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幼なじみが絶対に勝てる気がしない進化心理学

なぜ幼なじみは負けヒロインなのか。
なぜ幼なじみヒロインは冷遇され続けたのか。

その答えは我々の遺伝子に刻まれている。

【目次】

勝てるはずがない

2021年春アニメで最も言及したくなるタイトルは『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』だ。

いや、無理だろ。URLの時点で敗北している

とはいえ見てみないと確かなことは言えないため、とりあえず3話まで見た。現時点までに登場するヒロインは2人いる*1

一人目は志田黒羽ファースト幼馴染で主人公のことが好き。

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『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』1話

正統派の幼馴染キャラで、お姉さんぶっている。主人公からは恋愛意識を持たれておらず、告白したがあえなく玉砕。仕方がないのでアレは冗談だったということにしている。書いていて悲しくなるほどに負けヒロイン臭しかしない。

二人目は可知白草セカンド幼馴染で主人公のことが好き。

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『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』1話

高校で再会するタイプの幼馴染キャラ。幼い頃は少年みたいな見た目だったため、主人公は彼女と昔仲良かったことを把握していない。

ストーリーとしては3話で一段落つく。開始時点では圧倒的にセカンドが優勢だったが、ファーストが怒涛の追い上げを見せた。最後のミスさえ無ければ勝者となっていたのだから惜しい。

ここで一つの疑問が生じる。なぜ開始時点では主人公とずっと一緒にいたファーストよりも、存在を忘れられていたセカンドの方が優勢だったのか。しかも我々はこれを当たり前のように受け入れる。「だってファーストは負け属性である正統派の幼馴染キャラだし」と。

ではなぜ幼馴染は負け属性となったのか。これは偶然生じた文化的産物なのか。そこに必然性は無いのか。

本記事はこの素朴な疑問に答える。幼馴染が負け属性になる理由は進化心理学の観点から説明できる。そのためにはまず、近親相姦の話から始めなくてはならない。

近親相姦というタブー

近親相姦は様々な時代や地域で禁忌となっている。例えば聖書では、レビ記18章で主はモーセに対し「肉親を犯してはならない」と述べ*2、20章で再び親族を犯すことを禁じている*3

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娘とやるのはレビ記で禁じられていないのでロトはセーフ / Hendrik Goltzius, Public domain, via Wikimedia Commons, Link

現代の日本では近親相姦そのものは合法となっているが、直系親族あるいは3親等内の傍系血族の間で結婚することは認められていない*4。それにいくら合法であると言っても、親族とやっていると聞いたら嫌悪感を示す人は多いのではないか。やはり現代においても近親相姦は避けるべき事柄と言っていいだろう。

そして血縁関係を持つ相手を交配相手として避けるのはヒトに限った話ではない。例えばニホンザルでは、1950年代に徳田喜三郎が京都市動物園で親子のサルの間に交尾が起こらないことを発見して以来、近親間での交尾が稀であることが確認されている。高畑由起夫による嵐山に生息するニホンザルの交尾季の行動を分析した研究によれば、ランダムなペアと比べて3親等以内のペアは交尾する割合が有意に少ないことが示されている*5。後に行われた長期のデータの分析でも結果は同様で、3親等以内では交尾回避が起きていた*6

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Noneotuho, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons, Link

さらに言えばヒトから遠く離れた生物、植物でさえも様々な方法で近親交配 (自家受粉) を避けている*7。なぜここまでして多くの生物が近親交配を避けるのか。最も有名な理由としては、潜性 (劣性) 遺伝病の回避が挙げられる。

回避すべき潜性遺伝病の一つにテイ=サックス病がある。患児の多くは生後6ヶ月までに精神運動発達の遅延、退行が認められ始める*8。症状は多岐にわたり、視覚障害、聴覚障害、嚥下困難、痙攣、筋萎縮、痙麻痺などが挙げられ、5歳までに死に至ることが多い。比較的稀な若年型の場合、2~10歳で進行性の認知障害や運動障害などの症状が発症し、10代で植物状態になり亡くなることが多い。

これほどまでに恐ろしい遺伝病ではあるが、潜性であるため発症するのは2つの条件が重なった場合だけである。1つは両親が共に保因者であること。もう1つはテイ=サックス病の染色体を両親の双方から受け継いでしまうことである。

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r・rで発症 / en:User:Cburnett, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons, Link

このうち後者の条件、両親からの遺伝は現在コントロールすることはできない。どの染色体を受け継ぐかはランダムなので、両親が保因者の場合に発症する確率は25%だ。しかし前者の条件は違う。血の繋がりの無い相手を配偶者とすることで、ホモ結合となる確率を下げられるのだ。

テイ=サックス病のヘテロ保因者の割合は国や人種によって異なるが、一般的に約280人に1人とされている*9。従って完全にランダムでペアを組むなら、双方がヘテロ保因者である確率は約1/78,400である*10。しかし、親族とペアを組むなら話は違う。片方がヘテロ保因者なら、もう片方もヘテロ保因者である可能性はかなり高い。例えばアシュケナージ系ユダヤ人*11のヘテロ保因者は25~30人に1人とされており、一般の約10倍である。従ってアシュケナージ系ユダヤ人同士でペアを組むなら、双方がヘテロ保因者になる確率は一般の約100倍にもなる。そのためアシュケナージ系ユダヤ人女性は、妊娠すると36種類の潜性遺伝疾患のスクリーニングを受けることになっているという*12

近親相姦あるいは近親婚が禁じられるのは文化的要因もあるが*13、以上のように生物学的観点からも避けるメリットがあり、ヒト以外の生物でも近親交配を回避するようになっている。

しかしここで問題が一つある。どうすれば相手に自分と血の繋がりがあるか分かるのだろうか。

毎日会ったら姉弟だ

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『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』1話

動物の中には相手と血縁関係にあるか、認知できる種がいる。説明はなくても自分と血のつながっていることが、たしかに実感できるのだ。例えばヤマアカガエルのオタマジャクシがそうで、彼らは群れを作る時に血縁関係とサイズを考慮して相手を選ぶ*14

しかし我々ヒトを含む霊長類に、このような能力は無い。実際に会ってみて『我が娘』である事が直感で完全に分かるなんてことは、物語の中にしかないのだ。実際、過去にアメリカで行われた調査の推定値によると、13~20%の子供は出生証明書に記載された法律上の父親の遺伝子を受け継いでいないという*15*16。現代の技術を使えば血の繋がりがあるかを確認することは可能だが、不可能だった時代の方がはるかに長い。

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Gerard van Honthorst, Public domain, via Wikimedia Commons, Link

だが100%正しい答えを得ることができなくても、生物は「だいたい上手くいく」手段を用いることで問題に対処する。そこで霊長類が近親交配を回避するためにとった手段は「一緒に育った相手を近親者とみなす」であった。

嵐山でニホンザルの交尾関係を研究していた高畑は、血縁関係にない雌雄でも交尾回避をする現象を発見した*17。その雌雄ペアは決して仲が悪かったのではない。むしろその逆で、交尾期が始まる前は一緒にいることが多く、共に採食したり休んでいた間柄である。それなのにいざ交尾の季節になると、二匹は関係を持たなかったのだ。このような関係は「特異的近接関係」あるいは「友達関係」と呼ばれる。

同様の現象は他の霊長類、例えばバーバリマカクでも確認されている。北アフリカに生息するバーバリマカクは、オスが赤ん坊を熱心に世話することで知られている。世話をする対象は自分の子供とは限らない*18。ニホンザルと同じく母系社会であるバーバリマカクの場合、若いオスがよそ者としてやって来る。そして群れにいる赤ん坊に対しても世話を行うのだ*19

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Lililapat, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons, Link

このような形で育てられたメスが成長すると、育ての父との交尾を避けるようになることをユッタ・クエスターらは報告している*20。クエスターらによれば、1日に3%くらいの親密な接触が半年続けば交尾回避が起こると予想している。親しさは性衝動を抑えるのだ。

母系社会であるニホンザルやバーバリマカクの場合、成長したオスは群れの中に発情できる相手がいないため、他の集団に向けて旅立つ。また、移籍した集団にも長居しなければ、自分の娘と交配することも無い*21。逆に父系社会であるゴリラやチンパンジーの場合、群れを出ていくのはメスの方だ*22。霊長類は雌雄どちらかの性の個体が群れを離れることで、近親交配を回避しているのである。このような仕組みを「メイト・アウトの機構」と呼ぶ。

ではヒトの場合はどうなのだろうか。

幼馴染は結ばれない

まずヒトの祖先、約180万~220万年前のアウストラロピテクスの場合、集団に男性が残り、女性が離れていたと示唆される痕跡がある。

マックス・プランク進化人類学研究所のサンディ・コープランド率いる研究チームは、アウストラロピテクスの歯に含まれるストロンチウム同位体の比率を測定した*23。ストロンチウムは骨や歯の中に蓄積する金属である。そして同位体の比率は地域の地質によって変わるのだ。そのため、歯に含まれる同位体の比率を地域の岩盤の比率と比較することで、歯の持ち主がどこで育ったか推定できるのである。

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Ditsong National Museum of Natural History, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons, Link

調査の結果、男性のものと思われる大きい歯の場合、発見された場所の地質と約90%が一致した。対して女性のと思われる小さい歯の場合、地質と一致したのは半分に満たなかった。このことから、ヒトの祖先であるアウストラロピテクスは、女性が生まれ育った集団を離れる習慣、つまり嫁入りがあったと推測される。一緒に育った相手とは結ばれなかった可能性は高い。

だがアウストラロピテクスの時代と現代は異なる。集団は大きくなり、一緒に育った中に血縁関係に無い者も多くいる。それにNTRもあるとはいえ、それは一般的ではなく、誰が誰の子供かはっきりしている。それにホモ・サピエンスには文化の力がある。幼馴染と結ばれるのがあるべき姿と教えれば、本能に打ち勝てるのではないか。

そんなことを実行した事例がある。イスラエルのキブツと台湾のシンプアだ。

イスラエルのキブツは、家族を否定し、大きな集団で共同生活を営むことに挑戦した社会である。子供たちは幼い頃に親から引き離され、集団保育される。そして同じキブツ内でパートナーを見つけ、子供を作ることを期待されていた。

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ארכיון גבעת חיים, CC BY 2.5, via Wikimedia Commons, Link

しかし親たちの期待に反し、子供たちは同じキブツ出身者と結ばれることを拒否し、他のキブツ出身者と結婚するようになったのである。

シンプアは、台湾や中国で行われていた伝統的な幼児婚である*24。幼児のうちに親が子の結婚を取り決め、嫁となる幼女が嫁ぎ先で将来の夫と一緒に育てられるというものである。人類学者のアーサー・ウォルフは、このシンプアで結ばれた夫婦に離婚や性をめぐるトラブルの発生率が高く、子供がいないことが多いことを指摘した*25

このような事例から、ヒトにおいても共に育った相手に対しては性的感情を抱きにくいと考えられる。この現象はフィンランドの哲学者・社会学者であるエドワード・ウェスターマークが提唱したとされることから、「ウェスターマーク効果」と呼ばれる。

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Magnus Enckell, Public domain, via Wikimedia Commons, Link

以上に示した知識を踏まえると、幼馴染が負け属性となるのは、進化心理学的に当然と言えるだろう。幼馴染が負ける直接の要因は、主人公と共に育ったことにより、ウェスターマーク効果が働くからである。そして究極の要因は、近親交配を避けることで子孫の生存率を高めるためである。

『おさまけ』の場合、ファーストは主人公と共に過ごし続けたのに対し、セカンドは一度距離をとった。この差が物語開始時点における好感度の差を生んだのである。

終わりに

進化心理学は面白い分野である。なぜ人はSNSにハマってしまうのか*26。なぜ男女で薄い本の傾向が違うのか*27なぜ断面図は性欲を掻き立てるのか。こういった質問に対し、進化心理学はヒトの生存戦略の観点から仮説を提供してくれる。数十万あるいは数百万年前に有効だったヒトの特性が、現代の文化に影響を与えている。そう考えるだけでワクワクする。

残念なことに、最近のネットを見ていると進化心理学の評判は社会学並みに悪い印象がある*28。こうなった理由の一つは取り上げるネタによるものだろう*29センシティブなネタほどネットで話題になりやすい。そこに「自然主義的な誤謬」*30「道徳主義的な誤謬」*31が合わされば、反発を招くのは当然のことだ。

しかしそれで進化心理学を嫌い、遠ざけてしまうのはもったいない。なので俺はこのような毒にも薬にもならないネタを使って進化心理学を語る。もし本記事を読んで進化心理学に興味を持ったなら、以下で紹介する本を読むといい。

参考書籍

この記事を書く上で参考にした本。

『人類進化論 霊長類学からの展開』

タイトルの通り、様々な霊長類との比較から人類の進化の流れを導き、解説していく本。記事で紹介した様々な霊長類関係のネタは、本書を通じて知ったのが大半である。

他の霊長類の特徴について学ぶと、ヒトも霊長類の一つであることを強く実感する。その一方でヒトの特異性にも目が行き、より深くヒトを知ることができる。デッサンは対象を描くのではなく、周囲の空間を描くことによって対象を浮かび上がらせるのだと、何かで読んだことがある。知識についても同じことが言えると思う。ヒトを知るためにはヒト以外を知らなくてはいけない。

『赤の女王 性とヒトの進化』

なぜ有性生殖という面倒なシステムが生じたのかを解き明かす本。「赤の女王」とは『不思議の国のアリス』に登場したキャラのことで、彼女の「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」というセリフから、遺伝子が生き残るためには進化し続ける必要があることの比喩として使われる。

今回は近親交配を避ける理由として潜性遺伝病を挙げたが、他の理由として本書で紹介される寄生者との競争も有力だ。有性生殖を行うことで遺伝的多様性が確保でき、これによって寄生者によって全滅することを防ぐというものだ。近親交配はこの有性生殖のメリットを半減させる。だから回避するようになったというのは辻褄が合う。

競争が生じるあらゆる場において、赤の女王はその姿を現す。競争は選別に有効だが、それはプレイヤー全体の幸福の総和を増やすことを意味しない。最近流行りの弱者男性を産んだのは赤の女王に違いない。そんなことを本書を読み返していて思った。

『進化心理学から考えるホモサピエンス 一万年変化しない価値観 』

タイトルの通りド直球で進化心理学の本。巷で語られる様々な文化やステレオタイプにまつわる疑問「だめな父親は多いのに、だめな母親が少ないのはなぜか」「なぜ暴力的な犯罪者はほぼ例外なしに男なのか」「なぜ女性は男性よりも信心深いのか」などを進化心理学の観点で解説していく。

例に出した通り、本書は割とセンシティブな話題にも平気で切り込んでいく。「〇〇は△△の傾向がある」を「〇〇は△△である」とか「〇〇は△△であるべき」と読み解くタイプの人にはおすすめしない。進化心理学の一番の課題は、検証が難しいことよりも、こういった人たちへの対処ではないかと思う。

『われわれはなぜ嘘つきで自信過剰でお人好しなのか 進化心理学で読み解く、人類の驚くべき戦略』

こちらもまた進化心理学を中心に据えた本。タイトルこそ「なぜ〜 なのか」という形式だが、内容は『進化心理学から考えるホモサピエンス』のような一問一答形式ではない。進化心理学の観点から人類の歴史や社会について語る本である。最後に紹介したが、進化心理学について知りたい人にとっては紹介した中で一番適切かもしれない。

ちなみに本書の著者はテイ=サックス病のヘテロ保因者である。数ある潜性遺伝病の中でテイ=サックス病を取り上げたのはこのためだ。

幼馴染が勝利する話を解説した記事

『ハンドレッド』では幼馴染のエミリアが勝利していたが、彼女もまた再会するタイプの幼馴染だった。やはり幼馴染が勝利するためには、一度離れるのが正解ではないか。

2021/05/05 追記

幼馴染ヒロインを推す人は読むといいかもな。

2021/12/05 追記

この記事を直接否定するものではないが、知っておいた方がいいため追記。ツイートした当時追記したつもりだったが忘れていたので今になった。

確認したところ、『やわらかな遺伝子』に記されているウェスターマーク効果の臨界点について書かれたウルフの著作は1995年に出版。対して俺が参考書籍とした『赤の女王』は初版が1993年に出版され、シンプアのウルフの引用元は1966年と1970年だった。どうやら『赤の女王』の執筆当時は、ウェスターマーク効果の臨界点が知られていなかったようだ。

*1:3話Cパートでサード幼馴染が登場したが、こいつについては置いておく。

*2:レビ記第18章6節。続く7節から18節まで執拗に親族を犯すことを禁じている。

*3:レビ記第20章11節と12節、19節から21節。これだけ短い間隔で同じようなことを言われると、もう少しうまくまとめろと言いたくなる。

*4:民法第734条民法第735条民法第736条

*5:(PDF) The Socio‐Sexual Behavior of Japanese Monkeys

*6:(PDF) Long-Term Trends in Matrilineal Inbreeding Among the Japanese Macaques of Arashiyama B Troop

*7:例えば一つの花の中に雄しべと雌しべを持つ両性花を咲かせる植物の中には、雄しべと雌しべの成熟期をずらすことで自家受粉を避ける「雌雄異熟」という性質を持つものがある。キキョウやリンドウがその一例だ。自家受粉を防ぎ他家受粉をする仕組み | みんなのひろば | 日本植物生理学会

*8:GM2ガングリオシドーシス | ライソゾーム病に関して(各論)医師向け | ライソゾーム病、ペルオキシソーム病(副腎白質ジストロフィ―を含む)における良質かつ適切な医療の実現に向けた体制の構築とその実装に関する研究 | 厚生労働科学研究難治性疾患政策研究事業

*9:GM2ガングリオシドーシス | ライソゾーム病に関して(各論)医師向け | ライソゾーム病、ペルオキシソーム病(副腎白質ジストロフィ―を含む)における良質かつ適切な医療の実現に向けた体制の構築とその実装に関する研究 | 厚生労働科学研究難治性疾患政策研究事業

*10:実際、一般的な発症頻度は約360,000新生児に1人なので、だいたい計算と合う。

*11:現在のアシュケナージ系ユダヤ人の祖先となった集団の個体数は250~420人であるとゲノム解析から言われているので、ほぼ親族関係にあると言っていいだろう。Sequencing an Ashkenazi reference panel supports population-targeted personal genomics and illuminates Jewish and European origins | Nature Communications

*12:「東欧系ユダヤ人は250~420人が創始者」ゲノム解析で判明 | WIRED.jp

*13:かつて近親婚を禁ずる理由の一つに「富の蓄積を防ぐため」があった。中世のヨーロッパにおいて、教会は7親等以内の婚姻を禁止した。7親等というのは現代日本の民法における親族を超える範囲であり、自分の直系で言えば血の繋がりは1/128しかない。それぐらい広い範囲の婚姻を禁じたのは、貴族同士の婚姻を防ぐことで貴族の力を削ぐためだと言われている。

*14:【プレスリリース】オタマジャクシは成長とともに群れるルールを変える:サイズと血縁関係、双方を認識している証拠の発見 | 新着情報 | 国立大学法人 総合研究大学院大学

*15:Matrilateral biases in the investment of aunts and uncles : A consequence and measure of paternity uncertainty - PubMed

*16:より新しく大規模な調査では、法律上の父親と血のつながっていない確率は0.8~30%、中央値は3.7%と推定されている。Measuring paternal discrepancy and its public health consequences | Journal of Epidemiology & Community Health

*17:(PDF) The Socio‐Sexual Behavior of Japanese Monkeys

*18:もちろん血縁関係にある子どもの方がより熱心に世話をするが。

*19:子育てに参加することで、群れの一員として認めてもらうためではないかと考えられている。

*20:Kinship, familiarity and mating avoidance in Barbary macaques, Macaca sylvanus - ScienceDirect

*21:逆に言えば長居すれば娘と交配することはある。クエスターらによるバーバリマカクの調査によれば、母系的な血縁内 (母と息子など) では4親等まで交尾はほとんど起きなかったが、父系的な血縁内では父と娘の関係でさえ交尾が起きていた。父にとって娘とは、一緒に育った相手ではないためだと思われる。もっとも、娘の方がどう考えていたか分からないが。

*22:ゴリラの場合はボス以外のオスも出ていく。

*23:アウストラロピテクスは遠くからお嫁入り | Nature ダイジェスト | Nature Portfolio

*24:台湾では1970年代に消滅、中国では婚姻法により禁止されている。

*25:2021/05/03追記:ただし『柔らかな遺伝子』で紹介されているウォルフの研究によると、結婚がうまく行かないのは3歳以下で養子に出されたシンプアに限られるという。4歳以上で養子に出された場合は大人になってから出会う場合と同程度に結婚生活がうまくいっていたらしい。https://twitter.com/inthewall81/status/1389198817124184065

*26:「読んでもらうため」に書くのはドーパミンが出るから - 本しゃぶり

*27:巨乳の炎上に見る進化と文化のミスマッチ - 本しゃぶり

*28:社会学もまた面白い話が多いのに、分野全体が否定的に語られることがあって残念だ。

*29:他の理由としては、進化心理学が語るのは一般論であるということが挙げられる。仮に正しいとしても個別のケースには当てはまらないこともあり得る。一般的に男性の方が女性より筋力があるが、男性である俺より強い女性は多くいる。そのため絶対的に正しいと受け取る者から反発される。しかもそれがステレオタイプなネタだったら目も当てられないことに。

*30:自然なものは善であるとし、だからそうあるべきだとする誤り。人は生まれつき能力や才能が違うからといって、能力や才能で差別することが許されるとはならない。もちろんその逆もしかりで、自然の傾向と逆だからといって悪ではない。俺は幼馴染と結ばれた人を祝福しよう。

*31:善であるものは自然なものとする誤り。誰もが平等であるべきだからといって、生まれついての能力や才能に差は無いとはならない。