本しゃぶり

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幸福になるためにネットラジオを始めた結果

他人のネットラジオにゲスト出演した。
予想外の形でYouTubeデビュー。

「幸福になるために新しいことを始める」の価値が分かってきた。

インテリ理屈ラジオ

以前に本質本の記事で紹介した『インテリ理屈ラジオ』にゲスト出演した。オファーがあったので。

インテリ理屈ラジオ

インテリ理屈ラジオ

  • インテリ理屈ラジオ
  • コメディ
  • ¥0

基本的には二人の質問に俺が答える形。ブロガーとしての出演なので、やはりブログの話題が多くを占める。したがって『本しゃぶり』の裏話に興味がある人には面白いだろう。全部で2時間弱とクソ長いので、概要を見て気になったところだけを聞くのもアリだと思う。

このラジオは『本しゃぶり』を5回くらい取り上げているので、向こうはブログや俺のことをよく分かっている*1。だから的外れな質問をされないのが良い。聞いて欲しいことを訊いてくれて、答えたら「すっごーい」と言ってもらえる。楽しくないわけがない。実質キャバクラ。まあキャバクラに行ったことは無いのだが。

ブログ以外の話題だと、両方から俺の「幸福度」について訊かれた。前から「幸福」に興味があったのだが、ここ1年ほどマイブームとなっていて、何度か記事を書いている。その内の1つについて訊かれた。

結局Radiotalkを始めて幸福になれたのか、と。

ラジオでも話した内容であるが、一般的なネタなのでブログでも書いておく。

Radiotalkを始めて

俺が始めたのはスマホで配信するRadiotalkである。2019年12月から始め、7本投稿した。

始めた理由は英国ハートフォードシャー大学の心理学者リチャード・ワイズマンの研究を知ったからだ。

Vera de Kok CC BY-SA 3.0,Link

運のいい人は自己肯定感が強く新しいことに挑戦できる人である。さらに自分は運が悪いと思っている人でも、運のいい人であるかのように振る舞うことで、運が良くなり幸福感も増すという。

そこで何か新しいことを始めてみようと思い、誘いがあったのでRadiotalkを始めたというわけだ。

ではRadiotalkを始めて幸せになれたのか。率直に言えば、「Radiotalkそのもの」は俺の幸福度に影響を与えなかったと思う。やってみて分かったが、音声メディアは俺のコンテンツの作り方と合わない。研究結果を細かく紹介しようとすると話が長くなるし、リンクも名画も使えない*2。まるで両手を縛られた状態で戦っているように感じてしまう。

そのためヤル気が起きなくて、最後に投稿したのは2月。二度とやらないと言うつもりは無いが、積極的に投稿しようとも思わないのが現実だ。

しかし「Radiotalkを始めたこと」は、総合的に見てプラスとなった。「幸福」と言うにはちょっと大げさで、「やってみて良かった」ぐらいの話だが。その一つは、先の記事のタイトルにも書いてある、マシュマロを始めたことにある。

食わず嫌い

marshmallow-qa.com

俺はこの手の「匿名質問サービス」には苦手意識があって、これまで使ったことが無かった。律儀な性格なものだから、回答を求められるという「義務感」が 生じるのに抵抗を感じていたのだ。

ところがRadiotalkをするなら話は変わる。ラジオをするならネタがいる。質問はネタ集めにちょうどいいのではないかと考え、同時にマシュマロも始めてみたのだ。

これは正解だった。ラジオのネタはもとより、ブログに使えるネタも来た。マシュマロきっかけで記事を2本書いている。

結局のところ、俺は「食わず嫌い」だったわけだ。懸念していた義務感についても、俺ぐらいのフォロワー数だとマシュマロが来る頻度は少ないため、無理なく対処できているので問題ない*3。今ではマシュマロが来るのを待ち構えているし、全て拾っている。

Rijksmuseum / Public domain, Link

このマシュマロの件はRadiotalkと直結していて具体的なので、「良かったこと」として分かりやすい。しかし、「幸福になるために新しいことを始める」ということの本当の価値は、このような「個別の結果」によるものではない。重要なのは「新しいことを始めやすくなる」ことである。だがそれを説明する前に、まず「新しいことを始めるのが難しい理由」を書いておきたい。

意思決定の麻痺

俺は新しいこと始めるのが面倒に感じるタイプである。おそらくこれを読んでいる人のも多くも同じだろう。これは人の意思決定システムによるものが大きい。

人が意思決定を行うためには、自己抑制自己管理が求められる。そのためには注意力を払わなくてはいけない。もし支払わなくてはいけない注意力を持ち合わせていない場合や、必要な注意力が多いように感じられる場合はどうなるか。人は考えるのをやめる。これが意思決定の麻痺(ディシジョン・パラリシス)である。

新しいことを始めようとすると、この「意思決定の麻痺」が起きやすい。初めての事なので一つ一つに注意力を払う必要があり、新たに決めることは多い。その上何をすればいいか分かっているのはマシな方で、そもそも「何から手を付ければいいか分からない」こともある。 そのような現実を前にして、人は動けなくなるのである。

Jean-Pierre Dalbéra from Paris, France / CC BY, Link

こうなると人は考える必要の無い、慣れた道を選択する。つまり、いつも通りのことを行うのだ。

新しいことを始めるのはこのような理由で難しい。だからこそ「幸福になるために新しいことを始める」という指針が重要になる。

幸福へ至る道

俺は先にも書いた通り、この1年ほど「幸福」について記事を書き、行動に移してきた。これにより自分は「幸福を重要視する人」というアイデンティティが形成される。この「アイデンティティの力」がバカにできない。

スタンフォード大学の心理学者ジョナサン・フリードマンスコット・フレイザーの2人は、パロアルトの高級住宅街で実験を行った。戸別訪問が行われ、住人がドアを開けると調査員は依頼をする。

「安全運転協会の者です。お宅の芝生に『安全運転の看板』を設置してもよろしいでしょうか?」

安全運転の看板のイメージ

83%の住人が看板を設置することを拒否した*4。大半の人が拒否するのも当然だ。看板は大きくて邪魔でダサい。置いたところで自分には何のメリットも無いのだから。

だが、事前に別のことを頼んだ住人の反応は違った。

2つめのグループは看板の依頼をする2周間前に調査員が訪れ、「安全運転を心がけよう」という小さなシールを貼るように依頼した。この簡単な依頼に大半の住人はOKと回答する。その2週間後にまた調査員が訪れ、例の看板を設置することを求めると、76%の住人が許諾した。これが有名なドアに足を挟む(フット・イン・ザ・ドア)の効果である*5

小さな隙間からこじ開ける

フリードマンとフレイザーは、さらに3つめのグループを用意した。このグループは最初に「カリフォルニアをいつまでも美しく」という嘆願書に署名するように求められた。そしてまた2週間後、例の看板を設置することを求めるのである。

交通安全と関係のない嘆願書であったにも関わらず、署名した住人の内、看板を設置したは半数にもなった。これは嘆願書に署名しなかった住人と比べると3倍の成功率である。

この結果についてフリードマンとフレイザーは、嘆願書に署名した住人の「アイデンティティが変化した」のではないかと推測している。署名という要求に同意したことで、「自分は他人の要求に手を貸す人間である。良き行いをする人間である」と自覚するようになったのではないか、と。署名したことで住人の意識が高くなったのだ。

ネットワークビジネスにハマった大学生みたいになってしまった

以上を踏まえた上で、俺がやってきたことを振り返ろう。事あるごとに幸福について語り、幸福になるために新しいことを始めたと宣言する。これによって俺は「幸福を追い求めて新しいことを始める人間である」というアイデンティティを獲得するに至ったように思う。

実際、何かをやろうか迷った時に、それが新しいことの場合は、こう自問するようになった。

「これを始めたら幸福に至るのではないか」

もちろんこれで次から次へと新しいことに手を出すようになったわけではない。やはり今でも新しいことを始めるのは億劫である。しかし以前よりは始めやすくなったのも事実。その結果、マシュマロで記事を書けたし、近所に美味しいパン屋を見つけることができた*6。今のところは完全に「プラス」だ。俺にとって「幸福になるために新しいことを始める」という指針は、このように役立っている。

だから俺はこの指針を他の人にも勧めたい。実際に良いと思えたのだから。

ゆえに本記事を読んで「いいな」と思えた人に問いかけよう。

「あなたはどこへ行かれるのですか?」

Annibale Carracci / Public domain, Link

いつもの「慣れた道」か、それとも「新しい道」か。選ぶのはあなた自身である。

終わりに

俺にとって幸福になるというのは人生において重要なので、選択肢があった時に「幸福に至るのはどちらか」という判断基準は強い。もちろん怠惰が勝ることも往々にしてある。だがそれでも幸福を重視した選択を繰り返すと、次第にそれが習慣となっていく。今の所これで困ったことにはなっていないので、続けていきたいと思う。

Radiotalkを始めたことで良かったことをもう一つ言っておこう。それは今回、『インテリ理屈ラジオ』への出演を迷わず承諾できたことだ。Radiotalk以前の俺ならネットに声を出すことに抵抗感があったので断っていた確率が高い。しかし既に声を出した後なので、失うものは無い。だから幸福を求めて出演できたのだ。

とはいえ顔出しはまだする気になれないが。

参考書籍

以前にも紹介したことがある、俺が新しいことを始めるきっかけとなった本。科学的な観点から「運のいい人」と「運の悪い人」の違いを調べ、どうしたら運が良くなるかを書いている。実際に運の悪い人の行動を変えさせたところ、運が良くなり幸福感も増したという。


本記事の後半部は本書を参考に書いている。自分や他人の行動を変化させるためにはどうしたらいいかを書いた本。Twitterを見ていると、変化を求めて怒っている人がたまにいる。怒ることが目的ならそれでいいが、実際に行動を変えてもらいたくて怒っているのだとしたら、一旦落ち着いて本書を読んで欲しい。重要なのは、いかに「相手の頭を使わせないか」だ。

幸せになりたい人向けの記事

*1:ホリケンに至っては俺に会いに来て、直で話したこともあるし。

*2:概要欄にはちょっと貼れるけど、俺は説明する際に使いたいのだ。

*3:マシュマロはネガティブな質問をAIでフィルタリングする機能がある。俺が知らないだけで、誹謗中傷や罵倒が多数飛んできている可能性はある。だが俺が知らないのなら無いのと同じだ。誰もいない森で倒れた木は音を立てない。

*4:17%も設置することを許すとか、さすが高級住宅街。心の広い人が多い。

*5:このテクニックが最初に「フット・イン・ザ・ドア」と呼ばれたのは、フリードマンとフレイザーがこの研究結果について語った時である。

*6:これについてはインテリ理屈ラジオ内で語っているので気になる人は聞くといい。