本しゃぶり

骨しゃぶりの本と何かを繋げるブログ

『少女終末旅行』という2017年最強のメシウマアニメ

なぜ食事がいつもよりおいしく感じられるのか。
それは『少女終末旅行』を見ながら食べているからである。

これが2017年最強のメシウマアニメだ。

『少女終末旅行』OP

メシウマアニメとは

メシウマアニメとは、食事の際に視聴することで、食事がおいしくなる作品のことである。注意すべきは、作中で描かれる食事がおいしそうであればいいというものではないことだ。重要なのは見ることによって俺の食事がうまくなるかどうかなのである。グルメアニメとは違うジャンルなのだ。

メシウマアニメに求められる要素を挙げると以下のようになる。

  • 食事のシーンがある
  • おいしそうに食べる
  • 食べることに前向き
  • 俺よりいいものを食べない
  • 30分アニメ

これらについて簡単に説明しよう。

まず最初の2点に関しては特に異論は無いと思う。やはり他人がおいしそうに食べているとこっちも食欲が湧く。これは必須の要素と言えるだろう。

3つめの「食べることに積極的」ということについて。ただ成り行きで食事をするというのでは弱い。食事を求めて行動し、食事に対して肯定的であるべきだ。食事は動物にとって最も基本的な活動の一つである。食事に肯定することは、生きることを肯定することに繋がるのだ。

4つめが難しい。食事・料理がメインの作品となると、その中で描かれる料理は凝ったものとなる。つまり作中のキャラの方が、今の俺よりもいいものを食べていることになる。幸福とは相対的なものであり、自分より周りの幸福度が高すぎると、不幸に感じてしまうのが人間世界の現実だ。俺の食事がうまくなるよう、クオリティがほどほどのものを食べていて欲しい。

5つめの時間についてだが、これは単に食事の時間と同じくらいが望ましいということだ。5分アニメだと食事を始めてもすぐに終わってしまう。かといって長すぎてもよろしくない。やはり30分がちょうどよい長さというわけだ。

これらを高いレベルで満たしていたのが『少女終末旅行』であったのだ。

『少女終末旅行』OP

『少女終末旅行』

全てが終わりを迎えた世界でふたりぼっちになってしまったチトとユーリが行き着く先とはーー。愛車のケッテンクラートに乗って延々と広がる廃墟をあてもなくさまよう終末ファンタジー。
TVアニメ「少女終末旅行」公式サイト

『少女終末旅行』は毎回ではないが、食事のシーンが良く入る。

『少女終末旅行』2話

『少女終末旅行』6話

『少女終末旅行』11話

それは積極的で、おいしそうで、そして貧相だ。まさしくメシウマアニメに求められているものである。

食事に焦点が当たる回はいくつあるが、中でも印象に残っているのは1話だ。あれはメシウマアニメ体験として完璧なものだったと言えるだろう。

物語の始まりは、暗く冷たい通路から始まった。行き先もわからぬまま前に進み続け、ついに二人は脱出に成功する。お祝いとして最後のスープを飲むことになった。

『少女終末旅行』1話

スープによってとろけた二人を見よ。

『少女終末旅行』1話

この時俺はスープの上位互換であるシーフードヌードルを食べながら見ていた。やはりカップヌードルは雪景色とよく合う*1。それは「飢え」と「寒さ」の組み合わせは人を死へと向かわせるのに対し*2、カップヌードルはその二つの問題を同時に解消してくれるからだろう。

だからこそ二人が最後のスープを飲んだのは、この先も生きる決意の表れである。脱出したことによって先が見えた。ゆえにスープを飲むのである。決して最後の晩餐などではないのだ…… そのようなことを思いながら俺もスープを飲んでいた。

シーフードヌードルは好きだが、さすがにこれだけでは物足りない。何かもう少し食べようと思っていたら、画面では二人がレーションを見つけていた。

『少女終末旅行』1話

迷わずカロリーメイト*3を取り出す俺。

カップヌードルとカロリーメイトの組み合わせ。非常時でもなければ、あまりにも残念な食事と言えるだろう。しかし俺は幸福だった。視覚と聴覚だけでなく、味覚でもアニメを体験しているのだから。人の味覚は精神状態に大きく左右される。この食事がいつもより美味しかったのは言うまでもない。これがメシウマアニメの力である。

ところでレーションは以降も繰り返し登場する*4ほどの重要アイテムである。そんなレーションが焦点が当たった7話に、こんなセリフがあった。

「甘いって幸せだよね」

『少女終末旅行』7話

さすがユーリ、食事に関しては着眼点が鋭い。

食事をすることで血中のグルコース濃度が増加すれば、脳はドーパミンオピオイドといった神経伝達物質を分泌し、報酬としての快楽が発生する。糖の摂取はグルコース濃度を急激に上昇させるため、神経伝達物質は大量発生、人は圧倒的な快楽を感じるのだ。

『少女終末旅行』7話

やはりこの作品は分かっている。

このように『少女終末旅行』は食事することの素晴らしさの本質を描き出し、見ている者の食欲を引き出す作品である。まだ見ていない人は、この年末年始に一気見しよう。年越し蕎麦もおせち料理も、例年以上の味に感じるはずだ。

終わりに

一番「良かった」を決めるのは難しい。「良さ」には様々な指標があるからだ。その指標をはっきりさせるところから始めなくてはいけない。そこで今回は「食欲増加」を指標として選んだ。これなら俺の中で1位がはっきり決まっているからである*5

とはいえ食欲を増す要素というものは、人によって異なると思う。俺と違って豪勢な料理を見せられたほうが食欲が増す、という人もいるだろう。ぜひ自分だけのメシウマアニメを見つけ出してもらいたい。

#2017年一番良かった《映画・ドラマ・アニメ》

Sponsored by Netflix

チトに読ませたい本

ポストアポカリプス的な世界になった時、どうやって科学技術を取り戻すかという本。完全に0から作るものもあるが、基本的には人類の遺産を再利用する方向で書かれている。これがあれば残されたものを消費するだけではなく、新たに生産することが可能となるだろう。

視聴上の注意

食事中にアニメに夢中になりすぎると、知らないうちにカビを食べてしまうこともある。食事中のアニメ視聴は自己責任で。

*1:カップヌードルが最初に脚光を浴びたのも雪景色の中だった。1972年のあさま山荘事件において、機動隊員達が食べる場面が全国に放映されたことで一躍有名となったのだ。

*2:ソースは『じゃりン子チエ』

*3:見た目がそっくりなのであのレーションはカロリーメイトと呼ばれるが、カロリーメイトの賞味期限は文明が滅びた後まで保つほどではない。通常品は製造から1年程度。非常食用のロングライフは3年だ。

*4:主にOPとか。

*5:加えて『けものフレンズ』の記事はこれでもかと書いたからというのもある。