本しゃぶり

骨しゃぶりの本と何かを繋げるブログ

オッパイは尻の代替品という解像度の低い説

書いたな、俺の前で、おっぱいの話を。

ヒトの視点でサルを語る人

こんなまとめを読んだ。

サルのオスは豊満な乳房に性的魅力を感じない。だからヒトのオスが乳房に性的魅力を感じるのは、進化の過程で特殊性癖の個体が誕生したのではないか。

これが発端となったツイートである。これ自体は素朴な疑問なので、そこまで気にならない。俺が気になるのはその後に出てくる「尻の代替説」である。曰く、ヒトの乳房が大きく丸みを帯びているのは、尻を模したためであるという。

この有名な仮説は、イギリスの動物行動学者デズモンド・モリスが著書『裸のサル』で提唱したものである。モリスは臀部を想起させるものが女性の胸部にあることで、男性は対面性交を好むようになったと考えた。

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Sailko, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons, Link

多くの哺乳類が採用している背腹型*1と異なり、対面となる腹腹型*2は交尾相手と向き合い目と目が合う。そのため雄雌の絆を深めるのに役立ったというのだ。より深い絆を結んだペアは子育ても協力して行い、より多くの子孫を残せるだろう。これがモリスによる臀部擬態仮説である。

しかしこのモリスによる仮説は、他の動物の生態による裏付けが無い。多くの哺乳類は背腹型による交尾を行っているが、霊長類には腹腹型を行う種もいる。ヒトに近いゴリラやオランウータン、それにボノボは様々な体位を用い、その中には腹腹型も含まれる。しかし乳房は膨らんでなどいない。

また、哺乳類にはヒト以外にも一夫一婦制を採用している種がわずかながらにいるが*3、それらの交尾は押しなべて目線を合わせない背腹型である。乳房と体位と絆は、他の動物を見る限り関係ないと言えそうだ。

そのためか現代の日本では、臀部擬態仮説において「絆」の重要性は薄れ、目立つことを重要視している。四足歩行では尻が目立つが、二足歩行では目立たなくなる。だから目立つ位置にある胸を膨らませたのだ、と。『監獄学園』でもこの仮説を採用していた*4

しかし俺に言わせれば、この仮説はあまりにもヒト視点すぎる。なぜサルが臀部に注目するのか、その観点がすっぽり抜け落ちているのだ。単に自分が丸みを帯びた臀部を見て興奮するから、それをサルに当てはめて語っているに過ぎない。

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Savaman*, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons, Link

もしヒトの乳房が臀部のまがい物に過ぎないと主張するのであれば、まずサルがなぜ臀部に注目するのか語るところから始めるべきだ。もっとも、それを語れる人はこの仮説を捨てていると思うが。

なぜ尻に注目するのか

チンパンジーやニホンザルなどの霊長類のオスは、メスの臀部を見て発情し、交尾を行おうとする。しかし、どんな臀部でもいいわけではない。彼らが興奮する臀部とは、性皮が腫脹したものだ。

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prakhar (Prakhar Amba from Agra, Gandhinagar), CC BY 2.0, via Wikimedia Commons, Link を加工

霊長類の発情は、基本的にメスがトリガーとなる。メスは排卵直前になると発情ホルモンであるエストロゲンが急激に増加する。メスの発情はこのエストロゲンによって引き起こされるのだ。そしてオスの発情は、メスの発情徴候によって引き起こされる。そして霊長類で多く採用されている発情徴候こそが、性皮の腫脹というわけだ。

種によって違いはあるが、おおむね腫脹はエストロゲンの上昇と共に大きくなり、排卵直前に最高潮に達する。だからオスは無駄撃ちを防ぐためにメスの臀部に注目し、腫脹という妊娠の準備ができているシグナル*5によって興奮するのである。

ではなぜメスは臀部を真っ赤に腫らしてまで、自らの排卵をアピールするのか。それは交尾がリスクの高い行為だからと考えられる。交尾中は雄雌ともに無防備となる。行為中に捕食者や敵対者に襲われたらひとたまりもない。

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Alessandro Varotari, Public domain, via Wikimedia Commons, Link

また、機会費用の観点からも無駄な交尾は避けるべきだ。餌を探すのに使える時間を、妊娠に繋がらない交尾に使うのは馬鹿げている*6。だからメスは自分が妊娠できる状態にあるかをはっきり示し、交尾に能率を求めるのだ。

しかし本ブログの貴重な女性読者*7は納得がいかないかもしれない。効率的に交尾するため排卵をアピールすると言うが、自分がいつ排卵しているかなんて分からない、と。

この指摘はもっともである。ヒトは排卵が隠された種であり、オスだけでなく本人にすら分からなくなっている。ただし、オスに対して排卵をアピールしない霊長類は、何もヒトに限った話ではない。そしてこれは配偶システムと密接に関わっている。

発情徴候と配偶システム

「サル」と聞くと日本人はニホンザルやチンパンジーをイメージするため*8、サルといえば尻 (と顔) が赤くなると思いがちである。しかしヒトを除いても、全ての霊長類に性皮の腫脹が見られるわけではない。わずかにしか腫脹しない種もあれば、ヒトと同様に全く腫脹しない種もある。しかも同じ属に分類されていても、種によって異なる場合すらあるのだ。

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山極 寿一『人類進化論 霊長類学からの展開』Kindle 版. 図4-3

この進化系統樹で注目すべきは、発情徴候は霊長類のそれぞれの分類群で独立に進化したと考えられることである。ヒトに近いチンパンジーは腫脹するが、次に共通の祖先を持つオランウータンやテナガザルなどは腫脹しない。つまりヒト上科においては腫脹するチンパンジーの方が特殊なのである。

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self, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons, Link

一方でオナガザルやマンドリルが属するオナガザル亜科では、腫脹するのが主流である。なぜ霊長類には腫脹する種としない種があり、この特性を独立に獲得したのか。この問題に対して種間比較法で挑んだ研究者がいた。

スウェーデンの生物学者ビルギッタ・シレーン=トゥルベリアンデルス・メラーは、まず真猿類の68種について視覚的な排卵シグナルの一覧表を作成した。次に二人は68種を配偶システムによって分類した。一夫一妻型ハーレム型乱婚型の3種である。ヒトは一夫一妻型が主流で、一部の社会でハーレム型という扱いになる*9

そしてシレーン=トゥルベリとメラーは、排卵シグナルの有無と配偶システムの関係を調べ、さらに系統樹に当てはめた。こうすることで、霊長類の進化史において排卵シグナルと配偶システムがどのタイミングで変化したのか分かり、どのような状況で有利に働くか分かるのではないかと考えたのだ。

おっぱいの話に早く移るため、過程を消し飛ばして結論を述べよう*10。排卵サインが消える (排卵の隠蔽) は乱婚型かハーレム型の種で子殺しを防ぐために生じる*11。そして排卵の隠蔽が定着すると、オスは自分の子供である確証を得るため、最優のメスを一人選び囲い込むようになる。こうしてヒトは一夫一妻型となった。これをジャレド・ダイアモンドは表の形で簡潔にまとめている。

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ジャレド・ダイアモンド『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』Kindle 版. 図4-4 排卵の隠蔽の進化

ここで一つ、オスにとって問題が生じる。最優のメスとは、どのような特徴を持っているのだろうか。

残存生殖価

有意性検定で有名なイギリスの進化生物学者ロナルド・エイルマー・フィッシャー*12「残存生殖価 (RRV)」という概念を提唱した。これはある個体が将来どれだけ子孫を残せるかを表すものである。これが一夫一婦制を採用したヒトのオスにとって、配偶者を選ぶ上で重要な指標となる*13

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残存生殖価 (RRV) のイメージ

もし配偶者を一人に選ぶ必要が無いのであれば、RRVは多い必要はない。配偶者のRRVが無くなったのなら、また新たな配偶者を選べばいいからだ*14。しかし基本的に一人しか配偶者を選べないのであれば、話は違う。多く子孫を残すためには、RRVが多いメスを選ぶ必要がある。つまり若いメスだ。

だからといって、若ければ若いほどいいわけでもない。若すぎれば妊娠することはできないからだ。自分の精力における最盛期を無駄に過ごすのは愚かな選択だ*15

従ってRRV観点による最優のメスとは、RRVが最大であるほどに若いが、すぐに妊娠できるほどに成長している、そんな適齢期のメスであると言える。

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RRV観点による適齢期

ではどうしたらそのメスが適齢期だと分かるだろうか。ようやく乳房の出番だ。

適齢期仮説

ワコール人間科学研究所は1976年から35年に渡り、約200人の同一人物による追跡調査の計測データを含む、延べ約4,500人の女性について胸部データを分析した*16。それによれば、胸部の成長変化の始まる時期は個人差が大きい一方で、初経の時期とは関係が深いことが判明した。乳房の成長は初経を挟んだ約4年の間に行われ、立体的に膨らみ最も固くなる時期は初経から1年以上経過した後である。

これだけだと、女性あるいは女児の親から石を投げつけられそう*17なので補足しておこう。現代の日本における平均初経年齢は12~13歳であり*18、それにプラス1,2年が適齢期というのはいくらなんでも早い。しかし、進化の過程では問題がなかったと思われる。というのも、少女たちの思春期が昔に比べて早まっているためだ*19

1980年に発表された日本における初経年齢の推移の研究によると、1900年から1930年に出生した女性労働者の初経年齢は16歳付近にある*20。また、1930年以降は学生・労働者関係なく初経年齢が下がり続け、1950年以降は13歳を下回るようになる*21

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守山 正樹, 柏崎 浩, 鈴木 継美『日本における初潮年齢の推移』図4 1900〜1960年の初経年齢の経年変化

このことから初期人類においては、初経年齢は早くても16歳付近、実際はさらに遅かったと推察される。したがって更に1,2年後となる乳房の成長の完了は、適齢期を表すと言って問題なかったのだろう*22

さらに乳房が示すのは、成熟具合だけでない。乳房は垂れ下がることで老化も示す。これは乳腺と脂肪の構成比の変化クーパー靭帯の変形皮膚の劣化が主な要因とされる*23

まず乳腺と脂肪の構成比の変化だが、これもまたワコール人間科学研究所の報告が分かりやすい。研究所はopen MRIを使って、立位時の乳房内部の観察を行った。すると20代女性と40代女性では、乳腺と脂肪の構成比が異なっていたのである。

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立位状態でのバストの内部, 「からだのエイジングと美の法則」|研究発表|ワコール人間科学研究所

まず上胸の乳腺が脂肪に置き換わりボリュームが減ると共に柔らかくなり、下垂が始まる。この変化は20代で既に始まっているという。

続いて名前は知っている人も多いクーパー靭帯である。クーパー靭帯は皮下筋膜深葉から脂肪や乳腺を包みながら皮下皮下筋膜浅葉に向かって立ち上がる、繊維状の結合組織である。下の図で左上から2つ目「Retinacula cutis (Ligs. of Cooper)」と示されているのがそれだ。

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Grant, John Charles Boileua, Public domain, via Wikimedia Commons, Link

乳房の形を保つのに重要なこの靭帯だが、主成分はコラーゲンである。そのため、一度伸びたり切れたりしたら、元の状態に復元することはない。そのため、重力や外部からの刺激といったストレスが加わると*24、クーパー靭帯は伸び切ってしまい緩んだ状態になるのだ。だからいっそう垂れ下がる。

以上のように*25、乳房を見れば成熟と老化を一度に確認することが可能であり、残存生殖価 (RRV) の指標としてふさわしい。そのためヒトのオスはメスの乳房に関心を持つようになり、乳房は性淘汰によって恒常的に膨らんだ。これが人類学者フランク・マーロウの提唱した「適齢期仮説」である。

この仮説の優れた点は、時代や地域によっては小さい胸が好まれたことも説明できることにある。

進化と文化の話はほどほどに

古代ギリシア・ローマにおいては、垂れた乳房が醜いと考えられていた。そのため小さいほうが形が崩れにくいことから、巨乳よりも小さく引き締まった乳房が好まれた

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Louvre Museum, Public domain, via Wikimedia Commons, Link

傾向は中世・ルネサンスに入っても変わらず、小さく、白く、リンゴのように丸く引き締まったものが美しく性的な乳房とされていた。逆に大きい乳房とは、乳母の持つ授乳のための乳房とされていたのである。

先に述べたとおり、この傾向は、適齢期仮説で説明がつく。人々はRRVが多い印象を与えてくれる乳房を求めたのだ。

ではなぜ現在は巨乳が好まれるのだろうか。ヨーロッパの場合その理由の一つは、オランダを中心とするプロテスタントによって、授乳に対するイメージがポジティブになったことが挙げられる*26。垂れていなければ、大きいこと自体は問題ではならなくなったのだ。そして垂れるのを避けたいなら、支えればいい。

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Lies Thru a Lens , CC BY 2.0, via Wikimedia Commons, Linkをトリミング

フランスのファッションデザイナー、クリスチャン・ディオール「補正下着なくしてファッションはありえなかった」と述べた。ヒトは補正下着という道具を用いることで、乳房を潰すことも支えることもできる*27。オランダが躍進した17世紀にはコルセットがあった*28。それまでは胴と共に胸を押しつぶす形の使われたをしていたが、少し構造を変えれば乳房を支え、持ち上げられる。だからイメージさえ変わってしまえば、すぐに巨乳を好意的に捉えることができたのだろう。

文化的な話をするのは、このあたりで止めておこう。乳房と性的魅力の関係は、古今東西で様々な形があり、終わらなくなるからだ。例えば近世以降の日本で乳房が性的対象とされるようになるのは、戦後の1940年代後半からであるように*29

しかしだからといって、女性の乳房が「ヒトのセックスアピールにおいて重要な意味を持つ」ことに変わりない。授乳期でもないのに「乳房が膨らみ、丸みを帯びる」のはヒト固有の特徴だからだ。これは地域や文化と関係なく存在する表現型である。女性の乳房が膨らむことが生存に有利にならない以上*30*31性淘汰によって獲得されたと考えるのが妥当であろう。ゆえに本記事は、進化のみで説明できる範囲で終わりとする。それでも十分に長い。

終わりに

本記事では臀部擬態仮説を否定し、適齢期仮説が正しいかのように述べている。しかし、これは確定しているわけではない。あくまでも俺が「最も正解に近いと考えている仮説」が適齢期仮説であるというだけのことである。

ヒトの乳房の形状に関して提唱されている仮説は他にも多くある。ヒトの女性特有の特徴についての仮説を検証する本『女性の曲線美はなぜ生まれたか』では、適齢期仮説も含めて全部で15の仮説が検討されている。どれも間違っている可能性もあるし、どれか一つではなく複数の要因によって生じた表現型なのかもしれない。今のところ答えは誰も知らないのだ。

だから発端のまとめに対し、直接的な意見を述べるのは止めた。複雑な話を100字や140字で語るのは情報が抜け落ちすぎる。名画の価値が140ピクセルの解像度で伝わるか?

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140ピクセルのガブリエル・デストレとその妹, 元画像

なので今回このように長々と説明をしたわけだ。俺の偉いところは、十分な余白が与えられれば書くことである。

参考書籍

この記事を書く上で参考にした本の紹介。

『女性の曲線美はなぜ生まれたか』

本記事で最も参考にした本。最後に書いたとおり、女性特有の謎 (月経、排卵、乳房、オーガズム、閉経) について様々な仮説を検証していく本。Togetterのブコメでも言及されていたが、今回のような件にはうってつけの本である。

ちなみに臀部擬態仮説は、本書で真っ先に否定される仮説である。著者たちは「度を超した空想に寄りかかったもの」と述べている。なんなら逆に「臀部の方が乳房を模したことで丸くなった」と主張するくらいの馬鹿らしさだ、と。お尻こそオリジンの人は頑張って論破してほしい。

『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』

『銃・病原菌・鉄』で有名なジャレド・ダイアモンドが、ヒト特有の性事情について進化の観点から考察した本。こちらは男女の両方に焦点が当たる。オスとメスは子孫を残すために協力する一方で、利害対立も生じる。多くの子孫を残すという観点からすると、取るべき戦略は雄雌で異なるのだ。

脚注にも書いたが、途中で説明を消し飛ばした「排卵シグナルの有無と配偶システムの関係」について詳しく知りたい人は本書を読んでほしい。シレーン=トゥルベリとメラーの分析の流れが、丁寧にわかりやすく解説されている。

『人類進化論 霊長類学からの展開』

人類進化論 霊長類学からの展開

人類進化論 霊長類学からの展開

タイトルの通り、様々な霊長類との比較から人類の進化の流れを導き、解説していく本。霊長類の発情徴候は『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』にも書かれているけど、こちらの方がより広範囲の霊長類について言及している。ただし本書は「性」は要素の一部にすぎない。

個人的には人類の特徴である二足歩行や大きな頭脳などが、どのタイミングで獲得したのかが分かりやすいところが好き。

『乳房の科学』

乳房の科学 ─女性のからだとこころの問題に向きあう─

乳房の科学 ─女性のからだとこころの問題に向きあう─

  • 発売日: 2017/06/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

乳房文化研究会の講演論文をまとめたもので、乳房に関する様々な話をデータで語る。例えば「母乳育児で母子の絆が深まる」という話でも、乳児による吸乳刺激によって分泌されるオキシトシンやプロラクチン濃度の変化によって説明していく程だ。また、今回はワコール人間科学研究所の成果をいくつか紹介したが、それも本書を読んで知ったことである。

本書は単独で記事にしているので、より詳しく知りたい人は読むといい。

『おっぱいの科学』

タイトルが似ているけど別の本。こちらはこちらも女性のジャーナリストもので、乳房にまつわる自身の不安を調べていく形で書かれている。女性の思春期が早まっている話は、本書を読んで知った。

『乳房論』

このブログで何度か名前を出している程*32に、乳房学の入門書としておすすめの本。神話における乳房から乳癌、さらには豊胸手術と、対象となる話は幅広く、様々な乳房本で引用されている。ただし、基本的に対象となるのは欧米であり、アジアの文化は抜けているので注意。

乳房について学びたくなった人は

乳房に関する本のまとめ記事。『乳房論』と『おっぱいの科学』もここで紹介している。

*1:メスの背にオスの腹が当たる体位。後背位などが含まれる。

*2:オスとメスが向き合う対面式の体位。正常位などが含まれる。

*3:例えばビーバーはその一つだ。ビーバーは「自分の生活のために周囲の環境を作り替える、ヒト以外の唯一の動物」であるとも言われるが、家族構成についてもヒトに似たものがある。

*4:7巻参照。もっともアレは、追い詰められた主人公が土壇場で捻り出した説である。仮説としての精度が荒くても、尻派の相手に認められるという目的に対してはベストな解答だった。

*5:排卵後もしばらく腫れ続ける種もいるので、性皮の腫脹は100%排卵していることを意味しない。これは性的対立によるメスの戦略だと思われる。

*6:これは原則的な話で、あらゆる場面において妊娠に繋がらない交尾が愚かとは言えない。例えば後述するようにメスは複数のオスと交尾することで、オスによる子殺しを防ぐことができる。「この子供はもしかしたら俺の子かもしれない」と思わせるのだ。また、同じ理屈で複数のオスから養育費をせしめることも期待できる。排卵が終わってかも性皮の腫脹が続く種がいるのは、こういったメリットがあるからではないか。

*7:Google AnalyticsによればPVの約30%が女性である。

*8:「サル」はヒト以外の霊長類をまとめて指すことが多い。しかし英語 (monkey) を含むいくつかの言語によってはオナガザル科と広鼻猿類を指す言葉であるため、チンパンジーは含まれないこともある。

*9:仮に浮気をすることが当たり前だとしても、ヒトの主流が一夫一妻型であることには変わりない。日常的に用いられる形式を重視するからだ。本当の乱婚型には浮気なる概念は無い。

*10:ちゃんと過程を知りたい人はジャレド・ダイアモンド著『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』を読むといい。Amazon

*11:これは有力な仮説の一つで、確定しているわけではない。他の説としては「オスを交尾によって繋ぎ止める」とか、「他のメスとの競争を回避する」などがある。

*12:個人的には暴走進化仮説の人という印象が強い。

*13:一度ここで言っておくが、本記事は進化についての記事であり、婚活指南の記事ではない。まさか社会的な意味で俺が「女性の価値は子供をどれだけ残すかで決まる」と主張していると思う人はいないよな。

*14:実際、乱婚型のチンパンジーは、若いメスよりも年寄りのメスを好む。1回限りで考えるならば、体が仕上がっている年寄りのメスの方が妊娠する確率が高いからだ。それにヒトのように閉経という奇妙な現象も無い。

*15:もう一度言っておく。本記事は進化の話だ。若い時に交尾できなかった人を愚かだと嘲る意図は無い。

*16:「子どものバストの成長変化の法則」|研究発表|ワコール人間科学研究所

*17:ちなみに目標に向かって速く正確に投擲できるのも、ヒト特有の能力である。まあ、これについては『けものフレンズ』でも言及があったから皆知っているか。アニメ『けものフレンズ』は人類史600万年を探求する - 本しゃぶり

*18:これから初潮(生理)を迎えるにあたって|エリス 女の子クリニック

*19:思春期の早期化の要因は明確になっていない。栄養状態の改善や化学物質の影響ではないかと言われている。

*20:日本における初潮年齢の推移

*21:初経年齢の低下は世界的な傾向であり、日本人特有の現象ではない。

*22:乳房の成長が早まることは、妊娠適齢期とシグナルが合わないこと以外にも問題がある。それは乳がんリスクの増加だ。アメリカ国立衛生学研究所のスーザン・フェントンは、乳がんリスクを高める最も重要な要因として思春期ではないかと言っている。また、2007年に乳がん基金が出した報告書によると、12歳前に初潮が来ると、16歳で来る場合よりも乳がんのリスクが50%高まるとしている。これはエストロゲン暴露期間の長期化や、妊娠までの期間が長いことが原因ではないかと言われている。THE FALLING AGE OF PUBERTY IN US GIRLS

*23:「からだのエイジングと美の法則」|研究発表|ワコール人間科学研究所

*24:アニメを見ていて乳房で返事をするタイプのキャラを見ると、将来が心配になる。

*25:肌の老化については乳房に限った話ではないので、説明は省略した。

*26:これについては以前書いた記事を読んでもらいたい。巨乳主義の精神とプロテスタンティズムの倫理 - 本しゃぶり

*27:偽装することもできる。

*28:コルセットのような下着は他の時代にも誕生している。例えばクレタで紀元前1600年頃作られたものは、アンダー・バストを支えながら乳房を上に押し上げる機能を持っていた。File:Snake Goddess - Heraklion Achaeological Museum retouched.jpg - Wikimedia Commons

*29:【鬼滅の刃】恋柱に注目するなら乳だけでなく下半身も見ろ - 本しゃぶり

*30:乳房を脂肪で膨らませることは、授乳の観点でも生存で有利にはならない。乳汁分泌に使われる脂肪は下腹部のものだからだ。また、乳房のサイズ、そして乳腺細胞数の量も泌乳能力とは無関係である。乳腺細胞は乳児の必要量に応じて乳をつくる機構になっているためだ。そのため外見によって母乳が多く出るかを判断するのは無理がある。

*31:乳房が常に大きいことが、生存において有利だとする説もある。作家エレイン・モーガンが著作で取り上げたことで有名になった「水生類人猿説」である。これは人類の祖先は水生生活をしていたというもので、乳房は「浮き」として進化したというのだ。赤ん坊が母親の乳房にしがみつくのは、溺れないためである。きっと成人男性もそうなんだろうな。

*32:『乳房論』が出た記事の例:読書の習慣は手段の目的化から始めよ - 本しゃぶり