骨伝導ヘッドセットを装着した生活を始めて1ヶ月。
付けっぱなしだとSF感が強い。
日常向けスマートグラスとして、これが最も実用的な解である。
骨伝導ヘッドセットを買った
会社支給の携帯電話がスマートフォンになった。安いアンドロイドなのだが、これの使い勝手が悪くてストレスが溜まる。機能制限やスペック以前の問題として、電話に出るのが難しいのだ。主な理由は以下の3点。
- バイブレーションが弱くて着信に気が付きにくい
- サイズが大きくてポケットからスムーズに出せない
- 応答動作✆のスワイプの反応が悪い
このスマホはクソな道具だ。電話に出れないかもしれないし、思い通り、すぐに操作できるとは限らん。おまけに応答は、抜き、構え、アイコンを引くまでに
ということでワイヤレスの骨伝導ヘッドセット『AfterShokz Air』を買った。
骨伝導にしたのは、付けっぱなしにするためだ。電話にすぐ出るためのものだから、業務中は常に付けていないと意味が無い。そうすると耳を塞ぐタイプ、特にカナル型は論外となる。
耳を塞いでいると周囲の人の声が聞こえにくい。さらに塞ぎ続けることで外耳道の中が高温多湿になると、カビが繁殖するリスクがある。コロナからのリモートワークでイヤホンを付けっぱなしにした結果、外耳炎になったという話もある。
骨伝導なら耳を開放状態で使えるので、このような問題はない。骨伝導は鼓膜ではなく、その名の通り骨を震わせることで直に聴覚神経へ音を伝える方式だからだ。
この特徴のおかげで、俺は安心して付けっぱなしの生活を送っている。通勤中も使っているため、平日は約12時間付けっぱなしにしている。AfterShokz Airの連続再生時間は最大6時間となっているが、業務時間の大半は音を出していないのでバッテリーは十分に保つ*1。
ヘッドセットを付けているのが当たり前になると、どこか近未来を感じられて良い。何か作業をしていても、電話が来たらワンコールで応答。ちょっと歩くなどのスキマ時間には、Kindle読み上げやPodcastを聞く。そして何より音声アシスタントだ。左のボタンを2秒長押しすればSiriが起動する。これで帰宅時に部屋のエアコンを入れるのも簡単だ*2。
こういうことを日常的に行っていると妙な気分となる。メガネとヘッドセットを一緒に付けていると、まるでメガネでスマホをコントロールしているように思えてくるのだ。
普通のメガネがスマートグラス化
「スマートグラス」と言うと、思い浮かべるのはスカウターやスパイダーマンのE.D.I.T.H.の様な、ヘッドマウントディスプレイである。しかし現時点だと、日常的に着用できる製品はまだ無いと言っていいだろう。それはメガネというには、あまりにも大きすぎる。大きく、分厚く、重く、そして大雑把すぎるものを誰が身につけたいと思うだろうか*3。
それで現在もう少しマシな解として提示されているのが、目ではなく耳に働きかけるというものだ。有名な例としてBose Framesが挙げられる。
これはサングラス型のヘッドセットで、音楽を聞いたり通話ができる*4。もちろん音声アシスタントを呼び出すことも。これなら日常的に使えると思われたのか、他にも似たような製品が他社からも出ている。日本でこそ取り扱っていないが、AmazonもEcho Framesという類似品を出している。
そんなヒアラブル系スマートグラスが一つの潮流としてあるわけだが、まさにこの利便性を日々感じている。俺の場合はメガネとヘッドセットを別々に用意しているわけだが、やっていることは同じだ。なので俺のメガネは実質スマートグラスである。いや、むしろ分割している方が正解かもしれない。時には機能でハードを分けた方がいいこともあるのだ。
分割して運用せよ
「卵を一つのカゴに盛るな」という投資の格言がある。全滅するリスクを避けるため、一つにまとめず分散させろという意味だ*5。この格言はデバイスにも適用できる。
俺のようなメガネユーザーがスマートグラスを使う場合、それは音声を聞く他に視力矯正の役割も持つ。これで充電しようとした時どうなるか。俺は電力と引き換えに視力を失う。
また、スマートグラスはテンプルにバッテリーや回路が仕込まれているため、個人に合わせて調整できない。しかも大きくて重いので、頻繁にずり落ちることになる。だから俺は普通のメガネをつけることにした。
上記記事では結論として、「スマート機能はイヤホンに任せる」と書いた。だがこの時はカナル型であったため、付けっぱなしではない。特に業務中はもってのほかだ。それが骨伝導ヘッドセットを手に入れたことで、スマート/グラスのスタイルは完成した。骨伝導ヘッドセットとメガネをセットで使う、これがスマートな選択だ。
終わりに
このように、現在の俺は骨伝導ヘッドセットを付けっぱなしの生活を送っている。もちろん状況にあったメガネとセットで。AfterShokz Airはマルチポイント接続ができるので、個人携帯と会社携帯の両方と接続するようにしている。こうすると個人携帯で何か聞いていても、会社携帯に着信があればワンクリックで応答できて便利だ。
ただ、俺が骨伝導ヘッドセットにここまで満足しているのは、俺がスマホで聞くのは音声がメインであるのも理由の一つかもしれない。俺が聞くのは主に以下の3つだ。
- 通話
- Podcast
- Kindle読み上げ
これらは何と言っているのか聞き取ることができればいいので、音質はさほど求められない*6。なので音質に拘るタイプの人は、どこかで試聴してから買った方がいいだろう。
せっかくなので、ついでにKindle読み上げについて書いておく。iPhoneでKindle読み上げというと、KindleアプリでiOSの画面読み上げ機能を使ってSiriに読ませるのが有名だ*7。
現在はもう一つ方法がある。それはAmazon Alexaアプリの「再生」からKindleライブラリの本を選択するというものだ。これだとAlexaが本の内容を読み上げてくれる。もちろん進捗状況も同期して。そしてSiriではなく、Alexaを使うメリットは以下である。
- 再生・停止をヘッドセットで行える
- バックグラウンド再生が可能
Siriの場合だと画面を表示させておかないといけないため、これは大きなメリットだ。一方でAlexaを使うデメリットもある。それはストリーミング再生であるということだ。
- オフラインでは使えない
- 外だとギガが減る
- ちょくちょくロードで一瞬止まる
加えて速度調整は音声でないとできないとか*8、声の好みという問題もある。このようにSiriとAlexaは一長一短なので、各自のスタイルによって好きな方を選べばいいだろう。積ん読は耳で崩せ。
俺の買ったAirは一世代前。最新はこれだ。
ヘッドセットの記事
カナル型は骨伝導には無いメリットがあるので、これはこれで使い続けている。
お題「#買って良かった2020」
*1:待機時間は最大20日間とのこと。
*2:SiriショートカットからSwithBotを経由してエアコンを起動させている。
*3:nreal lightは比較的小さいが、アレは有線接続で必要な時にのみ装着するタイプだ。市販されている中で一番マシと思われるのはVuzix Blade (Amazon) だが、やはり全体的に太い。
*4:他に「音のAR」なんて機能もあったが、終わってしまった。 BoseがAR開発から撤退。「音のAR」は終了へ - Engadget 日本版
*5:俺が貼った画像もそうだが、この格言を説明するページに貼ってある画像、落ちたカゴの中の卵が全滅していないこと多い。意外と一つにまとめても何とかなるのでは。
*6:AfterShokz Airの音質は骨伝導ヘッドセットの割にはいいと思うが、やはりカナル型と比べたら劣る。
*7:KyokoやOtoyaに読ませるのはオススメしない。
*8:一度設定すれば以降はその設定速度で読んでくれるが。俺は1.5倍速がちょうどいい。