画像生成AIでグラビアアイドルを作りたい。
でも実在する人と同じ顔が出たら困る。
そんなあなたに獣頭人身というソリューション。
AIでグラビアアイドルを作ったら
最近、画像生成AIでグラビアアイドルを作るのにハマっている。こういうやつだ。
Twitterで貼っていたらこれがバズる。
多少はウケるかなとは思っていたが、想像以上のバズりで驚いている。ネタとしては全く新しいものでもないし、色々と詰めの甘い部分も多い。それでも多くの人が興味を持ち、さらに画像生成AIネタなのに批判も少なかった。
だが、ツッコミが皆無というわけではない。その中にはもっともな内容もあるが、そもそも「目的が違う」と言いたいものもある。これはある意味で仕方ない。今回はTwitterでのバズなので、文脈が切り離された単体のツイートが広まっていくのだから。
なのでブログでまとめることにした。
そもそもの話
なぜこのようなAIグラビアアイドルを作ろうと思ったのか。
- AIで新しい表現を作る → 間違い❌
- 他人の性癖を歪める → 間違い❌
- 絶対に実在しないグラドルを作る → 正解⭕
しばらく前、週刊プレイボーイがAIグラビアアイドル「さつきあい」を作成したが多くの批判にさらされ、すぐに消えてしまった。
終了する判断の決定的な理由は明らかにしていないが、批判の中には「特定の人物を学習元にして生成した」というのがあった。集英社はこれを否定しているが、これを証明するのは難しい。それに学習させていないとしても、理想のグラドルを作ろうとしたら実在の人物に似てしまうことはあるだろう。整った顔というのは平均的な顔だからだ。それに人気のグラドルほど、知らないうちに生成モデルに使われている可能性がある。
ではどうしたらこのようなリスクを回避できるか。現実にはありえない顔にすればいい。
おそらく似ているかどうかが決まるのは顔が9割なので、人間の顔をしている限り訴えられるリスクはありそう。それより身体は丸パクリでも、顔をカエルやロボットにした方が効果的ではないか。よりニッチな作品になるけど。 https://t.co/uORWfB2oPH
— 骨しゃぶり (@honeshabri) 2023年6月13日
ということで俺はカエル顔を提案した。口で言うだけなら簡単だし、実行されないアイデアに価値は無い。なので実際に自分でやってみたのである。
ゆえに本来の目的からしたら「身体が人間そのまま」とか「女性しかいない」というのは的外れなのである。顔が隠れていれば十分なのだから、身体は人間のままが正解だ。しかし、本当にただの被り物をした人間だと作っていて面白くないので、わざわざ肌の色の変更や、つなぎ目の処理といった手間をかけているのである。
加えてブコメ & Twitterでも書いた通り*1、俺はこれを新しい表現だと思っていない。獣頭人身のキャラは大昔から存在する。それこそブコメで言及したライオンマン*2は、およそ35,000 ~ 41,000年前に作られたと言われている*3。俺がやったのは昔からあるネタを最新技術でやったにすぎない。
とはいえ、俺も「ただ人間の身体に動物の顔を載せただけ」というのはこれ以上作っても面白くない。なので追加で作ったやつは動物を活かすことを意識してみた。
動物を活かす
まずは作りやすそうな爬虫類からカメレオンを採用した。カメレオンは身体の色を周囲に合わせることができるので、街中で露出度の高い格好をできるのが良い。
アップにすると姿がはっきり見えるが、遠くから見ると風景に溶け込むので試してみると良い。これは画像生成AIを活用した表現と言えるだろう。作り方はこうだ。
これまでの経験から亜人を作るだけでもそれなりに苦労することは分かっていたので、まずアイデアが上手くいくか試した。
次に作る人外グラビアアイドルとしてカメレオンを検討したが、その前に光学迷彩を作れるか試してみることにした。何となくでやってみたら、それなりのものができた。これだと細部が破綻していても許されるからいいな。 #StableDiffusion pic.twitter.com/pwAsuQyQg6
— 骨しゃぶり (@honeshabri) 2023年6月19日
それっぽいものが作れることが分かったので、安心してカメレオンに挑戦できた。
次に手を出したのはクラゲである。こちらは特性ではなく、見た目を活かした表現を目指した。
こちらは特殊なテクニックは使っていない。普通にt2iで出力してから、i2iをグルグル回していい感じに調整していっただけである。
3つ目はカタツムリである。これも見た目を重視したやつで、殻を使うことを意識した。
本当は空にたくさんの虹を出したかったのだが、リアルな虹を出すのが難しかったので諦めた。
人間をやめると
首から下が普通の人間である理由は上述したとおりである。だがそれだけではない。単純に作りにくいというのもある。
1体目であるカエルを作った後、俺は次の題材としてイカを考えた。そしてただの人間では面白くないと思い、完全な人外を目指そうとする。結果、ゆるキャラとUMAが誕生した。
人間から遠のく程にグラビア感が減っていく。おそらく何を作りたいのか伝わらないだろう。これはこれで好きな人もいるかもしれないが、相当にニッチだ。そこで当初の目的を思い出し、身体は人間のままで行くと割り切った。そしてイカを作り直した結果が冒頭に貼ったやつである。
だが俺は懲りないので、カタツムリで完全な人外ボディに再挑戦してみた。上で貼ったカタツムリと共通の画像からi2iで作ったので、並べる形で載せよう。
やはり身体は人間ベースの方が良いのでは。
女ばかりじゃん
もう一つありがちな批判として「女ばかり」がある。事実、上で貼ったものは女性率100%だ*4。これもまた当初の目的がグラビアアイドルを作ることなのだから当然である。だが他にも女性ベースで作る理由はある。
それはモデルが充実していることだ。俺が画像生成に使っているStable Diffusionはモデルによって出力できる画像に得意不得意がある。よくある分類としては「実写系」や「アニメ系」というように。そして女性に特化したモデルの方が種類が豊富で充実している。定量的な調査はしていないが、このスクショを見れば分かるだろう。
そして人外グラビアアイドルを作る場合、生成過程で最適なモデルを使うのがポイントである。最終的には実写系で出力することになるのだが、最初のt2iはアニメ系の方が作りやすい。例えば水着のカエル頭キャラを作るとしよう。同じプロンプトでもモデルが異なると結果がこう違う*5。
スタートがアニメ系だと最終的には実写系でi2iをする必要がある。ここでもまた実写系モデルの選択肢が多いとやりやすい。実写化する上で厄介なのは人間の顔が出てくることなのだが、顔の出やすさはモデルによって異なるからだ。
なるべくリアリティを高めたいが、そうすると顔が出やすくなってしまう。そのため様々なモデルとパラメータを変更しながら調整することになる。この微妙な調整をしている時に、いちいち性別までコントロールしたくない。女性が得意な実写系モデルならば、最低限の指示で女性に固定される。女性を採用するのは工数を減らすためにも重要なのだ。
後はもちろん女性ベースで出した方が人気というのも重要だ。PVをとるのはネコとオッパイである*6。好きな生物を使うのであれば、オッパイを選ぶしかない。オッパイをつければ人間味がグッと増す効果もあるし。
これは地味にポイントなので、説明しておこう。獣人を作る上で人間に近づけたければオッパイをつけるべきだし、逆に人外度を高めたければオッパイをつけない方がいい。これは哺乳類と合成する場合でも同じである。なぜならオッパイはヒト特有の器官であるためだ。
もちろん哺乳類のメスならば乳房を持っている。しかし、ヒトは他の哺乳類と違って、授乳期間ではない時でも大きさを保っている。授乳期間が終わると乳房の内部では乳腺細胞が死を迎え、太い乳管を残して消えていく。ここまでは他の哺乳類も同じだが、ヒトの場合はそれによって生じた隙間を膨らんだ脂肪細胞が埋める。これによって乳房の大きさを保つわけだ*7。
ゆえにオッパイがあるというのはヒトの特徴であるのだから、人間らしくしたい時はオッパイをつけると良いのである。江戸時代では「貧乳は人に非ず」と言われていたが*8、それが擬人化の手法から来ているのは言うまでもない。
以上のように、女性をベースに作るのは様々な合理性がある。しかし、男性でも作るべきだという意見を完全に無視するのもどうかと思う。そこで協力してくれる人を捕まえてきた。
終わりに
これまで画像生成AIは使っていたが、SNSのヘッダーやサムネがメインで、似たようなものばかり作っていた。それが今回、ひょんなことからグラビアアイドルに挑戦してみたら、これが意外に面白い。一定の制限がある中で、生物の選択や表現方法に工夫のしがいがある。ただ生成するだけでなく、紹介したカメレオンのように、他の手段と組み合わせても面白い。
今のところは動物しかやっていないが、植物や機械と組み合わせても良いだろう。興味が出た人はぜひ挑戦してみてほしい。
なお、やってみれば分かるが、理想の獣頭人身グラビアアイドルはそう簡単には生成できない。何度も試行錯誤しながら修正を重ねていく必要がある。ハマると強いGPUが欲しくなるだろう。俺はこれを積んでいる。
生成系AIで遊ぶ記事
*2:ライオン"マン"と呼ばれているが、これはメスのホラアナライオンであるという説もある。なので俺は間をとって、オスライオンの頭部と女性の身体を合成した。これでどっちに転んでも半分は正解。なお、ホラアナライオンはオスも「たてがみ」は無かったと言われているが、それは無視した。
*3:ブコメでは日本版Wikipediaを見て「約32,000年前」と書いたが、英語版を見たら35,000 ~ 41,000年前と書いてあった。博物館のサイトでも同じなのでこっちが正しそう。
*4:イカのUMAは性別がよく分からないが、ベースは女性だったので。
*5:厳密には同じシードで比較しないといけないが、面倒なのでそれはしていない。
*6:藤代 裕之. 『ネットメディア覇権戦争~偽ニュースはなぜ生まれたか~』
*7:もっとオッパイの話を読みたい人は次の記事を読むと良い。オッパイは尻の代替品という解像度の低い説 - 本しゃぶり