武道における『構え』のように、物事には最適な体勢というものがある。
それはVRにおいても変わることはない。
Oculus Goの魅力を最大限引き出したいなら体勢にこだわれ。
現実を合わせる
Oculus Goにはポジショントラッキング機能がついていない。検出されるのは3軸の傾きだけである。
ゆえに体を動かしても、向きが同じなら視界は変わらない。つまり体を仰け反らせてもゾンビから逃れられず、しゃがんで下から覗き込むことは不可能だ。
そこでOculus Goで最大限に没入感を得ようと思うなら、逆に考えるべきだ。現実の動きがVR上で反映されないならば、VRに現実を合わせるのだ。必要に応じて最適な体勢を取るのである。
この記事ではコンテンツ別にどのような体勢を取るべきなのか、しばらく使って得た知見を共有したい。
2D動画視聴
普通の2Dの動画を視聴するのなら、世界に入り込めるかというより、快適かどうかというのが大事である。なので椅子に座って見るのが一番良い。立ちっぱなしは疲れる。
寝ながら見るのも悪くないが、その場合は鼻の部分の隙間から光が差し込まないように注意したい。
ゲーム
プレイするのが乗り物系ならば椅子に座って行うのがよく、スポーツ系ならば立った方が没入感を得られる。そしてVRゲームの場合は没入感も大事だが、操作性が重要だ。
椅子に座って行う場合、椅子は回転椅子であることが望ましい。360度全てを使うゲームだと、体の向きを頻繁に変える必要が出てくるからだ。
話題となった『Virtual Virtual Reality』は、まさしく全方向を見渡して動き回るゲームである。没入感という点では立ったほうがいいが、なにせ時間のかかるゲームなので、回転椅子に座ってやることをお薦めする。
なお、Oculus公式の写真ではソファーに座っている人ばかりだが、あれは本気でゲームをやろうという姿勢ではない。
この写真ではソファーに座ってプレイしているため、顔の向きと身体の向きがズレ始めている。さらに左側を向こうとすると、彼女は転げ落ちるだろう。
AV
VRAV(アダルトVR)の多くは『主観モノ』つまり男優視点で作られている。そのため使える体位は限られる。男優が『座る』か『寝る』かだ。VRの男優は動かない。
男優が動いても、視聴者自身は動いていないわけですから、男優が激しく動くほど認識のずれが生じて没入しづらくなるのです
現場に潜入! ”アダルトVR”はこうして作られる (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)
なので男優の動きを極力無くし、男優視点で撮影するとなると、男優は『座る』か『寝る』かするしかないというわけだ。
この2つのうち、男優が座っている作品は話が簡単だ。撮影では椅子に座った男優の前にカメラがセットされている。
なのでユーザーも椅子に座ればいい。
仮想世界と現実世界の身体感覚が一致しているため、これでいい感じに没入感を得られる。
問題は男優が寝ている作品だ。
単純に考えると、男優と同じように仰向けに寝ればいいと考えるだろう。
この時、ユーザーの視界はこうなっている。
天井しか見えない。
幸いなことに、Oculus Goは好きな方向を正面に設定することができる。そこで寝た状態で正面が映るようにする。
女優が上から迫ってくる。
重力の方向が現実と異なるのはよろしくない。
なぜ上手くいかないのか。これはカメラの向きと男優の視点が一致していないためである。
男優が寝る場合、視点を一致させることよりも女優を映すことが優先されているのだ。
だからといって椅子に座って見るとどうなるか。
自分の胸から男優の身体が突き出る。
これでは男優とのシンクロ率が著しく低下してしまう。
以上のことを踏まえると、完璧な体勢は以下となる。
- 床に対して水平方向を正面とする
- 仰向けになる
- 自分のへそが見える程度に上半身を起こす
これでシンクロが完了する。後は圧倒的な体験を楽しむだけだ。
終わりに
俺がOculus Goを購入したのはみんな持っている*1からだったが、これは正解だった。やはりVRというものは、実際にいろいろ体験しないと分からないものだからだ。その点Oculus Goは気軽に使えるし値段もそこそこなのが良い。
Oculus Goを手にするまで、VRによって人類は肉体の制約から解き放たれると考えていた。将来的にはそれは正しいのかもしれない。しかし技術が成熟していない現在では違った。むしろVRを楽しむためには、強靭な腹筋が必要とされるのである。
やはり筋トレするしかない。
筋トレ始めた
*1:n=2