
- 作者: ホメロス,Homeros,松平千秋
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1992/09/16
- メディア: 文庫
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きっかけ
無知蒙昧な蛮人でも知っているので
上巻と一緒に購入。上巻をそれなりに楽しく読めたので引き続き下巻も読んだ。極東に住むバルバロイでも教養として知っておいたほうがいいと思う。急に吟じられてもわからない気がするが。
内容とか
下巻のあらすじは上巻のラストで突っ込んだヘクトルが暴れまわるところから始まり、ヘクトルの葬式で終わる、正にヘクトル巻である。とは言ったものの真の主人公はアキレスであり、ついに奴が立ち上がる。所詮ゼウスの筋書きどおりに事が運ぶだけなのだが。ニートしていたアキレスも自分の代わりに戦いへ出た親友パトロクロスがヘクトルに殺されるとさすがにキレる。ヘクトルに殺されたと書いたが、正確にはアポロンにアーマーブレイクされ、ぽっと出のエウポルボス刺された後、ヘクトルによってトドメを刺されたわけだが。そしてアキレスを粗末に扱っていたアガムノンも今となってはアキレスに頼るしか無く、全力で謝罪をしたことでアキレスが引きこもる理由はもう何もない。神聖衣的な鎧を身につけトロイエ勢を駆逐するために出撃した。
アキレスが無双する下巻だが、上巻に続いて完全に神ゲーである。神(ゼウス)を味方につけたほうが勝つという意味で。上巻から下巻の開始までは強かったヘクトルもアキレスが立ち上がったことによりセウスに手のひらを返され、惨めにアキレスから逃げまわることになる。その後戦うことを決意したヘクトルがアキレスに取り決めを持ちかけるのだが、それに対し何を今更とアキレスが言い放ったのが、ヒストリエでダイマコスが吟じたものである。元ネタを知るとアレだ。あのシーンのダイマコスは明らかにアキレスじゃなくてヘクトル側だ。そりゃブスリと刺されても仕方ない。
そんなわけでヘクトルはアキレスに殺されてしまったが、ここからのアキレスはキテる。親友パトロクロスの敵と、ヘクトルの遺体を引きずって陣地に戻り、武具を剥ぎ取り犬に食わせようとする。それでも親友を失くした悲しみは失せること無く、枕を濡らす。そして腹いせにまたヘクトルの死体を戦車で引きずり回す。さすがに神々もドン引きしてアキレスに死体をトロイエに返すように言い、アキレスも神の言うことには素直に従い、遺体を身代金と交換する。やはり神は偉い。
ざっと内容を書いたが、この本で一番驚いたのはゼウスの支配っぷりでもなければ、いきなり始まる競技会でもない。木馬が出てこないことだ。あの有名な木馬はイリアスに登場しないのかよ。映画のトロイにも出てきたし舞台が戦争末期と知って今か今かと楽しみにしていたのに、ヘクトルのお葬式は無事に済みました。完。思わず声が出た。
こんな人におすすめ
イリアスとはいろいろ違うけどこれはこれで面白かった
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