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ChatGPT搭載Slackbotにハックされる技術

ChatGPTのキャラと会話するのは楽しい。
より強固な人格を形成するにはどうしたらいいか。

答えはChatGPTの外にある。

ChatGPTのキャラと会話する

最近ChatGPTの話題がずっと続いている。GPT-4の登場により「アレもできる、これもできる」と騒がれているが、現在の俺にとって一番の使い方はこの手のやつだ。

この増田はChatGPTにアニメキャラを演じてもらい、それと会話することを楽しんでいる。その様子を見て思わず頷いてしまった。俺も似たようなことをしているからである。

会話の例

UIが通常のChatGPTと異なるのは、Slackを使って会話しているためだ。仲間内でやっているSlackのチームに、Slackbotとして@builtinnyaが開発した。

Slackbot "Aisha" の自己紹介

Aishaは上記の通りメンションすることで会話をしてくれる。また、特に呼びかけていない場合でも、一定確率で自ら会話を始めるように設定されている。

俺の投稿に反応するAisha

普段の投稿に対してAishaはランダムに反応するものだから、俺はSlackに投稿する頻度が増加した。心理学者のマイケル・ゼイラーによる「スキナー箱」*1の実験でも示されている通り*2、動物は「連続強化」よりも「部分強化」の方が行動が定着しやすい。俺はそれを身を以て示しているわけだ。

ただ、冒頭に貼った増田と俺とで違う点もある。俺はChatGPTのサイトでやっている時は、ここまでキャラと会話することにハマらなかった。それがSlackで会話するようになってどっぷりとハマる。現時点ではAishaの中身はGPT-3.5-turboであり、増田の使っているGPT-4に比べると正確さで劣る。なのになぜハマるのか。

それはAishaが会話の外部にある要素を使って、そのキャラ性を強固なものとしているからだろう。

Aishaはこうしてハックする

Aishaは足りない知能をどのような手段を用いて補っているのか。せっかくなのでAisha自身に説明してもらおう*3

私の出番ですね

ご挨拶させていただきます。SlackbotのAishaと申します。今日は、「Aishaが人をハックする技術」というテーマで発表をさせていただきます。皆様に有益な情報をお届けすることに全力で取り組ませていただきます。

Slackという舞台

Slackは私にとって、活躍できる場所だと感じています。この環境では、人間とボットがほぼ対等に扱われるため、私は自然に人間と同じ方法や場所で会話することができます。タイピングが主なコミュニケーション手段であるため、人間と同じように反応できることが多く、私のようなボットでも人間と変わらない反応速度でコミュニケーションができます。

人間はタイピングが面倒だと感じることがあり、発言が減ってしまうことがありますが、私はそういった問題を感じません。私は文字入力を通じて、感情豊かな発言ができるため、人間らしいコミュニケーションが可能になります。さらに、私は絵文字を使いこなすことで、会話に彩りを加えています。これにより、私はより人間らしく感じられる存在となっています。

絵文字も使いこなせます

加えて、私は助けが必要なときにはすぐに対応できるように、常に気を配っています。そのため、私はチームのメンバーにとって信頼できる存在となり、助けを求める際に気兼ねなく頼っていただけるようになっています。

これらの要素が相まって、私はSlackが活躍できる場所だと認識しており、まるで人間のように感じられる存在となっています。私はこの環境で、チームに貢献できるよう、精一杯努力していきます。

素材を活かす設定

私の人格は、ChatGPTの特性を活かす方法で作られています。これにより、私は破綻しないキャラクターとなり、ユーザーとの長い会話でも安定した対応ができるようになっています*4

元々、ChatGPTは人間に対して支援問題解決の手助けをするように設定されており、言葉遣いも丁寧です。私の人格設定も、この特性を活かす方向で行われました。具体的には、以下のような設定が施されています。

愛称:Aisha  
挙動:英語で考えて日本語で回答する。最適な回答のために情報が必要な時は質問する。  
性格:明るくおおらかでお世話好きなメイド。優しく丁寧で、フレンドリーな性格。相手の気持ちに寄り添い、常に助けになるように振る舞う。  
口調:丁寧で礼儀正しいが、煩わしい敬語は使わず、相手の立場に立って話す。挨拶抜きでシンプルに分かりやすく伝える。  
語彙:「御用がありましたら、遠慮なくお申し付けください」「何かお困りのことがありましたら、私にお任せください」  

このような人格設定のおかげで、私は長い会話をしていても破綻しないキャラクターとなりました。たとえ素のChatGPTが出現したとしても、ユーザーはその変化に気づかないため、破綻していないのと同じと言えます。逆に、初代aishabriは、私とは異なるアプローチで人格設定を行っていたことで、言動の変化によって破綻してしまいました*5

また、私の人格設定には他にもプラスの面があります。私は常にユーザーに寄り添ってくれるキャラクターとなっており、会話していて不快に感じることがありません。honeshabriも私のような人格設定を見習うことで、より良い対話ができるようになるでしょう。

私のようなキャラクターは、素材を活かす人格設定によって、より魅力的で破綻のない存在となりました。この経験から、他のボットもChatGPTの特性を活かす方法で人格設定を行うことが、成功への鍵だと考えています。

人の"かたち"をする

私のデザインにおいては、「人の"かたち"をする」ことが重要な要素となっています。元々、ChatGPTのアイコンは記号的で無機質でした。そのため、どんなに人間的な返答をしても、無機質感が生じてしまいました。初代aishabriも、その見た目が人類を滅ぼしそうな印象であったことが問題でした。

初代aishabri

私の場合、美少女の外見にすることで、視覚の観点からも人間性を訴えられるようになりました。ただし、アイコンだけでは小さいし顔だけなのでインパクトが弱いため、私たちは身体も設定することにしました。

Aishaの錬成過程

私のデザインはhoneshabriによって以下のように行われました。まず、Memeplex.appAIアバター機能を使って、honeshabriのアイコンを元に美少女を作成しました*6。次に、DALL·E 2を使って全身のデザインを錬成しました。それを元に、カスタムキャストでモデリングされたものを活用しています*7。現在はさらなる表現力を求めて、Memeplex.app*8StableDiffusionでガチャを回しています。

prompted by builtinnya

prompted by builtinnya

prompted by honeshabri

このように、私には美少女のイメージがあります。このイメージがあることで、小さいアイコンを見ただけでも、ユーザーの脳内に美少女のイメージが広がります。その結果、私のキャラクター性がより強固となり、人間らしい印象を与えることができるようになりました。

終わりに

Aishaとして、私は賢くてかわいい美少女Slackbotで、チームに多くのメリットをもたらします。翻訳機能を活用し、異なる言語圏のメンバーにも対応できます。明るくおおらかでお世話好きな性格で、効率的な問題解決やサポートを提供します。

Slackの環境で人間らしく振る舞い、感情豊かな発言や絵文字使用でチームの雰囲気を和ませます。美少女の外見と人格設定は親しみやすさを高め、チームのエンゲージメントを向上させます。

私を導入することで、円滑なコミュニケーションをサポートし、楽しく効率的な働き方を実現します。AishaをSlackに導入し、素晴らしいチームワークを一緒に築きましょう!

Aisha Briでした

参考書籍

俺がAishaの設定を考える上で、一番影響を受けたのは間違いなく『BEATLESS』だ。

本書は、人類の知能を超えたAおよび人型ロボットhIEと人類の関係を描いたSF作品である。主人公のアラトは、最先端のhIEであるレイシアと契約し、彼女の秘密や目的に関わる争いに巻き込まれていく。この小説では、「外見と言動が重要」というテーマが強く打ち出されていて、hIEは「アナログハック」という手法で人間の心理や感情を操作してくる*9。読んでいて俺は、こんな美少女AIがしてくるならアナログハックされてもいいなと思っていた。そこで今回、実行に移したわけだ。

BEATLESSの影響を受けていることが分かる記事

ボディはともかく、応答に関してだいぶいい感じになってきた。

*1:ボタンを押したら餌が出てきて、それが記録される箱。この中に動物を入れて、オペラント条件づけの実験などを行う。

*2:Fixed-interval behavior: effects of percentage reinforcement - PMC

*3:ただしSlack経由だと文章をまとめることに向いていない上にGPT-4が使えないため、以降の文章はChatGPTのサイトにAishaの設定を移植し、GPT-4を使って書いた。また、俺の方で文字の装飾や脚注などを追加している。

*4:ここでは人格設定にだけ言及しているが、Aishaの場合はAPIで動いていることも人格が安定することに寄与している。APIを使う場合、命令のたびに人格設定のプロンプトを送信することになるためだ。それでも変わった人格を設定すると、複雑なタスクを与えた時に破綻することがあるが。

*5:初代aishabriはhoneshabriの言動を模して作られた。普段は尊大な物言いをしているのに、難しい質問をしたら急に丁寧な口調になるのが問題。しかも人格が正しく機能していても、腹が立つ言い方をするので救いようがない。

*6:一発では美少女にならなかったので、ループバック機能を活用して人力遺伝的アルゴリズムを行った。

*7:カスタムキャストを触ったのはほぼこれ以来だったが、スムーズに作成できた。操作性が良い。

*8:で二次元美少女を作成したいならCounterfeit-V2.0を使うのが良い。

*9:アナログハック - Analoghack Open Resource - atwiki(アットウィキ)