現性ある?」と言いたくなる。仮に再現性が合ったとしても、今回は人への宣言ではなくリマインダーへの登録なので、達成率が低下するかは疑問である。それにリマインダーに登録しないよりはマシになるはずだ。

*3:行動経済学の『ずる』は予想以上に不合理 - 本しゃぶり