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きっかけ
未来の地球がひどい事になっていたので。
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パワードスーツを装着するのに痛い思いはしたくない
「エリジウム」見た。第9地区もそうだったが、メカがどれもこれも汚くてすごくいい。エリジウムで使われていたのはきれいで滑らかで、それはそれで未来っぽかったけど、やはり俺は地球で使われていたゴチャゴチャしていて埃っぽい感じのが好きだ。舞台のスラムっぽさも好みだ。あの暑くてゴミゴミして活気のあるカオスな感じ。決して住みたいとは思わないけど、旅行としてなら行ってみたい。あの世界で暮らすなら普段はエリジウムで生活して、たまに旅行で地球に行きたい。死なずに戻れればケガなんてあってないようなものだし。
しかしだ、あの世界では地球はまともな人間が住むべきではない環境とされている。あんなに科学が発達しているのに。エリジウムに限らず、都市の未来を描こうとすると何故か荒廃させる人が多い。人口の増加と過密、大気汚染、失われた緑などなど。そして人類は今より悪い生活を送っている、もしくはエリジウムみたいに一部の金持ちと多数の貧困層という格差社会で皆が幸福というわけではない。今月のVISIONを眺めていてあらためてそう感じさせられた。全然夢見れてねえし。
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一方で昔は良かったという話は好きな人が多い。不便なところはあったが、人のつながりやゆとりがあったとかなんとか。少なくとも昔を描く時、「今よりはるか昔、人々は悲惨な生活を送っていた……」とは始まらない。もし始まったとしたら何か悪い奴がいて、物語の最後には主人公に倒されるだろう。そして人々は幸せを手にする。生活レベルは変わっていないというのに。
しかし俺は未来のほうが今よりも良くなっていると思う。少なくとも今は5年前より良くなっているし、10年前と比べたらさらに良くなっている。なぜなら技術は進歩しているからだ。そしてこれからも技術は進歩していくから未来はさらに良くなるはずだ。そんなふうに俺は未来を楽観視しているわけだが、俺と同じ考えを根拠を持った上で書いている本ということで読んでみた。
内容とか
やっぱり未来は明るいだろ。
古き良き時代に病気の発想はない
昔は良かったという話はキャンプの話と変わりがない。そこには不便はあるが、病気も怪我もなく、安定した毎日があることが前提だ。この本で例として出てくる19世紀の家族の話はこんな感じだ。
木造の家に家族皆で住んでいる。暖炉のそばで父親が聖書を音読し、母親が牛肉と玉葱のシチューを用意している。姉の一人が赤ん坊をあやし、もう一人の姉は馬の世話。そして長男が水を注いでいて、もうすぐ夕食の時間だ。外は静かで時おり鳥がさえずっている。
こんないかにも平和な暮らしだが、著者はコレを現実でぶった切る。一見幸せな家族、しかし内情はこうだ。
- 父親:肺炎でもう直死ぬ(暖炉の煙が悪化させている)
- 母親:歯痛に苦しむ(小川で汲んだ水が原因)
- 赤ん坊:天然痘で死ぬ
- 姉1:程なく嫁ぎ、酔いどれ夫の財産に
- 姉2:隣の下宿人に犯され中(子供は孤児院行き)
- 長男:外の鳥を捕まえるために罠を仕掛けている
- 財産:ロクにない
長男だけなにか違う気がするが、どうせコイツも長生きして50歳前後だ。当時の平均寿命は40歳を下回っている。この話を読んだ時思わず吹き出した。そりゃそうだろうと。所詮昔なんてこんなものだ。
アウストラロピテクス・アファレンシスが羨ましいか
この昔は良かった話。これは今に限った話じゃないらしい。
そこでは人びとが「たくさんの良きものに囲まれ、平和で穏やかに暮らした」
これは誰がいつ感じたことか。紀元前八世紀の詩人ヘシオドスだ。この時代の人間ですらこれだ。ならいったい何時代が良かったのか。おそらく「過去」という概念が生まれる前にまで遡る必要があるだろう。でもコレはある意味仕方ないことなのかもしれない。以前ここで記事にした本に「パブリック」というのがある。
パブリック ―開かれたネットの価値を最大化せよ作者:ジェフ・ジャービス出版社/メーカー:NHK出版発売日:2012/07/31メディア:Kindle版この商品を...
このパブリックに載っていたダグラス・アダムスのコラムにその答えがある。
- 生まれた時すでにこの世に存在したものはすべて、当たり前である。
- 30歳までに発明されたものはすべて、ありえないほどエキサイティングでクリエイティブであり、運が良ければそれを仕事にできる。
- 30歳以降に発明されたものはすべて、自然の摂理に反する。文明の終わりの始まりである。本当に問題ないことがわかってくるまでに、だいたい10年くらいかかるからだ。
なるほど。以前「書き留める」という行為ですら、記憶力が低下すると嘆いた人がいた。かのプラトンのことだ。いつの時代も変わらないようだ。
アイデアさえセックスしているというのに
過去のことはもういい。それより現在と未来の話だ。俺は技術が進歩していくから未来は良くなると書いた。この著者も同意見だ。こう書くとほぼ間違いなく技術が進歩することについて反対する奴が出てくる。こんなかんじに。
ぶっちゃけ文明の発展ってもう頭打ちなんじゃないの? : まとめでぃあ
しかしこれは間違っていると作者は断言する。なぜならアイデアはセックスするからだ。
まさか俺のブログでセックスなんて単語が出てくるとは思っていなかったがこの本のキャッチコピーだから仕方ない。このアイデアがセックスするというのはつまり、アイデアは新しいアイデアを誘発するということだ。そしてこれは人々が交流することで行われる。そう考えると今の時代はかつてないほど新しいアイデアが生まれているとわかる。ネットによって人々の交流が爆発的に増えたからだ。したがって今は昔よりも新しい技術が生まれる土壌が出来上がっているわけだ。
ところで最近話題になったこの話。るな速 : ビートたけし
「今のオタクって何も生み出せないね。オタクであることをステータスにして右へ倣え」
実際にビートたけしが言ったわけではないようだが、共感する人が次々出てきた。これについても同じように反論できる。なぜならかつてないほどオタクの間で情報交換が行われているからだ。世界レベルで大乱交。もうオタク関係のアイデアはセックスしまくるマジビッチ。パコパコ超会議なんて呼び名はある意味的を得ている。
豊かさは時間で測る
ここまで書いても納得できない人もいるかもしれない。給料は減っていくし物価は上がるし…などなど。本当に自分は、世界は豊かになっているのか?そもそも豊かさはどのように測ればいいのか。そんな疑問に著者はちゃんと答えを用意している。どの時代でも使える指標を。
何時の時代でもどこでも使える指標、それは時間だ。正確に言えばあるものを手にする、もしくは行うために、どれだけの時間働く必要があるかだ。例として光が挙げられている。ファイバーじゃなくて照明の光だ。読書用の照明1時間分を賄うのにどれだけ働く必要があるか。
- 1800年台:6時間以上(樹脂ろうそく)
- 1880年台:15分(石油ランプ)
- 1950年代:8秒(白熱電球)
- 現代:0.5秒(蛍光灯)
ちなみにゴマ油ランプを使っていた古代バビロニアなら50時間以上だ。恐ろしく豊かになっている。しかも今ならポケットに入れられる。
光以外でも同じようなことが言えるだろう。20年前にiPhoneと同性能のコンピュータを手にしようとしたら一体いくらかかることか。
この発想はわかりやすいし、将来にわたって使えるから便利だと思う。豊かさを特定の物質で測るのは難しい。古今東西で使われている金だって価値は変わる。クッキーの材料程度にしか考えていない人もいるし。
まとめ
アイデアがビッチになったおかげで世界は良くなっていってる。痛くないパワードスーツが普及すると俺は信じてる。
こんな人におすすめ
- 人類が滅びると思っている人
- 都会と田舎で迷っている人
- 自給自足が好きな人
シリンダー好きに