本しゃぶり

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早く寝るために自分自身をハックする

ねないこおれだ。
お化けは怖くないが、パフォーマンスの低下は怖い。

この問題に「QC的考え方」で立ち向かう。

睡眠の危機

寝るのが遅い

AutoSleepに記録されたログを見てそう思った。

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2022年1月の就寝時刻

AutoSleep Watchを使って睡眠を自動で追跡します

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俺の起床時刻は平日が5:30で、休日が6:00である。対して寝る時刻は明らかに遅い。上記の期間における平均就寝時刻は23:48であった。単純に考えると睡眠時間は平日なら5:42休日でも6:12しかないことになる*1。これは由々しき事態だ。

ペンシルベニア大学のデーヴィッド・ディンゲスの「画面が光ったらボタンを押す」という集中力を測定する実験によれば*26時間睡眠を10日間続けると、パフォーマンスは24時間起き続けた場合と同じくらいに低下した。これは正常な場合と比較して、失敗が400%も多い。しかも実験期間中はパフォーマンスの低下が止まらなかったという。

世の中には短い睡眠時間でパフォーマンスを発揮できる人もいるらしいが*3、少なくとも俺は違うという実感がある。ディンゲスもこれまでの被験者の中で、短い睡眠時間でパフォーマンスを維持していた人は1人もいないと述べている。つまり1月に入ってからの俺は、徹夜明けみたいなパフォーマンスしか発揮できていなかったのだろう。

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睡眠時間と集中力

睡眠不足によって低下するのは集中力だけではない。記憶力代謝テストステロンの分泌量までが低下するという。逆に食欲は増え、特に高カロリーな食事を好むようになるというから厄介だ。カルフォルニア大学バークレー校教授のマシュー・ウォーカー曰く、「食事、運動、睡眠のうち、健康のためにもっとも大切なのは、睡眠である」*4

丁寧な暮らしを送るため、俺はこの「寝るのが遅い問題」を解決することにした。

生活的品質管理

こういう時、「早く寝よう」と決意するのは無駄だ。俺の就寝時刻のログを見ると、散発的に早く寝れた日がある。睡眠不足が続き、「さすがに早く寝よう」と決意して実行できた日である。だがこれは続かない。すぐに寝不足の日々に逆戻りだ。

ではどうするべきか。以前に書いた通り、品質管理 (Quality Control) を行えばいい。

上記の記事では事例としてハンバーガーの品質管理を行ったが、今回対象とするのは俺自身である。まずは「真の要因」から探っていこう。

なぜ寝るのが遅くなるのか

QCストーリーにおいて、要因解析の手順は3つのステップで構成される。

  1. 原因候補の洗い出し
  2. 原因候補の絞り込み
  3. 真の原因の確認

だが自分の寝るまでの行動を振り返ると要因は明確だ。端的に言えばダラダラ過ごす時間が長いのである。

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三大寝る前ダラダラ理由

遅くなる理由の第一の理由は「風呂に入るまでの時間が長い」である。俺の住むアパートは24時間換気システムが無い程に古くて安いので*5、当然のことながら自動給湯なんて気の利いた機能は無い。故に自分でお湯を入れに行く必要がある。しかし帰宅後すぐにPCへ向かい、そこから離れられない。「早くお湯を入れないとなー」と思いながらダラダラとネットをし、時間が過ぎ去っていく。

第二の理由は「風呂に入っている時間が長い」である。俺は風呂で読書をする。Kindle Paperwhiteは第10世代から防水になったので、風呂は読書に最適な場所となった*6。そして読書をしていると、湯船から出るタイミングが分からない。「あと1ページだけ」と思いながら浸かり続ける。しかも俺のアパートは古くて安いので、冬の浴室は寒い。余計に湯船から出たいと思わないのだ。

第三の理由は「またネット」である。風呂から上がってからまたネットをしている*7。ここでもまた「あと1記事だけ」と思いながら、どうでもいい記事を延々と読み続けてしまい、寝るのが遅くなるのだ。

このように慣性の法則に従うがごとく、ネットや本を読み続けて、俺は寝るのが遅くなっている。だが要因が明確になれば、半分は解決したようなもの。今回の要因は全て「自分の意志で止められない」である。つまり自分で決断しなければいいのだ。

機械に行動を支配させる

要因が明確になったので、対策の立案と実施に移る。早く寝れない理由は「自分の意志で行動を止めようとしていた」ことであり、止める決断を外部に委託すれば解決する。英雄オデュッセウスがごとく、耳をふさいだ奴隷に任せるのだ。

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Staatsgalerie Stuttgart, Public domain, via Wikimedia Commons, Link

もちろん俺はオデュッセウスと違って人間の奴隷を所持していない。俺が使うのは機械の奴隷である。つまり以前書いたこれの続きみたいなものだ。

風呂にお湯を入れろ

まずはいかに早く風呂に入るかである。寝るまでのタスクと帰宅時間を考慮して、風呂にお湯を入れ始めるリミットは20:20とした。そこでAlexaの定型アクションを以下のように設定した。

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風呂にお湯を入れる定型アクション

Alexaが「早く風呂にお湯を入れろ」と、視覚・聴覚・触覚に訴えかけてくる。さすがの俺も作業を中断し、風呂にお湯を入れに行く。それにお湯を入れる作業は1分もあれば十分だ。またすぐに続きを読めると思えば、面白い記事を読むのも中断できる。

そしてお湯を止めるのも手動しか選択肢はないため、お湯を入れ始めさえすれば、入浴を開始する時間も決まる。これで一つ解決だ。

ちなみにランプとはAlexa対応の+Style LEDベッドサイドランプである。

Alexaの設定をしていて「家にも積層信号灯*8があればいいのに」と思ったのだが、どれも高いしAlexa対応の製品は無さそうだったので、代用品として購入した。

Alexaアプリからだと色の設定がうまくいかなかったので、+Styleアプリで青と水色に切り替わるシーン*9を作成し、それを定型アクションで呼び出す形で実行している。

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青く輝くランプ

お風呂タイマー

次は入浴時間の管理である。こちらはシンプルに防水タイマーを導入することで解決した。

湯船に浸かる最適な時間をざっと調べたところ、温度にもよるが10〜20分が良いらしい。そこで読書時間を確保することも考慮し、20分で運用することにした。

浴室に入ったらすぐにスタートボタンを押して、カウントダウンを開始する。このタイマーにはリピート機能があるため、毎回時間を設定しなくていいのが良い。そしてタイマーが鳴ったら、条件反射的に風呂の栓を抜く。これでもう湯船から出るしかないわけだ。また、タイマーは浴槽の中からは届かない位置に設置してあるため、音を止めるにも出るしかない。まあ、このタイマーは15秒経つと勝手に止まるのだが。

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時計機能付き

風呂にタイマーを導入した副次効果として、読書に集中できるようになった。以前はいつ出るべきかと時間を気にしながら読んでいたが、今は出るべきタイミングをタイマーが教えてくれる。だから本の内容にのみ意識を向ければよくなったのだ。

通知と照明とスクリーンタイム

最後は風呂上がり後の対応である。これは二段階で対応することにした。

まず21:30になると、以下の定型アクションが実行される。

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そろそろ寝る時間の定型アクション

部屋が暗くなり、ネットを使える時間はあと30分であるとAlexaが宣告する。風呂上がりにアニメを見たければ、このあとすぐに見始めなくては間に合わない。

ただしこのような部屋が暗くなる定型アクションは、1年以上前から使っていた。

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スマートホーム化したら俺自身もシステムの一部になった - 本しゃぶり

しかし部屋が暗くてもネットはできる。だから俺は寝るのが遅い。

そこで第二段階として、22:00に実行される定型アクションを追加した。

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今すぐ寝ろの定型アクション

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赤ランプ

これで部屋がより寝ないといけない雰囲気となる。赤ランプは照度が低すぎて危ないので、常夜灯も併用した。

しかし雰囲気だけでは俺をネットから引き剥がすことはできない。そこでiPhoneとMacの両方でスクリーンタイムを実行することにした。

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スクリーンタイム起動

スクリーンタイムは簡単に解除できるが、さすがの俺もこうなったら寝ようと思える。大事なのはネットが使えないことではなく、寝るきっかけが与えられることなのだから。

効果の確認

対策前後の就寝時刻の推移が以下である。

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就寝時刻の推移

対策前の平均就寝時刻は23:48であったのに対し、対策後の直近一週間は22:48である。以前より1時間早く寝るようになった。起床時刻を考慮すると、まだ睡眠時間は十分とは言えないかもしれないが、かなりマシになったと言えるのではないか。

また、対策を始めてから3週間が経っているが、今の時点ではスクリーンタイムを無視したのも実質1回のみ。それなりに上手く運用できていると言える。ちなみにスクリーンタイムをガン無視し、対策後に寝るのが飛び抜けて悪い日は、こんなツイートをしている。

『ブログは更新する』『早めに寝る』 両方やるというのはとてもムズかしい事だ。

終わりに

上でも貼った品質管理の記事では、他人の問題を事例として取り上げた。そのため改善案は提唱したが、実行することはできなかった。しかし今回は俺自身を対象としたため、改善案を実行に移してみただけでなく、定量的に効果を示すことまで行えた。これで「日常生活に品質管理を」という主張の有効性を分かってもらえたのではないかと思う。

ところで、以前とある俺の記事についたブコメが今も頭に残っている。

充実した休日を過ごすタスク管理術 - 本しゃぶり

太古の悠久に存在したライフハッカーが現代でも生き残っているのか。

2021/10/11 07:37

いい機会だから言わせてもらう。

そうだ、俺がライフハッカーだ。

参考書籍

冒頭の睡眠の大切さに関するネタは本書から。最新*10の様々な研究をもとに、睡眠について語る本。早く寝るために理屈が欲しい人向け。

睡眠の大切さを説く本というのはインデックス投資の本と似たジャンルであり、比較的新しめのものを何か一冊読めばいいと思っている。というのも、研究が進んでも結局は睡眠が大切であることには変わりないし、多くの人は睡眠不足なので今より長く寝るべきなのは変わらないからだ。従って何冊読んでもやることは変わらない。

行動を管理するタイプの記事

これでは機器に従って窓を開けたりしている。俺は機械の奴隷か。

*1:年末年始や休日の場合、実際はもっと寝ている。なぜなら昼寝をしているからだ。だが平日は昼寝をしていないので、ほぼ6時間を切っていると考えて良い。

*2:The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation - PubMed

*3:デトロイトのヘンリー・フォード病院の医師であるトーマス・ロスによれば、5時間以下の睡眠でパフォーマンスが低下しない人の割合は、パーセンテージで表すなら四捨五入してゼロになるという。

*4:瞑想は選考対象外。

*5:24時間換気システムの設置が義務付けられたのは、2003年の改正建築基準法からである。そして俺の住むアパートは2000年に建てられた。

*6:俺は第7世代から裸で風呂に持ち込んでいたけど。

*7:正確に言えば、「風呂上がり → ストレッチ → アニメ → ネット」である。だがストレッチはすぐに終わるし、アニメも1本見れば満足するので、特に問題はない。

*8:装置とかの稼働状況を示す、縦に複数色のライトが積み重なっているアレ。

*9:これが「パターン青」である。

*10:本書は2018年出版なので、2022年現在では最新とは言い難いが。