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カードゲーム初心者を卒業するために知っておくべき3つの理論

『selector infected WIXOSS』を見て考えた。どうしたら初心者である主人公でもまともにプレイできるか。

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まずはスリーブを教えたい / selector infected WIXOSS 1話

2014春アニメがいよいよ始まった。ざっと見て気になったのが『WIXOSS』の1話。トレーディングカードゲーム (TCG) をやったことがない主人公がスターターデッキを手に入れた段階でデュエルを挑まれる。ルールも分からずにいきなり対戦とかジャッジを呼ばれる展開しか見えないが、そこはフィクションなのでなんとかなるようだ。それでもまともに戦術を考えるのは難しいだろう。

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初心者狩りとか佐倉さんひくわー / selector infected WIXOSS 1話

TCGが異なればルールも異なるため、当然ながら最適な戦術も異なる。しかし一つのTCGをある程度やっている者であるならば、初めてやるTCGでも早く対応できるし、全くの初心者と対戦したら安定して勝てるだろう。

そこで様々なTCGに共通して使える戦術・概念について考えてみた。これから説明する事柄について理解していたらTCG初心者は卒業といえるだろう。おそらくどのようなTCGを始めるにしても最初からそれなりにプレイできるし、どれが強いカードかも見当がつくだろう*1。そうすればプレイも自ずと正確になるはずだ。

カード・アドバンテージ

まずはこれ。

引けよ増やせよ

ほとんどのTCGでは1ターンに引けるカードの枚数が決まっている。Magic: The Gatheringを筆頭に1枚だけとか、WIXOSSのような2枚というのが基本だ。そこで重要になっていくのがカード・アドバンテージだ。

カード・アドバンテージ(Card Advantage)とは、使用可能なカードの枚数における優位性(アドバンテージ)のこと。ドローと密接に関係する概念であることから、「ドロー・アドバンテージ」と呼ばれることもある。
カード・アドバンテージ - MTG Wiki

簡単に言ってしまえば「使えるカードの枚数が 自分>相手 だと有利」というものだ。いくらカードを増やしたところでそのまま勝利とはならないが、選択肢の多さは状況に応じた対処が可能となるし、単純に数で押すことも可能となる。基本的にはカード・アドバンテージを稼いでいる方が優勢と言っても過言ではない。

稼ぎ方

そしてカード・アドバンテージの稼ぎ方は主に2種類ある。

1つ目は、何らかの手段で相手より多くのカードを手に入れる場合。


2つ目は、何らかの手段で自分よりも多くの損害を相手に与える場合。
カード・アドバンテージ - MTG Wiki

1つ目についてはいわゆるドロー呪文を使用した場合がそれに当たる。式で示せばカードの枚数が
使用数 < 獲得数
のときにアドバンテージを稼いだことになる。2つ目は全体除去や手札破壊などがそれにあたる。これも式で示すと相手のカードを対処するとして
使用数 < 対処数
のときにアドバンテージを稼いだことになる。 (相手に対処させるなら逆になる)

コストの把握

カード・アドバンテージを理解する上で重要なのは「カードをプレイ (消費) するというのがコストである」と認識できるかどうかだと思う。カードの消費は視覚的にわかりやすいため、初心者でもすぐに気がつけるだろうという反論もあるだろう。これが遊戯王のように各カードに共通した数値が伴うコストが無いものならばそうだろう。だがMTGの“マナコスト”やWIXOSSの“グロウコスト”のようにそれぞれ支払うものが存在すると話は変わる。一つの行為に複数のコストが存在する場合、目立つものしか気が付かないということは多い。

よく計算のできない人間の例として、「10円の安さにつられて、近くの店より遠くの店へ車で買い物に行く」という話がある。支払う価格のみをコストとして捉え、ガソリンや時間をコストと認識していないという話だ。それと同じでわかりやすいコストが存在するとそれだけに注目してしまうのだ。

よってカードの効果を比較する時に表記されているコストだけで判断するのではなく、1枚でどれだけ出来るのかということも気にできるようになれば、初心者から一歩進んだと言えるだろう。下記の二つのカードを比較して、どちらが効率のいいカードであるか考えてみるといい。

カード 溶岩の撃ち込み/Lava Spike 溶岩の斧/Lava Axe
コスト 1 5
与えるダメージ 3 5

スーサイド

全てをリソースとする。

我が生命を対価に

TCGに限らず、自ら負けに近づくようなことはするべきではない。だが大きなリターンが得られるのであれば話は別だ。スーサイドとは本来“自殺”を意味するが、TCGにおけるスーサイドは異なる。

スーサイド(Suicide)とは、主に自分のライフをリソースとして使う行為を指す。また、ライフ支払いが必要なカードや自分のライフを減らしつつ相手に損害を与えるカード、もしくはそれらを使ったデッキのこと。
スーサイド - MTG Wiki

基本的にスーサイドというとライフを犠牲にしてとなるが、ここではもう少し広義に捉える。つまり山札などの通常のコスト以外の何かをリソースとするものとする*2。初心者は負けに近づくことを恐れ、この手のカードを嫌うことが多いが、これらを正しく評価してこそ強くなれる。

スーサイドの考えで重要なのは「ゲームに勝利した時、余っていたものは無駄も同然」というものである。例えばMTGにおいて、ゲーム終了時点でライフが8点残っていたとしよう。この場合ライフの残りのうち7点はあってもなくても同じである。1点でも残っていれば敗北とはならないためだ。スーサイドはこの7点を有効活用するという発想によるものだ。スーサイドを突き詰めればこうなる。
「あなたのライフを残り1にする。相手のライフを0にする。」

多くのTCGにおいて山札が0になるというのは敗北条件であるが、MTGやWIXOSSのようなそれ以外にメインとなる敗北条件がある場合、そうそう山札切れとはならない。ならば余る分の山札をリソースとして有効活用したほうがより勝利に近づける。従って少ない枚数であるならば、山札をコストにするというのは実質無いものと考えてもいい。それに気がつくことができればより強いデッキが組めるだろう。

アタック全通しで

スーサイドの考えを進めると、別にカードの効果だけの話ではないことになる。ライフを失うというのは別に自らの行動によるものだけではなく、相手の行動によるものもある。というか普通はそのほうが多いだろう。つまり相手から攻撃を受けても、それで即敗北とならないのであるならば、無理に対処しなくてもいいということだ。

些細な攻撃を対処するより、自分がより有利になれるようドローする。そういうことが当たり前のように出来るようになれば初心者ではない。だがそのためには「どこまでなら無視できるか 」というラインを見極められるようにならなければいけない。自分で書いておいてなんだが、その見極めが出来るという時点ですでに初心者では無いだろう。これについてはある青使いの名言で締めさせてもらう。
「ライフは1までならいくらでもくれてやる。持っていくがいい。」

ターンで測る

これが指標となる。

共通のものさし

最後がこの「ターンで測る」というものだ。これはカードの効果やプレイについて「何ターン分の価値があるか」で評価するというものだ。似たような考え方でテンポ・アドバンテージというものがあるが、もっと広い意味のことについて考えたい。つまり前述のカード・アドバンテージを始め、あらゆるアドバンテージを共通のものさしで測ったらどうなるかということだ。するとターンで比較するということになるのだ。

もう一回俺のターン!

この考えについてはこの記事がわかりやすい。少なくともMTGプレイヤーにとっては。
MTG Sideboard Online 日本語版スレまとめ:すべてがTime Walkになる
この記事の中核となっているTime Walkとは以下の効果を持つカードだ。

あなたは、このターンに続いて追加の1ターンを行う。

もう一回俺のターン!あまりの強さにパワー9と呼ばれる内の1枚となっている。上記の記事ではあらゆるカードは実質的にこのTime Walkと同じく、追加のターンを得るようなものだと言っているのだ。そしてこれは他のTCGにも適用できる話なのだ。

どういうことか引用しつつ説明する。

簡単に言うと、M;tGのルールは、1つのターンでどれだけのことができるか、に基づいている。
そして、君がこの壁を破ることができれば、対戦相手に圧倒的な優位を築くことができるのさ。
(チェスで二回続けてコマを動かせるみたいにね。)
MTG Sideboard Online 日本語版スレまとめ:すべてがTime Walkになる

この1ターンにおける行動の制限を単位として効果を測っていく。例えば2ドローというのはMTGにおいて2ターン分のドローであると言える。つまりドローに関して言えば2回も「もう一回俺のターン!」とやったと言えるわけである。また、相手が前のターンに出した唯一のカードを手札に戻すということは、相手の行動を1ターン分無かったことにしたということなのだ。相対的に行動に関して言えば「もう一回俺のターン!」というわけである。

これでいける

このようにあらゆるアドバンテージはターンの先取り、もしくはターンを奪うことに帰結する。この考えの何が重要かというと、デッキ構築や対戦時においてカードの優先順位がはっきりするということだ。どちらのカードを使うか迷った時、どちらがよりターンを稼げるか (奪えるか) で判断することができるようになる。そうすれば初めてやるカードゲームでも、どれが強いカードであるか判断出来るようになり、より正確なプレイが可能となるだろう。

当然のことながらこれについても「何ターン分か」ということについて正確に見極めるのは容易なことではない。だが、この考え方を知っているかどうか、そしてそれによって判断しようとしているかで勝率は変わってくるだろう。

ここまで読んで「何を今更の内容をえらそうに」と思う人は間違いなくTCG中級者以上であるといえる。そういう人はソートのパターンでも覚えることに集中するのが得策であると助言する。

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*1:当初シングル50円が後に3000円になることもあるのがTCGなので、完璧な予想は不可能だが

*2:山札の場合はデモコン理論と呼ばれる