本しゃぶり

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2017年に読んだ102冊から星5の7冊を紹介

気がつけば年末。
2017/12/28の時点で今年は102冊読み終えた。
その中から☆5をつけた本を紹介する。

2017年に読んだ本

俺は2012年から読み終えた本をブクログに登録している。

さらに2016年の3月から5段階評価を行っている*1

☆5:読むべき
☆4:読むといい
☆3:読んでも無駄ではない
☆2:読んでもいいけど
☆1:読むべきではない

どんな基準で付けているとかは以前に書いた。

そんなわけで、今年読んだ本は全て評価済みとなっている。そして☆5の本が7冊とまとめるにはいい感じの数なので、今年のまとめとして紹介する。

完全教祖マニュアル

安定の架神恭介と 辰巳一世による、クソの役にも立たないマニュアルの一つ。これについては以前にも紹介したことがある。

この本のいいところは教祖の定義にある。教祖とは以下のような存在であると説明される。

  • 求められる要素:「思想」と「実践」
  • 成立要件:あなたの言うことを信じる人がいる
  • やること:人をハッピーにする

一般的な日本人にとって、教祖というものは胡散臭い存在だ。なのでなろうと思っても目指すべき姿が見えない。だがこの本は、まず読者の中に教祖の心的イメージを作り上げ、ゴールを示すところから始まる。課題を明確化できれば問題の半分は解けたも同然だ。

宗教を学ぶと言うとなかなか難しそうだが、この本を読めばわかった気になれる。まずは俺を信じるところから始めてみよう。

一万年の進化爆発 文明が進化を加速した

昨年話題になった『サピエンス全史』の中で、最も重要な事件とされるのが「認知革命」である。これにより人類は高度な思考能力を手に入れ、地上最強の動物となったのだ。その「認知革命」の原因を、本書ではネアンデルタール人からの遺伝子移入によるものと主張している。つまりホモ・サピエンスは、ネアンデルタール人とセックスしたことによって覇権を握ったのだ。

人類の進化は5万年前に終わっていると思われがちである。しかし真実は逆だ。数が増えることで突然変異の発生数も増え、世界が繋がった現代は新しい遺伝子が瞬く間に広まる。むしろ人類の進化は加速しているのだ。そういった遺伝子と進化の印象が、読み続けていくと次々に変わっていく。圧倒的な自信溢れる文章をぜひとも堪能して欲しい。

こうした主張はすべて正しくない。私たちはこれから、こうした主張のすべてを論破していく。

バッタを倒しにアフリカへ

id:otokomaenoの新刊。

読むとサバクトビバッタの生態よりも前野ウルド浩太郎の生態について詳しくなれる。

なんというかずるい本。研究を報告するだけでも十分なはずなのに、それだけでは終わらない。舞台はアフリカのモーリタニアという異国の地。発生するトラブルも日本とは違った種類のものであり、対処の仕方もまた変わった方法になる。調査チームをヤギで買収したことのある研究者がどれだけいるだろうか。こういった紀行文的面白さがこの本にはある。そして何より、バッタに対する執念に読者は心打たれるのだ。

夢を叶えるとはこのようなものだということを教えてくれる本。

『バッタを倒しにアフリカへ』ストイックすぎる狂気の博士エッセイ - HONZ

バッタに食べられず、不本意ながら敗戦帰国したバッタ博士です。今年こそはがんばりますので応援よろしくお願いします!

2017/05/19 18:12

オール・ユー・ニード・イズ・吉良~死に戻りの忠臣蔵~

これも以前に書いた。

どうしたら『オール・ユー・ニード・イズ・キル』と忠臣蔵を組み合わせようという気になるのか分からない。しかも本家にはない爽快感まで追加されているのだから恐れ入る。

話としては主人公を吉良義央で『オール・ユー・ニード・イズ・キル』をやるというそのまんまなものだが、これによって赤穂浪士の作戦がいかに優れていたか理解できるのがポイント。こういう読むと勉強になった気がする本が好き。

性欲の科学

上の記事でも取り上げたが、他でも何度か紹介している本。例えばこの記事とか。

この本が出版されたのは2012年の2月。俺が買ったのは2016年の7月。多くのKindle本同様、とりあえず安い時に買って放置していたのだが、少し読み始めて後悔した。なんでもっと早く読まなかったのか、と。この本は俺のブログ向きだと思いながら読み進めた。そして記事を書いたというわけである。

性欲を扱った本であるが、必要以上に心理学的な話が出ないのが実に良い。性欲関係の話で「男性が◯◯を求めるのはアイデンティティがどうの」とか言われると「それエビデンスあるのかよ」とつい言いたくなる。その点この本は徹底して人間を生物の一種として扱い、バックグラウンドに進化論を持ってくる。他の生物でも起こる話ならそうなのだろうと、納得しやすいのだ。

ギリシア人の物語Ⅱ・Ⅲ

ついに完結。著者の年齢的に完結するのかドキドキだったが無事に終わった。Kindle版をちっとも出さず、ついに出たと思ったら3巻は来年4月という遅さ。それでも完結させたので許す。

2巻はペリクレスの時代からアテネがスパルタに敗けるまで。これを読んでからのギリシア旅行は素晴らしかった。ペリクレスの偉業は今もなおアテネを支えているのだと。

アテネからピレウスまで地下鉄で移動した時も「スパルタに破壊された壁が復活している」と一人で感動していた。

俺はペルシア戦争とアレクサンドロス大王の辺りはいくつか読んだことはあったのだが、この辺の時代は抜け落ちていた。なのでミッシングリンクが埋まったような気分である。

最終巻となる3巻はテーベ最強時代からアレクサンドロス大王の死まで。ようするに『ヒストリエ』の時代である。この本では総括の代わりにアレクサンドロスの年表を載せいてるのだが、それを見て笑ってしまった。『ヒストリエ』の最新巻はまだ3行目までしか進んでいない。そしてエウメネスが真に活躍するのはアレクサンドロスが死んだ後なのだ。岩明均も完結まで頑張ってもらいたい。

1〜3と通して思うのはリーダーの重要性。特に2巻3巻はそれが顕著だ。強力な海軍を持ち、スパルタと違って経済的にも繁栄し、まさしくギリシアの覇権国家となったアテネ。それが強力なリーダーがいなくなったことで、あれよあれよという間に落ちぶれていく。一方ギリシアの田舎国家だったはずのマケドニアは、2代続けて偉大なリーダーを持ったことで、大帝国を築き上げる。これもまたリーダーがいなくなった途端に崩壊するのだが。あらためてローマの偉大さが分かる。

終わりに

やはり日頃から記録を付けているとこういう時に迷わなくて良い。これからも続けよう。続けてこそ価値は生まれるのだから。

これまでの今年のおすすめ

*1:まだ☆1の本はない。なぜならそれほど酷い本は読み終えることがないからだ。