この絵は「おっぱいに導かれる民衆」を表現している。
民衆とはフランス市民のことではない。
我がブログの読者である。
本記事では、このネットユーザーを活用したアートについて解説する。
人は芸術のどこを見るのか
人は芸術作品と向き合った時、どの部分に惹かれるだろうか。それは題材によって違う。だが自信を持って予想できることがある。
「おっぱいがあると、人はおっぱいに惹かれる」
芸術作品を見て最高に素晴らしいと感じた時、脳内のデフォルトモードネットワーク*1が活性化するらしい。だが、そんな部位よりも扁桃体と視床下部を活性化させる方が簡単そうだ。この2つの部位は本人が意識しなくても動いており、扁桃体は感情的に反応し、視床下部は性的興奮を引き起こす。
言ってしまえば、本能によっておっぱいに注目すると考えたのである。少なくとも半分くらいの人が当てはまるはずだ*2。
この仮説を支持してくれる人は多いと思う。しかし、あくまでも仮説にすぎない。なので実験してみた。
絵画の選択
実験はブログ記事で行うため、絵画を使う。おっぱいが描かれているのは当然として、どんな作品を使うべきか。
第一に、知名度の高い名画であること。ほとんどの人は芸術作品とポルノを評判で区別しているので*3、大多数の人が芸術作品と判定する有名な絵画を使わなくてはいけない。
第二に、おっぱいだけでなく、他にも様々な要素がある絵でなくてはいけない。例えば『乳房論』でもおなじみの『ガブリエル・デストレとその妹』はこの実験に不適切だ。80%の人間はガブリエル・デストレの胸に注目するだろう。残りの20%は妹の胸だ。
そこで今回はウジェーヌ・ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』を選んだ。この作品ならば知っている人は多いし、旗や銃、それに死体など、目を引く要素は多い。胸を露出させているとはいえ、煽情的ではないのもポイントだ。
使う絵画が決まったら、次は人が惹かれる点を調べる方法を考えなくてはいけない。そこでPtengineのヒートマップを利用する。
Ptengine
《Ptengine/ピーティーエンジン》とはアクセス解析ツールである。これには「はてなブログユーザー専用プラン」が存在し、1ブログなら無料でもそれなりのことができる。
このPtengineの機能の一つであるクリックヒートマップを使う。これはサイトのどこがクリックされたのかを可視化するものだ。
クリックヒートマップ
ユーザーがサイトをタップした場所がヒートマップで表されます。良くタップされた場所ほど赤くなります。スマートフォンの場合、スクロールやフリック等、タップ以外での画面タッチがありますが、それらのタッチは除外されて表示されます。
ヒートマップとは - Ptengine ヘルプセンター
上の画像ではタイトルやプロフィールが多くクリックされている。おそらく初めてこのブログに訪れた人によるものだろう。本来はこのようにどのリンクがクリックされたのかを調べるための機能だ。
しかし今回は、画像のどこがクリックされたのかを調べるために使う。つまりこういうことだ。
- 被験者に画像の好きな点をクリックしてもらう
- 女神のおっぱいが赤く染まる
完璧な作戦だ。しかし問題が一つある。どうやって被験者に画像をクリックさせるのか。
記事の作り方
この実験は被験者が画像の好きな点をクリックしなければ成り立たない。それも多くの被験者にだ。
普通に「画像の好きな点をクリックしてください」と書いても効果は無いだろう。被験者は画像をクリックする意味が分からないからだ。大半は無視して読み進めるはずである。
かといってバカ正直に「クリックした場所を集計したいので」と説明するのもダメだ。そうすると被験者は赤くさせるためにクリックするだろう。そんな邪な考えでやってもらっては困る。もっと純粋な気持ちでおっぱいに触れてもらいたいのだ。本当の目的は隠し通す必要がある。
そこで「作品の感想を書けるようになるため」というインセンティブを与えることにした。
まず被験者は「作品の感想を書くことが、いかに素晴らしいか」を説明される。続いて「感想を書くことの難しさ」の説明を受ける。これによって被験者は「感想を書いてみたいが、自分には難しそうだ」と問題を抱えることになる。そこへ「まずは好きを自覚するために、画像の好きな点をクリックしよう」と救いの手を差し伸べるのだ。
こうすることで、被験者は自らの意志で*4画像の好きな点をクリックする。しかもクリックした場所を報告することを求めていないため、被験者は見栄を張る必要が無く、本当に好きな点を選択できる。
また「感想を書けるようになるため」という理由には、もう一つ役割がある。感想を書く練習として、記事の感想を書くことを促せるのだ。これによりSNSを通じて新たな被験者を集めることを期待できる。
こうして作られたのが前回の記事である。
結果
結果は冒頭に示したが、もう一度貼っておこう。
見ての通り、女神の胸が真っ赤に染まっている。おっぱいに引き寄せられる様子が可視化されたのだ。
記録によれば訪問者数6,846名に対し、画像のクリック数は843回。複数箇所クリックした被験者もいると思われるので、クリック率は10%程度だろう。まずまずの成果だ。
上の画像は全ての端末のユーザーを合わせた結果になっている。そこでスマートフォン版とPC版の結果を分けて確認する。
まずはスマホユーザーの結果だ。
やはりおっぱいが1番人気であることに変わりないが、「女神の顔」や「フランス国旗」も赤くなりつつある。
対してPCユーザーは極端であった。
右おっぱいに一極集中している。一体何が起きたのだろうか。
理由はいくつか考えられる。
- スマホは画面が小さいため、顔や旗の方が目に入りやすい
- PCは画面が大きい上にカーソルで選択するため、ピンポイントに選択される
- PCユーザーの方がおっぱい好き
理由が何にせよ、芸術に接するメディアの形態は、鑑賞の仕方に影響を与えるのかもしれない。
これが研究ならば深掘りを行い、第2第3の実験を行うのだろう。しかし、俺がやるのは一旦ここまでだ。人々の情動を目にできて満足している。
終わりに
始まりは『好き嫌い―行動科学最大の謎―』を読んでいた時のことだった。
この本では様々な「好き」に関する研究が紹介されている。「人々は芸術をどのように見ているのか」、「Netflixではどのようにユーザーの行動を分析し、レコメンドシステムへ反映させているのか」、など。
こうした話を読んでいると、自分でも何かしたくなる。そして天啓が下った。
「人々がおっぱいに群がる様子を可視化したら面白いのではないか」
最後に一つ断っておく。本文中で「実験」と書いたが、今回のは「研究」ではない。目的は面白い画像を作ることにある。だから記事のサムネは「女神のバストアップ」だし、途中で「全裸のイブ」が登場する。おまけに文中には「胸の内をさらけ出すのだ」とまで書いた。サブリミナル無しでの結果を知りたい人は、自分で実験してもらいたい。