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イリアス〈上〉

イリアス〈上〉 (岩波文庫)

イリアス〈上〉 (岩波文庫)

きっかけ

イリアスは深淵らしいから。

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Fate/Zero 第2話 より

ギリシャ神話は宗教嫌いな日本人にも有名だ。アテナとかポセイドンとかハーデスとか俺ですら知っている。しかし、名前は知っていてもそいつらがどんな存在で、どういった世界観なのかはよく知らない。いい年して、俺のギリシャ神話の知識は90%が聖闘士星矢からのものだ。このイリアスの主人公であるアキレスにいたってはほとんど知らない。せいぜい足首を掴まれて水に漬けられたとか亀に追いつけないとかLBXになったとかその程度のものだ。なのでその内調べるなり読むなりしようかとは常々考えていた。

そんな時に知ってしまった「イリアスは深淵だ。」というこのセリフ。何しろ戦いの最中にも一節が気になるほどらしい。かのイスカンダルがそう言っているならそうなんだろう。この話はフィクションだが、実際のイスカンダルもミエザでホメロスを学び、イリアスを戦術の資料とみなしたらしいのであながち間違ってはいない。それほどのものならと読んでみた。


内容とか

本来この作品は平家物語のように口承で伝えられ、詩としての形をしている。だが俺が読んだ松平千秋訳は散文であり、特に詩としての形はしていない。内容を知りたい俺にとっては好都合だが、一節が気になるということはなさそうだ。

イリアスの舞台はトロイア戦争の末期、イリオスを攻めるアカイア勢と守るトロイエ勢の戦いを描写している。このあらすじを知った時、イリアスは神話とはいえ戦記物語だと思った。おそらく映画のトロイを見た影響だと思う。戦術の資料になるというくらいだし。しかし読んでみて間違いに気がついた。これは完全に神話だ。

まず神々が当たり前のように干渉してくる。というかイリアスの大筋はゼウスの策略そのままだ。そもそも調べてみたらトロイア戦争自体が増えすぎた人口を調節するためにゼウスが仕組んだものというではないか。まあ大局的なところは神の意によるものでもいいとしよう。しかしあいつらはかなり個別に手を出してくる。ゼウスに限らずアテナもアポロンもお気に入りの人間が弱気になったりすると、体力を回復させたり気合を入れたりしてくる。さらには槍や矢が当たらないように身を守ってやり、死にそうになれば戦場から連れ出して命を助けることまでする。アレスにいたってはヘクトルと一緒になってアカイア勢をバンバン殺していく。あまりにも一緒になって戦ったために人間であるディオメデスに刺されてしまうのだが。まあ人間といってもアキレスを筆頭に親や先祖が神の奴がゴロゴロいるので、神といってもかなり身近な存在のようだ。

これだけ神々が干渉してくるのであれば、古代ギリシャの連中が何かあるたびに祈りを捧げるのもうなずける。以前紹介した歴史では戦いがあれば毎回のごとく神託を伺っていて、正直その感覚がよくわからなかった。海に鞭を打っちゃうあたりとか。しかし、イリアスを読んでわかった。ギリシャの神々は異教徒のみならず、自分を信仰し供物を捧げる人間だろうと平気で痛めつけやがる。そりゃ自分が神に贔屓されるよう頑張る。ヒストリエ3巻にあったギリシャ人を理解してもらうためにまず神話から知ってもらうというのは正しい判断だったと言える。

イリアス上巻のあらすじは、アキレスがアガムノン王による自分の扱いの悪さを、母である神テティスを通じてゼウスに訴える。そして自分の名誉が回復するまでニートになることを決意。それに対してゼウスはトロイア戦争を利用してアキレスの名誉を取り戻そうと考え、トロイエ勢を支援することによりアガムノン王のアカイア勢をピンチに陥らせようとする。そうすればピンチになったアカイア勢をアキレスが颯爽と救うことにより名誉が取り戻されると画策したのだ。こうして戦いが始まり、ゼウスの支援により勢いづいたトロイエ軍は突き進み、大将ヘクトルがアカイア勢の最終防衛ラインを突破した所で上巻は終わる。つまりアキレス一人の名誉のために大勢が犠牲となったのだ。

さてFate/Zeroでイスカンダルは次のセリフを言っている。

「小さいわ! 小さい! 狭い! 阿呆らしい! 闘いに賭ける大望が、おのれの沽券を示すことのみだと? 貴様それでも余のマスターか? まったくもって嘆かわしい!」

お前それアキレスの前でも言えるの?


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