日本の成人男性は二種類に分けられるという。
クソを漏らしたことのある奴と、これから漏らす奴だ。
この記事は、日本人男性に科せられた運命を変えるための記事である。
読者よ、行きて伝えよ、はてなの人々に。我等かのことばに従いてここに漏らすと。
ネットにおけるクソ漏らしは「まれによくある」という言葉がふさわしい。あなたもクソ漏らし記事を読んだことがあるのは1回や2回では済まないはずだ。さらに言えば、その報告者は大抵男性である。
漏らしていない人は書き込まず、漏らした人のみが書き込むのだから、多く思えるのは当然かもしれない。そして俺が見るようなサイトの利用者の多くは男性であるというのもあるだろう。だが調べてみると、それだけでは無いということが分かった。
この調査結果では成人男性の45.8%が漏らしたことがあるとなっている。女性はその半分以下だ。ネットから受ける印象は間違っていなかったのである。
300と1
とはいえ、男性であっても自分には関係ないと思う人もいるだろう。「俺は漏らしなんかしない。これまでも、これからも。」と。しかし今までに、ギリギリで間に合ったということは無かっただろうか。俺はそんな時、ハインリッヒの法則を思い出す。
一件の大きな事故・災害の裏には、29件の軽微な事故・災害、そして300件のヒヤリ・ハット(事故には至らなかったもののヒヤリとした、ハッとした事例)があるとされる。
ハインリッヒの法則 - Wikipedia: フリー百科事典(2016/03/06 16:38 JSTの最新版)
これは一般的に労働災害で用いられる法則だが、本質的には同じなのだから漏らしにも適用できるはずだ。実感のわかない人のために視覚化しよう。
ギリギリで間に合った人がこれだけいたら……
盛大に漏らした人が一人いる*1。
人生でこのルーレットを回すのは一度きりではない。それなのになぜ自分がレオニダス*2にならないと言い切れるのか。
男の運命
煽るのはこれくらいにして、本題に入ろう。なぜ日本人男性がレオニダスになってしまうのか。また、その対策はどうすればいいのか。その答えはこの本に書かれている。
そもそも漏らす時というのは、ほぼ下痢である。そしてこの本のタイトルから分かるように、女性が便秘になりやすいのに対し、男性は下痢になりやすいのだ。これは単純にホルモンの違いや筋肉量の差といった身体的なものもあるが、生活習慣の差も関係している。下痢の原因としては、主に以下の5つが挙げられる。
- ストレスが原因の過敏性腸症候群
- ストレスが原因とは限らない過敏性腸症候群
- 乳糖不耐症、アルコールやコーヒーのとりすぎを含めた食事によるもの
- 胆汁性下痢
- 潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸がんによる通過障害や膵炎や膵臓がんなど、おなかの病気に伴うもの
女はつまる、男はくだる おなかの調子は3分でよくなる!
このうち、男性に多い原因となるのが“1”と“3”である。
男女の雇用機会は均等になりつつあるが、依然として男性のほうが仕事でストレスがかかりやすい。また、男性は女性に比べてストレス耐性が低い*3上に発散するのが下手*4と言われている。その結果下痢となるのだ。この対策としては、ストレスを減らすことも大事だが、まずは下痢の原因がストレスであると自覚することが重要であるという。原因が分かるだけで安心し、治ることもあるのだ。
食事について見た場合、まず男性は単純に食べる量が多い。また、消化不良と腸管運動を促進させるアルコールを多く摂取しがちである*5。そしてコーヒーも多く飲みがちだ。女性もコーヒーを好む人は多いが、男性はコーヒーを一日に何度も飲む人がそれなりにいる*6。そのコーヒーには大腸ぜん動運動の亢進作用があるのだ。これらの対策については、食生活に気をつけようとしか言えない。
狭い道と搦め手
上記の二つの原因については有名なので知っていた人も多いだろう。実際「男性 下痢」で検索するとだいたいこの二つについて書かれている。もしこれらの対策をとっているのに慢性的な下痢に悩まされている、それも下痢だけでなく便秘もあるというのであれば、それはあなたの腸が「ねじれ腸」であるからかもしれない。
この「ねじれ腸」について書いてあるのがこの本のポイントである。「ねじれ腸」とはその名の通り、ねじれた状態となっている大腸を指す。
2016/03/08 追記
なぜ日本の成人男性はクソを漏らすのか - 本しゃぶり腸がねじれてるって腸捻転だろ?マッサージで治るって論文とかエビデンスあんの?
2016/03/07 06:15
ねじれ腸と腸捻転は別物である。ねじれ腸の正式名称は「腸管形態異常」といって、大腸の収まり方が教科書のような四角い腸ではなく「ねじれた腸」を指す。この「ねじれた」というのが曲者で、言葉による説明だと腸捻転と誤解してもしょうがない。なので著者のサイトを見てもらうのが一番だろう。
久里浜医療センター|「ねじれ腸」について
腸管形態異常についての論文はここにある。俺は読んでいないが。
医学文献検索サービス -メディカルオンライン
ちなみに
腸管形態分類は現在のところ存在せず、「ねじれ腸」は教科書に記載されていません。したがって患者様が医療機関で「自分はねじれ腸ですか?」と聞かれても、現時点で医療機関での対応は困難です。
久里浜医療センター|「ねじれ腸」について
とのことなので、医療機関で「自分はねじれ腸です」と言って伝わらなくても文句を言わないこと。
「ねじれ腸」であると、当然ねじれた箇所は内部が急激に狭くなり、便が通りにくくなる。そして詰まる。これが「ねじれ腸」による便秘のメカニズムだ。言わばペルシアの大軍がテルモピュライ*7で少数のギリシア連合軍に足止めされたようなものである。
これで便秘が起きると、大腸はこれを押し流そうと水分を多めに出し*8、突破したところで下痢となる。このパターンだとストレスは原因ではなく結果である。下痢という問題が発生したことで、ねじれた嫌悪者となるのだ。
「ねじれ腸」と似たような症状に「落下腸」があり、これは大腸が骨盤の上に落ちた状態を指す。そしてこの「ねじれ腸」と「落下腸」となっている日本人は実に多い。
これまで私は2万人もの患者さんと接してきましたが、そのうちじつに8割の人が、大腸がねじれている「ねじれ腸」、大腸が落ちている「落下腸」のいずれか、あるいは両方だったのです。
女はつまる、男はくだる おなかの調子は3分でよくなる!
この奇妙な腸は、著者が診察した範囲では日本人特有*9のものであり、欧米人には無いらしい。つまり、日本人男性は生活習慣のみならず、身体的特徴からして下痢をしやすいのだ。もはや運命としか言えない。
ではこの「ねじれ腸」の所持者はもう運命を受け入れるしかないのか。いや、腹をくくるにはまだ早い。もちろん対策はある。かつてテルモピュライを力攻めで突破できなかったクセルクセスは、山中の迂回路を使うことでギリシア軍の大半を撤退させ、残りを打ち破った。
By
This image has been created during "DensityDesign Integrated Course Final Synthesis Studio" at Polytechnic University of Milan, organized by DensityDesign Research Lab in 2015. Image is released under CC-BY-SA licence. Attribution goes to "Nicolo Arena, DensityDesign Research Lab". - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=37081384
「ねじれ腸」への対処も同じである。外部からの刺激、すなわちマッサージである。ねじれ腸・落下腸マッサージを行うことで腸をほぐし、形が一時的に整うことでスムーズに出せるようになるのだ。便秘が消えれば水分を増やす必要は無くなり、下痢もしなくなる。これで問題は解決というわけだ。
終わりに
全ての現象には理由がある。増え続ける日本人男性の悲報も、そこには文化的・身体的な理由があったのだ。しかし、理由があるのなら対処することも可能である。まずは各自における原因を見極めるところから始めよう。
今回紹介した「ねじれ腸」の話は便秘関係の記事で紹介されることは多い。しかし下痢となると「下痢 ねじれ腸」の組み合わせで検索しないと目にすることは少ない。なのでこのブログで記事にしようと思った次第である。これで少しでも助かれば、と。神託には「レオニダスの仇を討て」と出ている。
健康関係の記事
*1:ついでに言うと、ちょっと汚しちゃった29人が他にいる。
*2:スパルタの王。300人のスパルタ兵と数千人のギリシア連合軍を率いて、200万以上と言われるペルシア軍に挑んだ。
*3:ストレスに強いのは男性より女性 その理由は女性ホルモンのエストロゲンに|「マイナビウーマン」
*4:気がついたらアルコール依存、うつ、自殺…。男性が払う「ストレス不感症」のツケ ――女性は「ストレス・リボ払い型」、男性は「ストレス・一括払い型」|働く男女の「取扱説明書」|ダイヤモンド・オンライン
*5:女性は男性に比べてアルコールを分解する量が少ないので、摂取量が少ないのは当然である。
*6:そういった飲まれ方をされやすい缶コーヒーは、消費量の70%が男性であるという。
*7:ねじれ腸と肛門の関係はテルモピュライとコリントス地峡の関係によく似ている。
*8:クセルクセスが水軍を大量に用意したようなものである。
*9:もしかしたら東アジアの人にもあるかもしれないが、著者が診察していないため不明とのこと。